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26 クロモ、怯える

 キッカ姉が投げた槍が爆発し、針山の悪魔は消滅した。えっと、威力がすごいのは分かるけど、あれ魔法なの?魔法の後ろに(投槍)とか(兵器)とかついてない?あれ?

 うぐぐ、突然キッカ姉が魔法少女として現れてから、圧倒されっぱなしだ。まじ強いです。眷属蹴散らしてるときとか、残像が見えるほど速かったです。そりゃ生身でも強い人が魔法の力を得るとか反則だよね。あれ?生身でも弱い私が魔法の力を得ても弱いってどういうことだ……いや、深く考えちゃ駄目だ、うん。

 呆然としてると、キッカ姉が話しかけてきた。


「あ、ごめんなさいね。元々貴方が戦ってたのに私が獲物を取っちゃって。文字通り横槍入れちゃった。なんちゃって」

「え、あ、はい」


 私がなんとか返事をすると、沈黙の間ができた。慌てたようにキッカ姉が言う。


「あ、今のは私の武器の槍と『横槍を入れる』っていうことわざのダジャレで……」


 自分で言ったギャグの解説してるー!うん、安心した。魔法少女になってもいつものキッカ姉だった。この人はちょっと頭がゆるいのだ。


「そ、それにしても初めて見る子ね。そのコウモリみたいな神獣も珍しいし……」


 クロモが注目されるとビクッ!となって私の後ろに隠れた。どうしたのだろう?もしかして、怯えてる?


『……よしこ、なんかごまかして』

『ん?どうしたの?』

『ボクは無害でかわいいただの神獣です』

『何言ってるんだお前は』


 クロモの様子があきらかにおかしい。キッカ姉と何かあるのだろうか?それともデンが原因?まぁいいや。

 それにしてもキッカ姉は私の正体気付いてない感じだ。まぁ、私の場合髪の色も目つきも違うしなぁ。自分でも「何この別人?」って思うもん。仕方ないか。

 で、どうするか。これから正体隠すべきか、明かすべきか?


『隠す方向で』

『理由は?』

『あなたは魔法少女シュガーちゃんです』

『だから理由は?』

『ボクは世界平和の為に働く善良な神獣クロモです』


 ダメだこいつ。さっきから怯えっぱなしで話にならん。まぁ、あまり姉貴分に心配かけたくないし、元々リアルバレは嫌だったので隠しててもいいか。


「えと、私は2ヶ月前くらいに魔法少女になったんです」

「ああ、その頃私いなかったから……元々この町に住んでたんだけど、最近やっと戻ってこれたのよ」


 うん、転勤だね。そういえばまだキッカ姉の家行ってないな。このへんに住んでるなら今度お邪魔したいな。キッカ姉と話してると、デン……今は神獣の雷電(らいでん)だっけ?が口を開いた。


「積もる話もあるだろうが、先にデビルエレメントを回収するぞ」


 低い男性ボイスだ!うん、今まで普通の犬だと思ってたから慣れないな。というかお前メス……だよね?なんでそんな渋い声出すの?かっこいいじゃないか。


「私は後から来ただけだからいいわ。シュガーさんが先に戦っていたのだから、あなたが貰って?」

「あ、私は何もしてないし、というか私では倒せなかっただろうし、キッカさんが回収するべきですよ」


 私が遠慮していると、クロモが口出ししてきた。


「貰えるもんは貰っとこうよ! せっかくの中級悪魔だよ! たくさんのエレメントが回収できるんだよ!」


 エレメントの話になると突然元気になりやがったこいつ。というかほぼ何もしてない私が手柄を貰うとか、厚かましいじゃない。あと中級悪魔って何? いきなり新単語出さないで。


「あのさ、エレメントってそんなに大事なの?集めて何の意味があるの?」

「はー、シュガーは分かってないね。エレメントの価値が。というか前に説明しなかったっけ?」


 クロモが呆れた感じで言ってくる。何さ、えらそーに。全てにおいてお前は説明不足だよ。


「あのね、シュガーさん。エレメントというのは魂のエネルギーと言われているの」

「魂のエネルギー?」

「そう。私たち魔法少女が魂のエネルギーを使って魔法を使うのは知っているかしら?」


 え、知らないんですけど。魂のエネルギーって何? すると今度はデンが口を開いた。


「人間が元々持っている魂のエネルギーには個人差がある。よって、魔法少女となったものの実力にも個人差がある。だが、悪魔からエレメントを回収すれば、魂のエネルギーが増えてその差は縮まる。つまり、キッカがしたいことは……」


 デンは鋭い目つきで私をじっと見すえた。


「お前のような未熟な魔法少女にエレメントを回収させて、少しでも強くさせたいのだろう。全く、甘いことだ」

「もう、雷電! 言い方ってものがあるでしょ!」


 未熟、ね。全く否定出来ないわ。いまだにステッキ殴りスタイルだし。運動音痴の私にはそろそろ限界があると思っていた。何か新しい便利な魔法が欲しいです。切実に。


「今回だけのサービスだ。貰っておけ」

「ありがとうございます、キッカさん、雷電さん。ではお言葉に甘えていただきます」


 私は遠慮なくいただくことにした。悪魔の消滅した爆心地に向かって走り出すと、クロモが話しかけてきた。


『ねぇ、あの人よしこのお姉ちゃんでしょ?』

『うん、キッカ姉ちゃんよ。あっちは私に気付いてなかったけど』

『そうか……まさかヤツが15年間ずっと魔法少女やってるとはな……』

『クロモ、キッカ姉ちゃんについて何か知っているの?』

『なんと運の悪い……いや、考え方によっては良子をダシにして弱みを握れるか?』

『おいこら、何か聞き捨てならないことが聞こえたんだが。何か企んでないかお前』

『え?なんだいよしこ。ボクは善良な神獣だよ?企むなんてしないよ!』


 絶対なんか企んでやがる……こいつ時折すっごい不穏なことを言うからな。何考えてるのやら。マジカルチャームでの念話ではこいつの心は読めない。私の方は遠慮なく心の声を盗聴されてるのに。不公平だー!


『……我の心が読めたとして、ただの人間の精神で堪えられるとは思えないがな』


 たまに出るクロモの一人称『我』モード。最初こそ急にキャラが変わったように感じて違和感があったが、この口調で話すときは、なんとなくクロモの本心に近い気がした。

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