4話 1-Fの顔合わせ
大変遅くなりました。
AM9:00
アジがスマホをしまった後
あいつ、俺たちを笑いやがった!
スマホをにぎりしめ、鬼の形相をしているデシ。
放課後シメなきゃ気がすまん!
そんな決意を固めたデシであったが
それでもこの男砂漠を目の前にして、机にうなだれずにはいられなかった。
沈黙の教室
黒い学ラン
見えない女子
見たかったブレザー
どす黒い感情が沸々とわいてくる。
ブッ
鳴り響く屁
......
誰かが屁をこいたらしい。
中学の時の俺なら
心の底から笑うこともできただろう。
むしろ称賛の拍手を送ることさえできた。
だが今は高校生である。
屁と決別していかなければならない。
加えて、テンションは最低と来ている。
しかし
俺は......これでいいのか?
そう考えていた時
パチ......パチ...パチパチ
どこからともなく拍手が聞こえてきた。
その音はデシの荒んだ心を癒した。
デシは頬に涙がつたうのを感じた。
気がつけば自分も、いやクラス中が拍手をしていた。
パチ...パチ..パチパチ
ゆっくりと儚い、手のひらを打ち鳴らす音
お互いまだ名前も知らない、
けど
今、確かに友情を作り上げようとしていた。
ここにいるのは学校生活を共にするクラスメートじゃないか!
よく見ろ。
さっきまでとは皆、顔つきが違う。
覚悟を決めた男の目である!
ガラガラッ
教室の扉をひく音
「遅れてすみません」
「皆さんそろっ臭ッ!」
顔立ちの整った、しかし冴えない風貌の男が顔を歪ませていた。
同時にクラスの男たちは額に青筋を浮かべていた。
Fクラス担任が教室に来た。
スーツを来た細長いってイメージの男性、
年齢は20代後半くらいだろうか、髪は短髪。
担任は教卓に立って言う。
「入学おめでとうございます」
「私はFクラス担任教師の吉田です」
「皆さん、もうわかっているようですが、今年からFクラスは男子生徒のみの編成になりました」
「これから一年間楽しく勉学や部活や課外活動に取り組んでいきま...」
「「「「 ふっざけんなあああああ!!!! 」」」」
野郎共は噴火した。
男たちは抗う。 かつてないほどの理不尽に。
「差別だぞこれは!」
「EFクラス以外は女子いるらしいじゃん」
「女子をだせ!」
「男はいらねえぞ!」
「幸せな今日を返せ!」
「女装して別クラスに行ってやる!」
「担任は女性教師だろ常識だろーが!」
溜まったフラストレーションを吐き出す。
予想してた以上に荒れている。
「皆さん落ち着いてください」
「何を熱くなっているのですか? 」
「それとこの教室臭いですよ? 」
「「「「 うるっせええええええ!!!! 」」」」
生徒たちはすごい怖い顔をしていた。
いやいや、うるさいのはあなた達でしょう。
その辺の石っころくらいならムシャムシャ食べそうだなと吉田は思った。
「皆さん、言葉が通じるはずです」
「話し合いましょう」
「先ほど、差別じゃないかという声がありましたが反論します」
「これは差別ではなくて区別です」
デシは考えた。
それって
...それって
どういうことだ?
「せんせえー、差別と区別の違いを教えてくださーい」
それはですね、
と言いかけたところで吉田は生徒たちの顔つきと左手首にある腕時計を交互に見る。
思わずため息をついてしまった。
悪い癖と思っているがなかなか直せない。
「じゃあ、差別でいいです」
「「「「 はあああああああ!!!! 」」」」
吉田は迫る入学式の時間を優先した。
「学生手帳はちゃんと読んでくださいね。 男性と女性で制服は別れていますからね? 」
誰かが怒鳴る。
「知ってるんだよ、そんなことくらいよー 」
担任の吉田は続ける。
「君たちとEクラスの生徒は女子生徒のみの一年AB教室には入ると停学処分になるんで気をつけてくださいね」
「」
皆、黙り込んでしまった。
知らなかった。
絶句した。泣いてる者もいた。
「あと、このクラスの担任に私が選ばれたのは意味があります」
「私はこのクラスでないとダメなので、そこを否定されると悲しいです」
「それに私はこのクラスを卑下してほしくないです」
「今日からはじまる高校生活を皆さんで楽しみましょう」
「それに皆さんが良い成績を修めたら、きっと素晴らしい素敵な高校生活になるでしょう」
冴えない男は
目を輝かせてクラス中に向けて発言した。
この担任は見た目と違って
生徒思いの教師なのだろうとデシは思った。
クラスの男たちは周りの男たちに目をやる。
このクラスの男子が女子以外にも興味を持つことができたのである!
クラスに女子はいないが、青春を過ごせる、そんな気がする。
「さぁ、皆さん、体育館へ移動しましょう! 」
「「「「 はいっ!!!! 」」」」
1-Fクラス担任の
吉田の呼び掛けに全力の「はい」で生徒は答えた。
この後
Fクラスが他クラスからどのように見られているか知ることになり、
そして可愛い女子を視界に入れてしまったことによるFクラス男子の反乱が置きた。
担任吉田の
入学式に最低の評価をされたなら、後は良いことをして評価が上がるだけですよ。
まるで少女漫画みたいですね。
の発言により無事に1-Fの反乱を止めることに成功した。
ありがとうございました。