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14 魔法少女シュガー

 放課後、クロモに呼び出されて学校の悪魔狩りをすることになった。何気に高校入学してから初めてである。

 時刻は午後5時半。夕食までに帰れるかな?


「前から思ってたんだけど……なんかおかしいんだよね。この町は昔から悪魔が発生しやすいデビルスポットなのに、あまり見つからないんだよ」

「デビルスポットってまた新しい単語を……パワースポットみたいなものかしら?」


 クロモと出会ってから、まだ数回しか悪魔と戦っていない。出動が少ない分は楽でいいけどね。


「もしかして、先回りして誰かが悪魔を狩ってるのかもね」

「誰かって、前会った三角帽子の魔法少女とか?」

「うーん。いやむしろ、良子が魔法少女になる前から、この町を縄張りにしている魔法少女がいないと思う方が不自然か」


 なんにしろ、この町に魔法少女がいる確率は高いってことね。色々話を聞いてみたいし、なんとかして接触したいなぁ。

 私は悪魔センサーと化したクロモに先導され、校舎の中を進んでいた。薄暗い校舎だ。しかし、まだ6時にもなってないのに人の気配がしないのはおかしい。


「うん、すでに異空間の中に入ってるよ。気をつけてね、良子」


 異空間……それは悪魔が潜むテリトリーのようなもので、現実の世界の常識が通じない場所だ。魔法少女は現実の境界を越えて、異空間に入ることができる。


「既に異空間だったなんて……だけど景色は変わらないわね」


 普通、異空間の景色は悪魔によって変化する。最初に会った悪魔は公園で発生したにも関わらず、異空間は黒いビルに囲まれていた。


「今回発生した悪魔が学校と関わりが深いんでしょ。それに窓から外の景色見てみなよ。空がありえない色してるでしょ」

「ホントだ。紫色だわ」


 うん、ここは異空間だわ。空は紫じゃない。というわけで……変身変身っと。

 私は銀細工をあしらった黒い宝石のアクセサリーを取り出した。これはマジカルチャームという変身アイテムだ。


「変身」


 私がマジカルチャームを胸に当て、変身の呪文を唱えると、マジカルチャームから闇が溢れて私の体を包み込んだ。

 うん、いつも思うんだけど、このチャームのエフェクトっていちいち黒いんだよね。どす黒い神獣から作られてるだけあるわ。


 体を包み込んでいた闇が晴れて、現れたのは魔法少女の姿になった私だ。雪のような白い髪をサイドテールでまとめて、青を基調としたプリンセス風の魔法少女服を着たぱっちり二重の美少女!


「魔法少女マジカル☆よしこの登場だね!」

「うん、そのネーミングは認めない」


 変身後のネーミング、なんか考えとこうかな……

 続けてチャームから黒い闇が出てきて、白いステッキを形づくる。魔法が使えない私にとっての主力武器がこのステッキ――


「ハイパーよしこステッキだね!」

「うん、そのネーミングも認めない」


 これも何かネーミングを考えなきゃいけないのか……神話から持ってくるとか……ミョルニル、ユグドラシル……うーん、杖系っていまいち思いつかないな。


 とりあえずこっちの準備はオッケーだ。あとは悪魔をぶん殴るだけ!

 ふと、先導してたクロモが立ち止まった。


「この中にいるよ」

「職員室か……」


 うーん、先生方も悪魔を生み出すくらい苦労してるのかなと思い、扉を開けようとした・・・そのとき、不意に後ろから足音が聞こえて、私は振り返った。

 そこにいたのは魔女っぽいつばが広くて先の折れ曲がった三角の帽子を目深に被り、顔を隠すようにしている少女。振り返った瞬間に彼女はビクッとなって顔を逸らした。間違いない! 初めての悪魔退治のときにあった彼女だ!


「久しぶりに会ったわね……名前を教えて貰ってもいいかしら?」


 私は魔女帽子の少女に話しかけた。魔女帽子の少女は、こちらに顔を向けないまま答える。


「……人に名前を尋ねるときはまず自分から名乗ったらどうかしら?」


 うっ、カウンターをくらった。でも今の私は魔法少女だ。本名を答えて身元バレとか真っ平ごめんだ! な、何か考えねば……何か!


「わ、私は……しゅ、シュガー! 魔法少女シュガーよ!」


 その日、魔法少女シュガーが爆誕した。

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