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79 突入!決戦の地へ!

「なんやかんやで到着しましたわ! さぁ、敵はどこ!?」


 既に魔法少女の姿に変身した銀華が先頭に立ち、威勢よく叫ぶ。大変だった。大変な道のりだった。

 私、銀華、瀬良ちゃんの3人は高校の校庭に侵入し、周囲の制止を聞かずに校庭に空いた巨大クレーターの中へ突貫し、異空間の中へ入った。多くの人に目撃されてるが、身バレ防止の為に変身後の姿で突入したし、まぁ……もう考えないことにしよう。何よりも優先すべきはキッカ姉ちゃんの身の安全だ。

 しかし、キッカ姉ちゃんが苦戦するような相手に、この面子で大丈夫なのだろうか。こんなときにむつきがいてくれたらいいんだけど……


「近くに来てみると、更にすごいやばい感じっすね……全盛期のうちでも敵わないかも」


 瀬良ちゃんが珍しくシリアスに喋ってるけど、あんた一般人だから最初から戦力に入ってないよ。


「でも大丈夫! うちらには良子ちゃんがいる!」


 なんだその信頼。あんた私が戦ってるところ見たことあるっけ?


「インフルかかってる病人に期待しないで。主戦力は銀華で」

「わたくしが主戦力? 分かってるわね、シュガー!」


 適当にノセるだけで調子にのる銀華お嬢様。この子ホント扱いやすい。


「わたくしが先頭を行きますわ! どんな悪魔だろうとかかってこいですわー!……わふっ!?」


 先頭を行ってた銀華の足が突然ズボッと沈んだ。


「うぅ、沼? ……ひぅっ! 血が、血がぁ!?」


 銀華は足元を見ると、血相を変えて青ざめる。銀華の足がハマったのは、血溜まりだった。そのとき、空間に見知らぬ少女の声が響いた。


「いち、にぃ、さん……これで魔法少女は5人。全くノアのヤツ、『この町に魔法少女は3人いる』とか言っておいて、とんだ嘘つきね。数も数えられないのかしら」


 いつの間にか血のような赤いワンピースを着た少女がいた。


「あ、あなた! 一体何者ですの!?」

「私は恐怖フィアーよ。ああ、そっちは名乗らなくていいわ。小蝿に興味ないのよ」


 狼狽している銀華に対して、フィアーと名乗った少女は淡々としている。こいつ、異空間に待ち伏せてた? ということは魔法少女? いや、人の形をしてるけど、もしかして……私が考える間もなく銀華は行動を起こす。


「敵と判断してよろしいのですわね! 邪魔をするなら、どいてもらいますわ! 拘束魔法ジェイル・マギア! 悪辣なる鎖縛結界イビル・チェイン!!」


 小蝿と呼ばれて怒った銀華が魔法を使い、攻撃を仕掛ける。鎖がジャラジャラと音を立てて伸びてきて、蛇のごとくフィアーに襲いかかった。


「お粗末な魔法ね。『血よ、渦巻けブラッディ・スクリーム』」


 そう言ってフィアーが腕を振りかざすと、血の色をした渦が鎖にまとわりついて固まった。血で固められた鎖はうんともすんとも言わない。


「ひうぅ、また血ぃ……」

「あうう、良子ちゃん! 血イヤっす! 怖いっすぅ!」


 血を見て怯える銀華と瀬良ちゃん。こいつら使えねぇ……

 銀華の肩に乗った神獣の鼠がこっそり声をあげる。


「チュッ……この禍々しい気配、そして人型……こいつ、もしかして上級悪魔……?」

「間違いなさそうっすね……まぁ、奥にいるのよりマシっすけど、こいつも十分脅威っす」


 上級悪魔? 今まで会ってきた悪魔は下級と中級だった。上級ってどんだけ化け物なんだろうかと思ってたら、見た目ただの人間だ。


「なんですの! 上級だかなんだか知らないけど、普通に見えるし、全然こわくなんかありませんわよ!」

「ま、目に見える脅威度じゃ魔力を撒き散らしてる中級の方が怖く見えることもあるっすけど、上級の恐ろしいところは魔力を完全に制御してて、確立した個を持ってることっす。そして人に化けることも出来る」

「なんにせよ、突破しなくちゃいけないってことね」


 仕方なく私が前に出る。血にビビってる子たちがまともに戦えるか不安だからね。


「あらぁ、貴女が相手?」

「通らせてもらうわ」

「この先進むと確実に死ぬけどいいのかしらぁ?」

「確実に死なないから大丈夫」

「そう……なら死になさい。『死せる兵の行進デスマーチ』」


 私が彼女を無視してそのまま進もうとすると、フィアーは右手を上げて魔法を唱えた。すると地面の血の沼からずずっと剣を持った骸骨の兵たちが出て来る。それも一体や二体ではない。百体くらいわらわらガチャガチャと骨の音を鳴らしながら出てくる。


「ひっ……ひううううう!?」


 銀華が泣きそうだ。ホラー苦手なのだろうか。


「あ、うちは血は駄目っすけど骸骨は大丈夫っす。絵でもよく描くし」


 瀬良ちゃんの方は平気そうだ。しかし参った。私は接近攻撃しか出来ない。こうやって物量で押すタイプは……まぁいいや、考えるのめんどい。進もう。私はステッキを持ってずんずん進む。骸骨達が一斉に襲いかかってきた。


 がきん! がきん! がきん!

 ばきっぐしゃっぼきっ!


 てきとうにふるったステッキに当たった骨がいい音を立てて折れていく。数にまかせた骸骨兵の剣が私の体を滅多打ちにするけど、私の体に当たると同時にぽきんと折れたので、私は無傷である。中級悪魔の攻撃も効かなかったんだ。こいつらの攻撃なんかが効くわけない。

 それを見て、今まで余裕ぶってたフィアーが初めて感情をあらわにして叫ぶ。


「あ、あなたねぇ! これ骸骨よ!? 人の死体よ!? こんな風にぽきぽきって簡単に折るなんて、どういう神経してるのよ!? この……罰あたり!!」


 いや、知らんわ。骸骨操っているアンタの方が罰当たりなのでは?


「先行くわよ」

「あ、ちょっ、待ちなさい! こらぁっ!」


 私の肩をつかんで止めようとするフィアーだが、そのとき突然空から飛来物が!


「めゔっ!?」


 ごつんと思いっきりフィアーに命中した。飛んできてぶつかったのは……


「うぅ……いくら痛覚がないとはいえ、これは……うん、骨は折れてない。クッションがあって助かっ……た……?」


 外れた帽子をかぶり直しながら、体をぱんぱんしながら立ち上がった人影。


「……良子? どうしてここに!?」


 むつきだった。あの、足元なにか踏んでますよ。

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