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(第二部)四十章 校庭の片隅にある

(第二部)四十章 校庭の片隅にある


 校庭の片隅にある自転車置き場に同級生より少し早めに歩いて行く。

 人恋しいときもあるものの大抵は一人で居たい。

 今日は教室の人息で何となく気分が悪い気がする。

 そんな何となくだがとにかく一人になりたい気分だった。


 自転車はわりと端の方の置き場。

 ありがたいことに隣接の自転車置き場の主たちは、それなりに気遣いできる人たちだったので取り出しやすいのがありがたい。

 ストッパーを蹴り外してスタンドを足ではたき押して、自転車をそろりと後退させ取り出してゆく。

 なんとなくいつもと違う感じがするが・・・。

 外観は変わらないのでとりあえず帰路につくこととにした。


 いくらも走らないうちに異常を体感した。

 前車輪がふらふらして軸線がはっきりしない。

 まえに進みはするが走行に不安が残る。

 不安が大きいがだましだまし乗って、帰路の途中にある行きつけの自転車屋に立ち寄ることにした。


「これはスポークが折れてるね。不自然に三本折れてるよ。まぁこれならすぐ直るからちょっと待っててよ。」

と、自転車屋の親父は言いながら修理をしてくれた。

 たまたま小遣いの持ち合わせがあったので助かった。


 自転車のスポーク三本が折れていた事件から九日後辺りの出来事だった。

 また同じようにスポークが折られて前後の車輪が不安定になった。

 もちろんこれも同じく自転車屋の親父に交換修理をしてもらうこととなった。


 また二週間ほどして同じくスポークが折られ、サドルが反対に向けられていた。

 これもサドルを定位置に戻して、スポークを修理することとなった。


 翌日、男子生徒四五名だ屯してこちらをチラ見して軽薄な笑みを浮かべ合っている。

 視線を感じてそちらを見ると、そのグループでは中心格となっている男子生徒と目線が合った。

 鼻で笑ったような仕草と軽薄な笑みを浮かべながら、仲間内に向かったと思うと卑下た笑い声が沸き起こった。

 ここのところ可笑しな様子で目星をつけていたが、奴らが犯人だったのか、それにしてもバレるような事をしてるよな・・・と考えていると急に前方にヒヤッとした霊感があったと思うと声が聞こえてきた。

「お前らに儂の領地は奪われて息子や一族が多々殺された、儂らでは扱えん野太刀を巧みに扱ってあっぱれじゃったが、儂の息子の末期の口惜しさを忘れようもない、領地を失って彷徨ったが敵をとれなんだが、忘れはせんぞ敵がとれるまで諦めはせぬ。」

 と聞こえたと思ったらすっと気配は消えた。


 祖父に先祖の話を聞いてみると、本当かどうかは判らないが七尺もある野太刀を自在に扱っていた先祖が居るらしく、学校から自転車で十分程度走らせたところにある山城まで攻めたことがあると聞いた。これは後々調べてもどうも本当らしい。

 この話を聞き出すと、祖父は何か気付いたらしく、遠い親戚で加持祈祷の研究仲間の叔父と共に、この度の霊の調査をしたらしい。


 犯人と思われる(この段階では確定ではないので)男子生徒の苗字を祖父はとても気にしていた。

 今の時代には明言を避けるべき家筋であるらしく、そういう家筋の者は(神道者から見て)霊に懸かられやすく使われやすい人が多いようだ。

 とくにその先祖でキョゥメを務めていたら尚更だろう。

 この霊的な調査が正しければ、霊的観点から見て南北朝時代からの引き続きの霊障ということになり、自転車を壊した犯人グループは先祖が攻めた地域に住んでいて、地縁によっての霊障ということになる。

 

 もちろん本人たちは霊障とは認識しないだろう。

 単に彼奴が気にくわないとか、目障りだからという感情が主としたものだろう。。。しかし霊障の常態では感情に接触することが多く嫌悪感は最たるものと考えるのも一つだ。

霊に影響を受けやすいものがその中に一人でも居れば、仲間内を煽って行動につなげてゆく、そうした組み合わせがこの度のことだったのだろう。


 なんとも長い間続いている霊障だといえる。

 この体験も霊的な事を研究する動機の一つとなっている。


 後日譚、何度も自転車を壊されるとさすがに小遣いでは追いつかなくなるので、しかたなく教師に相談し無理矢理の解決となった・・・・が、一年後また同じように自転車を壊され、さらに手の込んだ仕掛けをされることとなる。

 結局は同じような結末となるのだが・・・なんとも地味に記憶に残る出来事だった。



次話投稿は27日または11月3日の17時の予定です。

遅筆ですみません。

楽しみに待っていていただけるととても嬉しいです。

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