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輪廻転生  作者: 香月薫
第3章
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第51話  アレスからの接触

 王太子妃教育の講義が終わっても、休むことができなかった。

 まだまだやることが、残っていたのである。

 精神的に疲れている身体で、リーシャはトレーニングルームに足を運ぶ。

 最新鋭の器具が取り揃っているトレーニングルームで、身体を鍛えるためだ。


 新しいウェアが用意されているが、結婚する前に、家で使用していた着慣れたウェアに、袖を通していたのである。

 真新しいウェアに、気後れしていたのだ。


 今までスポーツジムや、身体を動かしたことがないので、身体が硬くなっていた。

 少しでも、鍛えるためのカリキュラムを、時間を見つけては、組み込んでいたのである。

 これまで、何度か、ここに訪れ、ハーツパイロットとしての基礎体力作りを行っていた。


 自動で、扉が開く。

 思わず、その場に立ち尽くしてしまう。

 流れ込む光景に、驚きが隠せない。


 一番先に目に飛び込んできたのは、天井から吊るされたボクシングの練習に使う、真っ赤なサンドバッグだった。

 今まで、トレーニングルームになかったものだ。

 それが、急にあることに、違和感を憶える。


「何で? こんなものがあるの?」

 皆目見当も、つかない。

 距離を詰め、触ってみる。

 どう見ても、テレビでしか見たことがない、ボクシングで使うサンドバックだ。


 リーシャの口角が、ニタリと緩む。

 好奇心の虫が疼いた。


「何、何」

 興味を抱き、叩いて、感触を確かめた。

 予想以上に硬く、逆に手が痛くなってしまう。

 なぜ? ここにあるかと言う疑問符が、すでに消えている。

 目の前にあるサンドバック一色だ。


「こんなに、硬いの?」

 意外な硬さを知って、面白さに首を傾げる。

「楽しい」

 キラキラと目を輝かせ、ペチペチと、何度も叩いて遊んだ。

 叩かれても、サンドバッグは、ピクリとも揺れない。


 突然に、隣のトレーニングルームと、繋がっている扉が開く。

 いったん外に出なくても、隣り合わせのトレーニングルームは、扉で繋がっていた。

 隣でトレーニングしていたアレスが、汗でしっとりしている髪のままで立っている。

「アレス……、何で?」


 パートナーのスケジュールを知らず、隣でトレーニングしていたことに、瞠目していたのである。

 まさか、同じ時間帯に、来ていたとは思ってもみなかった。

 相手の様子を窺うために、表情が乏しいアレスの顔を眺める。

 相変わらず、何を考えているのかわからない。


 嘆息を吐く前に、珍しくアレスの口から先に動く。

「基礎体力作り、ちゃんとやっているのか」

「やっているわよ。言われなくたって」

 即答で返した。


 完璧主義者のアレスは、デステニーバトルのパートナーの調整具合を、確かめにきたのだ。

 ハーツの適合率の他に、二人のシンクロを同調させる、シンクロ率も大切なことだった。

 ハーツの相性と、パートナーと息が合っていなければ、ハーツは起動しても、能力が発揮できないのである。


 全然できていないのに、横柄な態度に、カチンとし、さもできているかのように、余裕な振舞いを窺わせた。

 ただ、意地を張ったのだった。


 表情や仕草で、相手が何を考えるのか、読む力が長けているアレスの方も、浅はかな行動を見透かすが、表情一つ変えない。

 わかりやすい行動を、単に見込んでいたのである。


「そうか」

「それより、これは何?」

 不可思議の原因である、真新しいサンドバッグを指した。

 その答えを、示してくれると知っていたからだ。


 トレーニングルームを変えられるのは、もう一人の使用者であるアレスしかいなかった。

 すべてを意のままに動かせるぞと、言っているとしか思えない態度に、対抗するため、強気な態度を崩さない。

 トレーニングもせずに、好奇心の塊となっているサンドバックで、遊んでいたことを、まだ気づかれていないと思っていたのだ。


 当のアレスは微塵も、そんなことを思っていなかった。

 ただ、別なことを巡らせ、内心楽しんでいたのである。


「お前のために、用意させた」

「はぁ?」

「そこら中で、練習してただろう」

 意味深なセリフを口にした。

「へぇ?」


 きょとんとしている面白い顔に、内心で面白がっていたのである。

 この表情を見るために、わざわざ用意したのだ。

 表の表情と、口調は、冷静そのものだった。


「お前の脳みそは、人間以下だったとは、知らなかった」

 大げさな仕草をしてみせた。

 その口角が上がり、いたずらな微笑みを覗かせている。

 気づかずに、挑発の罠に沈んでいく。

 素直に剥れるリーシャ。


「人間以下とは、何よ」

「だって、そうだろう? クッション使って、練習していたのも、忘れたか、それにエアでも、練習していただろう」

 いつの間にか、吊り上っていた眉が、元に戻っていた。

 徐々に、眉が困ったように寄っている。


 表情が乏しいアレスは、自由自在に変わる対象者の表情を楽しむ。

 自由自在に変わる表情を、楽しむのが、最近の日課となっていたのだ。

 そのために、サンドバックをトレーニングルームに、セッティングさせたのだった。


「クッション? エア? ん?……」

 ようやく、クッションをアレスの顔の代わりとして、殴っていたことを思い出した。そして、憎たらしいアレスの背中に向かって、エアでパンチを繰り出したことも、鮮明に蘇えったのである。

「あっ! ……あれのこと……」


 チラッと、優雅に微笑む姿を確かめた。

 見られたくない相手であるアレスに見られ、その言い訳として、ボクシングの練習をしていたと言ったのを、はっきりと思い出したのである。

 まさか、用意されるとは思わず、咄嗟の苦し紛れの言い訳に過ぎなかった。


 渋い表情を垣間見、アレスの瞳が笑っている。

 面白いと感じるほど、表情がコロコロと変化していった。


「あ……あれのこと、忘れていないわよ。それより、どうして、ここにあるのよ」

「大好きって、言っていただろう?」

「はぁ?」

「大好きって、言っていただろう」

 サンドバックを指差した。

 無表情な顔に、なぜか意地悪さが感じざるおえない。


(絶対、困っている私で遊んでいる!)


 悔しげに、唇を噛み締めた。

「……しっかり憶えているんだ」

「当たり前だ。人間以下の頭とは違う」

 横柄な態度だ。

「いちいち人間以下って、言わないでよね」

 こともなく歯向かう姿勢を、密かに気に入っていたのだ。


 颯爽と、アレスが部屋の奥へ入り、サンドバッグを軽く叩く。

「クッションや、エアよりは、いいと思って、僕の優しさで用意させた」

 憎たらしいとしか思えないアレスの顔が、傍で立っているリーシャの不機嫌な顔に近づいた。

 爆発そうな、その表情を言葉巧みに突っつく。

「優しい夫だろう」


「……」

「好きなだけ、練習したまえ」

 綺麗な顔に、一瞬だけ見惚れてしまう。

「……本当に、ボクシングの練習だと思っている訳?」

 楽しげにほくそ笑む。

 さらに、綺麗な顔が際立つ。


(何だって、無駄に顔が綺麗な訳? 腹立つな、マジで)


「ああ。だから、用意させた」


(違うわね。私に意地悪するために、用意させたのよ、絶対に!)


 ほくそ笑む姿に、確信を得る。

 不機嫌色に染まっていくリーシャ。

 対照的に、口角が上がっているアレス。


「グローブも、あるぞ」

 さらに追い打ちを掛けた。

 バカにするような視線で、新しいグローブを指す。

 促されるがまま、指し示した方へ傾けた。

 新品のグローブが置かれている。


「見せて、貰おうか」

 不敵に笑う姿が、苦々しく思えた。

「……」

「どうした? 見せてみろよ」


(付け方、知らないわよ。悔しい……。絶対にやってやりたいのに、できないなんて。本でも買って、勉強しておけばよかった、ボクシング。見てなさい、絶対にやってやるんだから! それで絶対に、ノックアウトしてやるんだからね!)


 苦虫を浮かべた。

 ボクシングと言うスポーツで、グローブをつけ、殴り合いをしている程度の知識しか、なかったのである。

 全然グローブの付け方なんて、知らなかったのだ。


 アレスの方も、ボクシングの知識も、乏しいと把握していた上で、サンドバッグやグローブを用意させ、困らせて遊んだだけだった。

 平静を取り繕って、その場をどうにか、終わらせようと試みる。

「……そのうちにね」

「そのうち? 今だ」


 早く見せろと言う態度を崩さない。

 どうにか切り抜けようと、頭をフル回転させた。

「私、油絵を描かないと。すっかり忘れてた」

 ぎこちなく笑う姿を、じっと観察する。

「嘘だな」

 視線が宙を彷徨う。


 引くに、引けない状態だ。

 確かに、提出する油絵は存在していた。

 だけど、提出期限は、まだ長い。


「ホント。提出期限もないし、このところいろいろと、急がし……」

「歩き回ることがか」

 突っ込んで、最後まで言葉を言わせない。


 無駄と判断し、ガックリと首を落としていたのである。

 結局、開き直って、訳のわからないことを言い始めるしかない。

「……別にいいでしょ。アレスはここで生まれ育って、知っているかも、しれないけど、私は全然知らないのよ。大体宮殿が、いっぱいあり過ぎるのが悪いの。これじゃ、どうぞ見て廻ってくださいと、言っているようなものじゃない。……訳がわからないわよ、いくつも、部屋があって。だから、私は憶えようと、歩き回っているんじゃない」


 途中で、息をするのも忘れ、言い終わると同時に、肩で息をしている。

 言葉の端々で、チラチラと視線を傾けているアレスの顔を窺った。

 全然、変わらない表情に、打ちひしがれるしかない。


(もう、好きにして。どうして、アレスって、こんなに意地悪なのよ)


「僕だって、全部知っている訳ではない」

「全部、知らないの?」

 意外な話に、食い入るようにアレスの顔を覗き込む。

「当たり前だ」

 冷ややかな眼差しで、部屋数の多さに、困惑しているリーシャを眺めた。

「住んでいるアレスでも、知らないことはあるんだ」


(バカか。マニュアルも、全部読んでないのに、王宮の中を憶えられる訳がないだろうが。それによく憶える気になるな、こんなくだらないこと。憶えようとする能力を、どうしてマニュアルに注がない? まったく理解できない思考だ)


 範疇を超える言動に、腹を立てながらも、さらに興味が湧いてくる。

「じゃ、戻るね」

「トレーニングは?」

「また、別の機会にする」

「……」


 呆れられた視線を、注がれているとも知らずに、いつも頭ごなしに言うアレスでも、知らないことがあるんだと、足取り軽やかなで、トレーニングルームを出て行こうと、扉に向かった。

 その後を追うように、アレスもついてきていることに気がつく。

 リーシャの表情に、恨めしそうな表情がない。

 すっかりケンカしていたことを、忘れていたのである。


「トレーニングしないの?」

「もう、した」

「そうなの?」

 考えない頭に、どうしたら、こんな思考になるのかと、思わずにはいられない。

 歩きながら、二人の会話が、また始まる。


 絶好のタイミングとばかりに、後ろ歩きしながら、次々と話しかけていった。

 そんな歩き方では、転ぶぞと思うが、口に出さない。

 珍しくアレスの方も、短い答えであったが、リーシャの問いかけに、答えていったのである。


「じゃさ。仮宮殿には……えっ……」

 突如、話が途中で途切れてしまう。

 目の前を歩いていたリーシャが、アレスの視界から消えていたのである。


 もう少し話そうと、立ち止まろうとし、壁に寄りかかろうとした瞬間、回転した壁の裏側にリーシャが入り込んでしまったのだ。

 視線を下げると、思いっきり尻餅をついていた。

「痛い!」


 状況が読み込めず、回転した壁の裏側に、入り込んだことに気づいてない。

 辺り一面、長年溜まっていた埃や塵が舞い上がる。

 舞い上がっている埃や塵を、アレスが手で払う。


「何なのよ。もうー」

 涙目で、腰の痛いところに、手を当てる。

 痛みが少し和らいだところで、埃が舞っている状況を、ようやく知ったのだ。

「何? 掃除やってないの? 珍しい、いつも綺麗なのに」


 的外れな言葉に、呆れた。

「掃除の問題じゃないだろう」

「どういうこと?」

 抑揚のない声で、突っ込んだ。

 瞬きしながら、呆れているアレスを見上げている。


「状況を、理解しているのか?」

「んっ?」

 嘆息を零すアレス。


「お前、今どこにいる?」

「どこって……」

 尻餅ついたまま、周囲に視線を走らせた。

 壁の中に、すっぽりと自分が入っていて、今まさに自分がいる場所は、漆黒の闇へ続いている、ど真ん中だった。


 視線を、正面のアレスに戻す。

 綺麗に掃除されている廊下に、立っていた。


 呆れた表情を匂わすアレス。

 立っている場所は、先ほどまで二人で歩いていた廊下だった。

 自分がいる場所は、冷たく湿った感じがする、通路の壁の奥に、座っていたのである。

 その先は、真っ暗な通路が、繋がっていたのだった。


「アレス、ここは?」

 素直に、目の前に立っている王宮に慣れているアレスに尋ねた。

「知るか」

 ばっさりと、吐き捨てた。

 突き放す態度に、口を尖らせる。

「意地悪」


 ひんやりとした風が襲う。

 リーシャの背後は、真っ暗で、何も見えない。

 だが、奥深くまで、続いているように思えた。

 吸い込まれるように、視線が剥がせなくなる。


「風……」

「隠し通路で、深く続いているようだな」

 喜怒哀楽の表情をみせずに、淡々と分析していく。

「隠し通路?」

 聞き慣れない言葉に、首を傾げる。


「戦争や内乱、そんな揉め事が王宮にあった時に、王族が使う通路だ。ようは、この通路を使って、密かに外へ脱出して、逃げるためだな」

「へぇー」

 好奇心を擽る言葉に、きらびやかに、瞳が光る。


「この手の話は、昔から、どこの国でもある話だろう」

 冷静沈着なアレスが、入口の周辺や、中の様子を慎重に観察していた。

 奥を照らす、明かりがない。

 先に進められないほど、奥へ行けば、行くほど、闇に閉ざされていたのである。


「そう言えば、歴史ドラマで……」

「お前の頭は、ドラマでしか、物事を考えられないのか」

 考える基準が、ドラマなことに、冷ややかな眼差しをしてしまう。

「そんなこと、ないもん」

「そうは、思えんが?」


 剥れているリーシャに、さらに話しかける。

「聞いたことのない通路だ。それに、どうみても、何十年も、下手したら、それ以上、使われた形跡がないな。もしかすると……」

「そうなんだ」

 輝きが増す好奇な翡翠の瞳。

 最後までアレスの呟きを、耳にしていない。

「ところで、いつまでそう話している」


 訝しげにアレスが、真下にいるリーシャを見下ろす。

「……だったら、手を貸してよ」

「手を貸す?」

 言葉の意味がわからずに、首を捻る。

「手を出して」

 まだ座ったままのリーシャに、促されるように、手を出した。


 何の迷いもなく、その手を掴んだ。

 掴まれたことに、驚くアレス。


「引っ張ってよ」

「……」

 言葉の意味を、ようやく、ここに来て知った。

 ここまでして、手を払うこともできずに、引っ張って、座り込んでいたリーシャを、立たせる。


「ありがとう」

 純粋無垢に、微笑む。

 じっと、見てしまう。

「……」


「じゃ、早速探検♪」

 無謀にも、闇に入り込もうとする肩を掴む。

 好奇心を、無理やりに止められ、剥れた。

「早速じゃ、ないだろうが!」

 怒気が、混在している。


「どうしてよ」

「当たり前だろう? 準備も、下調べもなしに、行く気なのか」

「大丈夫よ」

 楽観過ぎる思考に、よく生きて、これたなと感心するしかない。

 準備もなしに、無謀過ぎたのである。


「ダメだ。明かりもなしに、どうやって、進む?」

「壁を、触りながら?」

 単純な思考に、今度は頭を抱える。


(何で、こうも、自分が思うがままに動く?)


 思考を、目の前の通路に移した。

 この通路が、まっすぐとは限らない。

 途中で十字やY字になった場所もあると、予測が立てられるからだ。


 王族が使う通路で、簡単なまっすぐの通路が、ありえない話だったのである。

 知られないように、知られても、見つからないように逃げるために、いくつもの細工が施されていると、考える方が自然だった。

 その思考に至らない、ただ好奇心そのままに、入り込もうとする神経が、アレスにとって信じられなかったのだ。


「中を確かめるにも、準備が必要だ」

 俯いたまま、諭すように呟いた。

 積もっている塵や埃に、足跡らしい形跡が見られない。

 慎重な準備が必要と、巡らせる。


「みんなに知らせたら、楽しくない」

 ダメと拒否され、拗ねる。


(楽しいか、楽しくないの、問題じゃない!)


「知らせる訳、ないだろう。ここは王族が使う場所だからな」

「ホント」

 単純に、瞳を輝かせ喜ぶ。


「いいか。今日は、ダメだ」

「えー」

「ダメだと言ったら、ダメだ」

「いつなら、いいの?」

「準備が揃ってからだ」

「……」

 揺るがない雰囲気に、萎む。


「勝手に、一人で行くのも、なしだ」

 好奇心旺盛で、猪突猛進の傾向がみられるリーシャが、勝手に行くのを、阻止するために釘を刺した。

 これまでの行動を考慮し、性格を読み、一人で行く可能性が、大きいと判断したからだ。


 実際に、ダメだと言われも、こっそりと一人で来て、探索しようと、巡らしていたのである。

 自分の思惑を見透かされ、どうにか逃げようと、リーシャなりに逡巡した。


「別に、私は……」

 なかなか言い逃げる妙案が、浮かばない。


「今、一人で行こうと、思っていただろう」

 鋭い双眸を、傾けられている。

「別に、そんなこと……」

「思っていた」

 断言されてしまう。


「はっきり、言わないでよ」

 決めつけられ、話の流れで、うっかり認めてしまう。

「認めたな」

 完璧を匂わすアレスにいじける。


「いいな。一人では行くな。これは僕と、リーシャの二人だけの秘密だ」

「秘密……」

 寂しいと言う色が、少しだけ華やいだ色に色づく。


「誰にも、話すな。そして、一人では、行動するな」

 うんざりするぐらい繰り返し、釘を刺した。

「……うん」

 二人だけの秘密ができたことが、嬉しかった。

 秘密を分け合え、繋がっていなかった絆が、繋がっていく気がしていたのである。


「約束だ」

「わかった」


 素直に受け入れるリーシャの行動に、気づいてない。

 早く、準備を整わなければ、一人でいってしまう可能性があると抱き、その準備の計画をどう手を打つかと、考えを広げていたのだ。

 回転した壁を直し、何事もなかったように、二人は自分たちの部屋に戻っていった。


読んでいただき、ありがとうございます。

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