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40 元魔法少女/現在ニート

 懐かしい夢を見た気がする。

 私が神社で初めて神獣と出会い、魔法少女になった頃の夢。

 あの頃は自分に自信が持てなくて、ただ強烈に変わりたいと願っていたことを思い出す。そしてあのとき、普通の女の子だったはずの私の運命が変わった瞬間であった。


 ゆっくりと目を開けると、時計は2時を指していた。

 ねぼけた頭で部屋を見渡すと、壁中にべったべたに貼られたアニメのポスターと机や床に散乱した本、衣服、お菓子の袋、ティッシュが見える。

 急速に私は意識を取り戻し、現状を認識する。ああ、私はもう中学生じゃない。魔法少女じゃない。水龍のスイちゃんもいない。そう、今の私は……


 28歳の独身ニートでした。


 私の名は瀬良(せら)清美(きよみ)。元魔法少女だった者です。


 取り敢えず、そろそろ起きて朝ごはんを食べなければならない。昨日は午前5時までアニメ観ながら絵描いてた。私は夜行性なので、ニートになると自然と生活が不規則になってしまうものだ。

 習慣のようにソシャゲのログインボーナスだけ貰おうと、スマホを開くと、珍しくCメールが一通来ていた。えーとなになに?


 発信者:キッカ先輩

 今日、新しい魔法少女を連れて訪問するので、よろしく。


 端的に書かれたメール内容。私の頭に一瞬疑問符が浮かんだが、急速に理解して戦慄する。今、何時だっけ!? 2時だよね! というかいつ来るか書いてないんだけど、このメール! 客を入れるのか、このゴミ部屋に!

 いやいや待て私、KOOLになれ。とりあえずメールに返信だ。「いつ来ますか?」……送信っと。時間確認してそれから行動しよう。てぃんぽんっ♪と音をたてて早くも返信がきた。はやっ!こんなに返信早いの、いつものキッカ先輩じゃない!?


 発信者:よしこちゃん

 もう着いたよ


 は!? なんでキッカ先輩にメールしたのに良子ちゃんからメールが来るの!? 二人一緒なの!? ナンデ!? てかもう着いたって!?

 私が混乱してると、玄関のチャイムがリンゴーンと鳴る。この汚部屋に入れるわけにはいけない!ととと、とりあえずどうすればいい!?あわわ、あわわわお母ちゃーん!

 がちゃりと玄関の扉が開く。鍵は特にかけてない。玄関から良子ちゃんの声が響いてきた。


「セラちゃーん。きたよー」

「はいはいただいまー!」


 高速でそこらに散乱している服をひっつかみ、10秒で着る。年頃の乙女アラサーに似つかわしくないお子様パーカー。中学生の頃に着ていて、今じゃ部屋着扱いだが、まぁ良子ちゃん相手ならおっけーな気もする。あ、でも新しい魔法少女連れてくるって言ってた気がする。初対面の相手にこれってどうなの? え、ていうか新しい魔法少女連れてくるってどういうこと!? 今までそんなのなかったじゃん! 魔法少女、ナンデ!?

 混乱しながらも迅速に部屋から出る。玄関の一番先頭に立っていたのは良子ちゃん。その後ろにチラッとキッカ先輩が見えた。やっぱり一緒か。


「おはよ。遅い朝だねセラちゃん」


 良子ちゃんがしれっと私が今起きたことを見抜いた。ううぐ、するどいやつめ。私も挨拶を返す。


「ど、どーもー。久しぶりっすね。どしたんすか、急に」

「セラちゃんにお客さんがいるのよ。とりあえず何か履いたら?」


 良子ちゃんに指摘され、自分の体を見るとパーカー着てただけで下に何も履いてなかった。大きめのパーカーだから隠れてるけどさ。


「はぁ……相変わらずだらしないわね。どうしてこうなったのかしら」


 やれやれとばかりにキッカ先輩がため息をつく。良子ちゃんも便乗して言う。


「今日は人連れてきてるんだからしっかりしてよね」

「え、いやいや聞いてないっすよ!?」

「メールにも届いてたでしょ、新しい魔法少女」

「え、なんで良子ちゃんの口から魔法少女なんて単語がでるんすか!?」


 良子ちゃんには魔法少女だったってことは隠してたはずだ。はっ、もしかしてバレた?いや、バラしたのかキッカ先輩。私がキッカ先輩を見ると、無言でにこりと笑って返した。その笑顔こえーっす、先輩。


「あー、うん。その前に一つ聞いていい?……セラちゃんが魔法少女だったってほんと?」

「……まじっす」

「あー……うん。ご愁傷さま」

「なにが!?」


 何故か憐みの目を向けてくる良子ちゃん。やめて、その目で私を見ないで。目線を外した良子ちゃんが後ろの方に手招きをしている。


「ほら、むつき。これが貴方の会いたがってた元魔法少女だってさ」

「ちょ、ま! 初めて会う人の前にこの姿をさらさせるなんて鬼畜っす! ちょっと着替えてくるからそこで待ってるっす!」

「ああ、遠慮しないでいいからとっとと部屋に入らせてもらうわ。汗かいたからクーラーのある部屋に行きたい」

「ちょ、何勝手に上がろうとしてるんすか! 部屋の掃除もしてないんすよ!」

「だらしない生活してるんだから余すところなく見てもらうといいわ、このニート」

「うわあああん! 良子ちゃんがいじめるーーー!!」


 私の許可を得ずに、鬼畜眼鏡の良子ちゃんは堂々と部屋に入っていくのであった。なにが良子だ! 完全に名前詐欺じゃないか! どういう教育を受けたらこんなドSに育つんだ!


 この後、私の部屋の惨状を見た良子ちゃんが、「これはひどい」と言いつつ微笑みながら出てきて、結局リビングを使うことになった。母ちゃん助けて! ここに悪魔がいまーす!

 あ、母ちゃん今日パートでいないんだった。

新キャラ登場です。このニートは口語と地の文で話し方が違いますが、仕様です。

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