12 友達
「よし、斎藤さんと友達になったわ」
「え、あれで友達?色々と過程を省きすぎじゃない?」
私は部屋でクロモに話しかけた。クロモと会って1ヶ月経ったが、普通に家族バレイベントは発生しなかった。クロモとは普段からうっとうしいくらい行動を共にしているが、なんかもう慣れつつある。
「友達に定義はないわ」
「いやあるでしょ」
あの後、私は斎藤さんと一緒に帰った。まぁ、彼女が歩きで私が自転車通学なので私が自転車押して歩く形になったけど。
ちょっとしか話せなかったけど、まぁ拒否られた感じしないし、友達認定間違いなし。
「なんか良子が一方的に話しかけてたね。必死すぎてちょっと引くわー」
「うるさいわね。ぼっちになるかどうかの瀬戸際なのよ。今が一番イージーモードなの。時期を逃すとハードモードになって、3年間おしまいよ」
「距離感がいきなり近いんだよね、よしこは。ちょっと慣れるとすぐタメ口になるんだから」
「わかんないのよ、そういうの……」
距離感が分からないのは昔からだ。他の人はそういうの見えてるの? エスパーなの?
「そいやボクにも最初からタメ口だね。ボクも友達?」
「それはない」
あんまりこいつを友達認定したくない。怪しいし、何企んでるか分からないし。
「あーそうそう、あの学校でそろそろ悪魔が生まれると思うから、また生まれたら狩りにいこーよ」
「そういうのも分かるの?」
「悪魔は新学期始まってから生まれやすくなるんだよ。春休みの間は生まれようがないし。そうだなー、5月くらいが魔法少女にとっては繁忙期だね」
「出ると分かってて止めることは出来ないの?」
私が質問すると、クロモは嫌な顔をして、吐き捨てるようにこう言った。
「できるわけないじゃん。そんなこと出来たら世界なんてずっと平和だよ」
そしてそのまま消えるように去ってしまった。うーん、地雷踏んだ……のか? どうもあの生物の考えることはよくわからない。
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夜中、クロモは外に出て、夜風を浴びていた。
「そうだよ。生まれたくなくても生まれてしまうんだ」
良子の家の屋根の上。いつものクロモの独り言。
「良子は正しい。打算で友情を作ろうとしている。自分を守る為に。そうだ、友情などそんなものだ」
良子の部屋の明かりがいつのまにか消えている。良子はもう寝たのだろうか。
「全部壊してやりたい。幸せにしている人間、笑っている人間、恵まれている人間、全て等しく地獄に堕ちればいい」
それが悪魔としてするべきこと。魔王の目的。だが、その野望は魔法少女によって一度は打ち砕かれた。
「力が欲しい。誰にも邪魔されないような力が。もっと、もっとだ。壊したい、滅ぼしたい、めちゃくちゃにしたい」
だけど良子は……
「不快な娘だ。魔法少女としての素質もない。何故ボクは……我はヤツの代わりを探そうとしないのだ」
良子が魔法少女になってから、まだ数回しか悪魔を倒していない。週1~2のペースだ。遅い。しかも良子は1ヶ月近く経った今でも、全く魔法を使えない。
そうだ、もっと優秀な魔法少女なんていくらでもいるはずだ。
「よしこ……」
何故か良子の名前を口に出していた。考えがまとまらない。誰ならこの気持ちを分かってくれるだろう。
「この世界が無くなれば、もう何も考えなくてすむのに」




