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25 稲妻のキッカ

 ばしゅばしゅばしゅっ!

 針山みたいな悪魔の体から1メートルくらいある黒い杭が十数本発射される。狙いは良子だ。

 ただ、命中率は悪く、先ほど2回発射されたときはかすりもしなかった。でも今度……やばい、これ直撃コースだ。

 それに対して良子は……あ、動けないで目つぶってる。ちょっとは避ける努力しなよ、この運動音痴!

 魔力がもったいないが仕方がない。ボクは良子の前で防御壁を展開した。これでもこの2ヶ月で下級悪魔17体と中級悪魔1体のデビルエレメントを吸収してるんだ。全盛期にはほど遠いが、このくらいの攻撃防げる。全くもう、借りは高くつくよ、よしこ!


 ばちぃっ!

 一瞬、目の前に閃光が走ったと思ったら、目の前に金髪をたなびかせる女が出現した。飛んできた杭はボクの防御壁に当たる前に全て消滅していた。何が起こったか分からないが、この女が何かしたのだろうか?ていうかせっかく良子に恩を着せるチャンスだったんだけど!


「危なかったわね。大丈夫かしら?」


 女は振り向いて言った。ん?こいつは……どこかで……?


「私は魔法少女のキッカ。こっちは神獣の雷電(らいでん)。よろしくね」


 笑みを浮かべる女。良子は女を見つめて少し呆然としてたが、気を取り直したのか、挨拶を返す。


「わ、私はシュガーです。こいつはクロモって言います」


 良子が名乗ってるときに、空気を読まない眷属が一匹、女の背後から襲い掛かってきた。振り向くこともせず、女は片手で槍を振るい眷属を貫く。うわ、余裕の対応。


「さて、自己紹介もいいけど、まずは周りの邪魔者を片付けなきゃね」

「は、はいっ!」


 良子はへっぴり腰ながらステッキを両手で握りしめ、剣道っぽく前に構える。対して、女の方は右手で槍を支え、左手は軽くそえているだけ。見た目全く余計な力は入っておらず、片足を前に出しいつでも動き出せる感じだ。なんというか、静かで落ち着いてるのに、すごく強そうな感じがする。もう構えだけで分かる。比較対象となった良子があわれなくらい。


 周りには悪魔の眷属の群れが20匹ほど残っている。悪魔の眷属たちが、標的を良子から乱入した女に変えて襲い掛かろうとした。うん、ボクだって良子よりそっちの方が脅威と思うわ。だが、飛びかかられる前に女は囲いに突っ込んだ。速い。人間離れした速さだ。

 彼女が槍を振るうと眷属が消滅していく。あまりにも一方的で堂々とした蹂躙だった。


「うわぁ……なにこれ関羽?」


 全く動けてないダメな良子が女の無双具合を見てボソッとつぶやいた。関羽っていうより、むしろ呂布じゃない?


「さてと、ここにいる眷属はこれで全部ね」


 女は20匹ほどの眷属を魔法すら使わずに槍のみで消滅させた。うん、良子も魔法使えないけど、良子はとろいので数の暴力に弱すぎな感じがする。

 うわー、比較するとどんどん良子が駄目に思えてきた。この2ヶ月、ちょっと強さの感覚が麻痺してて、「あれ?もしかして良子結構いけるんじゃ?」と思い始めたのに。まぁ、下級悪魔ばかりとはいえタイマンじゃ負けなしだったし……

 眷属を全滅させた女がキョロキョロとあたりを見渡すと、犬の神獣が口を開いた。


「キッカ、悪魔の本体はあっちだ」

「うわ、喋った!?ていうか喋れたの!?」


 神獣が喋ったことにびっくりする良子。そりゃ喋るよ。神獣だもん。


「あの針山みたいなのが本体か……遠いわね」

「はい。近付こうとしたら杭が飛んできて、邪魔するんです」

「真っ正面から突っ込むのは無謀ね……シュガーさん、遠距離攻撃手段はないの?」

「すみません、持ってません……」

「なるほど……」


 うん、良子は超近距離でしか悪魔を倒せないからね。そりゃ相手が飛び道具持ってると一方的にやられるよねー。

 良子がうなだれていると、槍の女はにっこりと笑い、こう言った。


「それなら私に任せておいて!こう見えて、私の魔法は遠距離専門なの。ああいう相手は得意なのよ?」

「え?」


 さっき接近戦で無双した女は、なんと遠距離専門だという。女は槍を右手に持ち、腰を落とした。槍が電流を流されたように、バチバチと音を立てて発光する。なんかすごいエネルギーが槍に集中してるのが分かる。そのままぐぐーっと槍を後ろに下げて……うん?この構えなんか見たことあるな。まさか槍を投げるんじゃ……


「えいっ」


 投げたーーー!!

 バチッと短い音を立て、投げた槍は発光しながら凄まじい速さで悪魔に迫る!その姿まさに稲妻のごとし。

 そして針山の悪魔をその槍は貫き、そのままドカーンと槍は悪魔ごと爆発四散した!圧倒的破壊力!針山の悪魔は何も出来ないまま消滅した。

 離れているにも関わらず、ここまで爆発の轟音と爆風が届いてくる。これ、魔法というか兵器だよね?その様子を見て、良子がぽかーんとしていた。


「……ぽかーん」

「あのさ、シュガー。普通口でぽかーんって言わないから」


 しかしこれで確信した。あれは間違いなく投槍魔法<アキュリス・マギア>。雷のエネルギーを纏った槍を投げて爆発させる魔法っぽくない魔法だ。あんな変わった魔法を使う魔法少女なんて一人しか見たことがない。ていうかなんでいままで気付かなかったのか。


 彼女は『稲妻のキッカ』。15年前にボクを倒した5人の魔法少女の一人だ!

 ……あれ?もうこの人年齢的にアラサーだよね?魔法「少女」で合ってるの?

シュガー、むつきみたいなイレギュラーと違って、初めての正統派魔法少女(30)のキッカさん。ちゃんとした魔法が使えます。

アキュリスってのはどこかの国の言葉で「投擲用の短槍」を意味します。キッカの使うのは2メートルくらいの槍なので、ちょっと種類が違うのは内緒。

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