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(第二部)四十二章 チリチリとしてさらには

(第二部)四十二章 チリチリとしてさらには


 チリチリとしてさらには圧迫感のような物を後頭部に感じた。

 わずかに遅れてガツンという衝撃を感じて少し前のめりになった。

 目の前に軽い火花が散るような視界が安定しない。

 不意の衝撃ですぐに次の動作につなぐのが難しく、足取りはよろめいてしまった。

 何が起こったのかは大体予想が付いた。

 近頃同級生男子の一部で流行っている後ろから近づいて殴って、成功を笑いながら駆け抜けていくという、ある意味一歩間違えばかなり危険な流行。

 悪ふざけが好きな男子の一団が、このところ毎日休憩時間ごと何度も繰り返して殴って回っていた。

 もちろんそんなことをすれば顰蹙を買うのは当たり前だが、迷惑男子生徒の一団は気にすることもなく不意打ち撲打を続けていた。

 何度も教師に注意を受け指導を受けても治まることはなかった。

 それを行うのに意味はなく愉快犯と名付けることが出来る類いのもので、注意れたり指導を受ければそれらしい理由や言い訳をいうもののそれが在るからといって不意打ちで撲打をして良いという話にはならない。


 続いていく内に不意打ち撲打の標的は、大人しい者や反抗できない者たちに絞られていった。

 さらには人目のそれているときや、一人歩きをしている廊下や便所などの目立たないような工夫を凝らしていき、だんだんと手の込んだ暴行となっていった。

 そうした中で久しぶりに不意打ち撲打を食らったわけだ。


 対処は学生として出来る範囲の事を行うしか出来ないわけだが、もちろん暴行されれば気分の良いものでは無い。

 ただ、殴られる一瞬前のチリチリとした圧迫感を認識したことが、何も出来ない状況の中での一助になるのではないかと考えた。

 そうしてモノの本を探すということから行っていった。

 田舎で本屋は山を超えたところにしかなく、品揃えは少ない。

 頑張っていくつもの山を越えて隣町の駅までゆき、電車に乗って地方都市にまで本探しに行く。

 学校という生活習慣やルールの枠を上手くくぐり抜け、暴行や弱い者いじめを迷惑男子生徒が行っていても、結局成敗されることはないしそれが同じ事の繰り返しを続けていく。

 暴行に対し反撃すれば、迷惑男子生徒たちは連携を組んで人目や教師の目に付くところに引きずり込んで挑発し、暴発すれば日頃暴行を受けている者側が悪者になるような悪巧みをする。

 こういう中で泣き寝入りをしている者達が多い鬱積した環境の中で、諦めず何かを掴もうとすることに必死だった。


 そうして幾つかの本を購入して参考にしつつ研究が始まった。

 予備知識がありある程度の予想が付いていたため、チリチリとした圧迫感への理解はだんだんと紐解いていった。

 さらに深く理解できたのはずいぶん後のことだが、簡単に言えば人が肉体を動かす前に気を発する。

 順序立てていえば「考える」「気を発する」「気の軌道に沿って肉体が動いていく」という順番になる。

 目に見えないからと否定していては何事も深い意味を知ることが出来るはずもない。


 肉体が動く前の気の察知という部分に注力してゆけば、不意打ちを食らわなくてもよいではないかと考えられた。

 このことはこういう理屈が判れば誰でも到達する者なのだろうが、当時の自分としては大きな発見をしたような気分になって、さらに鍛錬を深めてゆくこととなる。

 ただ気を察知できたからといって、撲打が交わせるかといえば微妙で、もし撲打を躱しても、迷惑男子生徒は躱されたということにキレて何度も殴りつけてくる。

 何度も殴られれば身を守らなくてはならないし、肚もたつで結局けんかに発展し、お節介生徒によって教師へと報告が行き放課後の長いお説教となる。

 ひごろ暴行を受けている者達が居ることを教師に話しても生徒同士の遊び程度にしか考えておらず、それを躱せない生徒の方が悪いので成長しろという話まででて来ることがあった。

 結局の所、気を察知して躱すという技については、武道や武術を深く身につけている必要があり、現在を含め当時の自分には撲打に対し有効な能力となっていない。


 が、それを応用して霊的なことで活用できたのはずいぶん後のこととなる。


 もし気の感覚に興味のある方はモノの本を探してくださることをおすすめするが、初歩的なことでいえば、余分な力を抜いて手のひらを向かい合わせ、手のひらの感覚に注力し、注力してゆけば抵抗感や圧迫感など普段では感じないものを感じる場合がある。

 それが気というものであり、初歩的な気を知るということにつながる。

 その手のひらで感じた感覚を、体の各部署に手をかざして、同じように圧迫感等を感じ取っていく。

 そういう何ともいいようのない違和感を察知して、それが当たり前に思えるようになるまで鍛錬をしてゆく。

 馴れていけば、時折後ろからの視線や、こちらに意識を掛けているということも感じる場合があり幾つか体験をしたことがある。

 視線はわりと感じやすい人も居ると思うので、振り返ってみると人と目が合ったという体験をされたことはないだろうか?。

 そのようなものの延長だと思っていただければ・・・良いのではないだろうか?


次話投稿は24日か12月1日の17時の予定です。

12月か1月には執筆の時間がとれて毎週投稿できる場合があるかもしれません。

祭礼や出張が重なり思うように時間がとれないですが、執筆は続けてゆきます。

いくら書いても文章が上手になっていく気配が無いのは苦慮するところですが・・・

優しく見守っていただければ幸いです。

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