2 佐藤良子
様々な学生服を着た学生が掲示板の前に集まっていた。
ここは光明大附属高校。県下一の名門高校であり、毎年多数の国立大合格の生徒を出していた。
今日はこの入学試験の合格発表の日であり、掲示板の前には多数の受験生と親御さんでごった返していた。
佐藤良子は多くの人で混雑する中、ようやく掲示板の前へ出れた。自宅で通知を待つことでも結果を知ることは可能だったが、それでは2、3日ほど待たされてしまう。
その間、ずっと結果が気になって仕方がない。
良子には通っているという自信があった。例年より簡単なテストだったし、苦手教科の英語を除く全教科で8割取っている自信があった。
受験番号は427。良子は掲示板で自分の番号を探した。だが無かった。無かったのである。自分の番号が。
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「おちた……」
意気消沈しながら家に帰る良子。家の経済状況がそこそこ貧乏にも関わらず無理言って受験させてもらった私立の名門校だった。
今年は例年より簡単なテストだったのだが、そこがむしろ平均点を格段に上げてしまっていたのが、彼女の敗因だった。
本来なら苦手科目の英語があっても、他教科の点数でカバーできるはずだったのだ。しかし全体的に平均点が上がってしまったことで、英語の点数の低さが挽回できなかったのだ。
良子はちょっとだけ夢を見てたのだ。自分は頭がいいと思っていた。いい学校を出て、いい会社に就職して、将来高給取りになろうと漠然と思ってた。でもその夢は終わってしまった。
「やぁキミ!魔法少女にならないかい!」
とぼとぼ歩いてると、突然なんか空を飛ぶ怪しい黒いマスコットが人間の言葉で話しかけてきた。
「うん、なる」
即決だった。