第187話
あけましておめでとうございます。
本年も、よろしくお願いします。
昨年中には、再開させる予定でしたが、
本日から、再開となります。
怪我はまだ完治していないのですが、
だいぶ、調子もいいので。
体調の方は……、よかったり、悪かったりの状態です。
でも、投稿の方には問題ないので、
頑張っていこうと思います。
では。
このところ、自分の部屋に、ラルムが、こもっている。
リーシャ同様に、頻繁に、学校を休んでいた。
部屋にこもって、人脈を使い、他国の、あらゆる情報を集めていたのである。
休む要因としては、リーシャも、学校を休んでいることもあった。
リーシャがいない学校にいっても、空しいだけだと、いこうと思えば、いけた学校を休んでいたのだった。
そして、海外生活で培った人脈を、数日前からフルに使い、現在は、徐々に、情報がラルムの元へ届けられていた。
国内のことも、警戒しているが、国外にも、目を光らせようとしていたのだ。
母メリナとは違う、独自の情報網を、使用していた。
それらを、自室で、精査していたのである。
急用がない限り、部屋への出入りを、禁じていたのだった。
「久しぶり、ジャスティ」
「また、修復してほしい物でも、出てきたのか?」
海外の友人に、電話をかけていた。
部屋の中は、綺麗に片付いている。
息抜きに、大きなキャンパスに向かって、絵を描いていたのだ。
今は、その絵に、白い布がかけられていた。
広い部屋には、書きかけ途中の絵が、白い布をかけられ、無数に、置かれている状態だった。
「いや。送ってくれた情報を、詳しく聞きたくって」
「そっちか」
「うん。で、そっちの国では、騒がしいの?」
「ああ」
何となく、ラルムの中で、以前、住んでいた海外の様子が、想像できていた。
ジャスティは、修復士と言うこともあり、セレブな人間との、強いつながりを持っていたのだ。情報を求められ、すぐさま、知っている情報を、ラルムに送っていたのだった。
貰った情報が、ラルムの中で、引っ掛かりを憶えたので、直接、聞くため、ジャスティに電話をかけたのだ。
「これまで、何もしていなかったんだ。徐々に、おかしいじゃないのかって、思い始めているぞ」
「そうか……。それに、うちの国から、そちらの国へ、情報を、探っている者を、送ったらしいけど、見つかって、送られたようだ。随分と、悔しがっていたぞ」
ラルムのところまで、そうした情報が、一切、流れてこない。
情報が入ったとしても、タイムラグを生じさせていた。
シュトラー王の孫とは言え、厳重に、そうした情報が、隠されていたのである。
ラルムとしても、そうした情報を、掴むことができなくっても、他国から侵入してきた者を、秘密裏に捕まえているだろうと言うことは、理解できていたのだ。
「だろうね」
ラルムの中で、海外で知り合った幾人の顔が、浮かんでいた。
海外で、生活している上で、幾人かの他国の重鎮と、顔を合わすことがあった。
その数人は、未だに、母親メリナと、やり取りを行っていたのだ。
「ま、俺としては、デステニーバトルには、大して、興味は持っていないが、国の命運が掛かっているからな」
軽口を叩く、ジャスティだ。
美術品を愛していることもあり、デステニーバトルに関しては、ほぼ、興味を持っていない。
ただ、政治家や、セレブとの繋がりがあるので、基本的な知識しか、持ち合わせていなかった。それと、親友であるラルムが、デステニーバトルのパイロットの訓練をしていることもあり、気に掛けてはいたのである。
「そうだね」
「ラルムの方は、どうなんだ? 正規のパイロットに、もう時期、なれそうか?」
「そんなの、わからないよ」
気の早いジャスティに、小さく笑っている。
「嘘付け。詳しくない俺でも、ラルムの実力は、知っているんだぞ」
「でも、アメスタリア国は、強い人ばかりだよ」
「そうだとしても、ラルムは、慣れるって」
確信している声音。
ラルムが、首を竦めていた。
アメスタリア国は、デステニーバトルの優勝から、遠ざかっているとは言え、最高理事から落ちたことがない。
最高理事の地位を維持するため、長年、デステニーバトルを強化していたのである。
勿論、他国も、同じだったが、それ以上に、強化と教育に、力を注いでいたのだった。
そうした考えから、能力が高いアレスやラルムは、幼い頃から、訓練をしていたのだ。
「ありがとう」
「その時は、応援してやるよ」
「期待に応えられるように、頑張る」
「ところで、相当、ヤバい連中を、送り込むみたいだな」
ラルムが、気に掛けているだろうことを、ジャスティが、口に出していた。
連絡を受けた時点で、そのことを確認するため、掛けてきたんだろうと抱いていたのである。
「……詳細は、わかるのか?」
「いや。ただ、かなり、ヤバい部隊を、送り込むとしか、わからない。俺としても、気になったから、聞き出そうとしたんだが、向こうも、口が堅くってな。それに、無茶をしても、よくないから、そこで、やめておいた」
「その方が、いいね」
眉間のしわが、濃くなっているラルム。
「だろう?」
(甘くないか……。誰が、ターゲットに、なっているんだろうか? おじい様か、それとも……、突如、アレスの妃となり、パイロットの訓練をし始めた、リーシャのことか? リーシャの祖父が、かつて、おじい様と、コンビを組んでいた、クロス殿の孫って言うことは、容易に調べが、つくだろうしな……。やはり、リーシャが、危険なような気がする。でも……)
「気をつけた方が、いいぞ?」
心配している、ジャスティの声だ。
「……そうか」
「ラルムが、気に掛けている彼女。相当、噂の的になっているぞ」
ラルムが、リーシャに関する情報が、流れていないのかなど、聞いてきたので、今まで付き合ってきたラルムが、同姓異性に対しても、強く興味を抱くことが、なかったのを知っているので、それを耳にしたと同時に、相当、気に掛けていると、ジャスティは気づいていたのである。
何事においても、慎重に構えるラルムの性格を、把握しているので、問い詰めることはしない。
否定するに決まっていると、確信していたからだ。
「そんなにか」
懸念した声で、問い質していた。
「ああ。どこも、かしこも、新しく王室に入った、彼女のことを、噂にしているぞ。いいことも、悪いこともな」
フリーズしているラルム。
ある程度、噂が流れるだろうと、予測していた。
だが、それ以上に、各国が、噂していることに、異様なほどの、危機感を募らせている。
(リーシャ……)
「それと、そちらの人間と、かなり、繋がっている者がいる。少なくないが、情報が漏れているぞ」
「……そうか」
そうしたことは、予測の範疇だった。
(やることが、いっぱいだな)
頭は、リーシャのために、やることで、占められていたのである。
彼女の安寧のために、根こそぎしようと、強く決意していたのだ。
「大丈夫か?」
「……どうだろう」
苦笑しているラルム。
「無理は、するなよ」
「わかっているって」
「俺たちだって、やれることは、手伝ってやるから」
難しい相手を、気に掛けているラルムのために、親友として、何か手伝えることはしようとしていたのである。
「ありがとう」
読んでいただき、ありがとうございます。