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星の小瓶

作者: 香月 風香


 遠い遠い宇宙のはて、それはそれは美しい星の河がありました。キラキラと輝く星達が身を寄せあい、隣の星とぶつかる度に小さな星の子供が産まれます。


 ある日の事です。キラキラと輝く星の河の近くを、美しい物が大好きな魔女が通りかかりました。

 「おぉ! これは、なんと美しい星の河だ! こんなにも美しい星の河は初めて見た!」

 魔女は星の河の事をとても気に入り、この美しい星の河を独り占めにしたくなりました。そこで魔女は、ポケットから蓋の無い小瓶を取りだしました。

 魔女は小瓶に魔法をかけます。

 「小瓶よ小瓶。この美しい星の河を余すことなく全て吸い込んでしまいなさい」

 すると、小瓶は自分の何倍もある星の河を一瞬で吸い込んでしまいました。 そして、魔女は小瓶の入口を近くにいたゴツゴツとした大きな星で防ぎました。

 

 魔女は小瓶の中でキラキラと光る星達に満足し、部屋の窓に飾ることにしました。ですが、美しい物が大好きな魔女の部屋には、異国の金貨や宝石など、魔女が集めたキラキラと輝く物で溢れていました。色とりどりに輝く物の中で、星の河の入った小瓶はポツンとただただ寂しそうに窓辺にいるだけでした。

 

 やがて、魔女は次々と新しい美しい物を部屋へ持ち込み、星の河の入った小瓶の事をすっかり忘れてしまいました。

 

 さて、魔女に忘れられた小瓶ですが、小瓶の中では大変な事が起きていました。小瓶の中では小さな空間に閉じ込められた星達がぎゅうぎゅうと押し合い、コツンコツンと、あちらこちらで星の子供が産まれ続けていました。増えすぎた星達で小瓶はパンパン。今にも割れてしまいそうです。

 こっちでコツン、あっちでコツン。

 もうダメだ、次に生まれ変わるなら甘いジャムの瓶になりたいと、小瓶が割れる覚悟をした次の瞬間、入口で蓋の代わりになっていた、ゴツゴツとした大きな星がポーンッと子気味の良い音を立て外れました。

 

 小瓶から、美しい星達が河となり溢れてでてきます。星達は久しぶりに出た広い世界に喜び、一層キラキラと輝きました。魔女の部屋にあったたくさんの美しい物を巻き込んで以前とは比べ物にならないほど大きく美しい星の河となりました。

 それを見た魔女は言いました。

 「なんてことだ。私が集めた宝石も星も、部屋に飾られていた時の何倍も美しい」

 

 美しい物が大好きな魔女は、美しい物を集める事をやめ、生涯を星の河と共に過ごしました。そして、美しい星の河は今もなお、大きく美しくなりながら、遠い遠い宇宙のはてを流れているのです。

 

  おわり。

 

読んでいただきありがとうございました!

この物語を書いている時にもう一つ思いついた物語があるので似ているけれど全く違う物語を近々投稿すると思います(^^)


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― 新着の感想 ―
[良い点] 綺麗なお話ですね! 好きなものは輝いてるとなお嬉しく感じます。 ジャムの瓶になりたい小瓶の願いも可愛かったです!
[一言] 読ませていただきました。 魔女は生涯を星の河と過ごせて幸せだったと思います。 ステキなお話でした。
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