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100 ひかりの試練

 お互いに簡単な自己紹介を終え、ひかりが立ち上がり、口を開く。


「さて……と。みんなはわたしに色々と聞きたいことあるだろうけど……その前に少しだけ試させてもらっていいかな?」


 そう言った後、ひかりが手を大きく振るうと周囲の景色が一変する。さっきまで私たちは神社の屋内にいたはずなのに、何故か外に出ており、白い円形の舞台がいつの間にか出来ていて、私たちはそこにいた。むつきが即座に反応して座布団から立ち上がった。


「ここは……?」

「毎度お馴染み、決戦のバトルフィールド!」


 いや、毎度お馴染みって言われても私たちは初なんだが! というか突然何をするつもりなの? なんか猛烈に嫌な予感が……


「キミたちにはここで光の試練を受けてもらう!」

「いきなり何!?」


 ひかりは唐突に光の試練とか言ってきた。なんだこのRPG展開。


「ちょっと、うちらは蚊帳の外っすか!」

「セラとキッカは対象外。今回の主役はこの子たちだからねー」

「てゆーか試練ってもしかしてあれっすか? うちらのときにもやった……」

「試練という名の公開処刑ね……」

「えー、ただの試練だよー?」


 いや、今公開処刑って不穏なワードが出たんだが。瀬良ちゃんとキッカ姉ちゃんは円の外にいるが、円の境界になにやら見えない壁があるみたいで入ってこれないみたいだ。戸惑っている私たちをよそに、ひかりの姿がまぶしすぎるくらいの光に包まれる。


「さて……始めるよ。光の試練を」


 光が治まり、彼女が姿を現す。ひかりはさっきまでの幼女の姿から背が伸びており、私と同じくらいの少女の姿に変貌していた。巫女のようだった服装も、白いヒラヒラの羽衣をたなびかせて神々しい服装に変わっている。白い肌、ほっそりとした肢体、少し大人びた少女の憂うような表情……存在そのものが尊く、美しく感じられて、私は呆然と彼女に魅入られていた。


「流石に幼女の姿じゃやりにくいと思うから、一時的に大人になってみたよ。これで大体20歳くらいのわたしだ。遠慮しないでやっていいよ」

「大人には見えないわね」

「まだ犯罪臭するっすね」

「昔の人はこれで高身長だったんだよー!」


……と、危ない危ない。雰囲気に流されるところだった。とりあえず現状に突っ込まないと。


「だから光の試練ってなに!?」

「ふぅ、意地でも察しないつもり? つまり、こういうことだよ」


 幼女から少女に変貌したひかりがそう言うやいなや、たんっと軽く地面を蹴って飛んだ。そしていつのまにかむつきの正面に立っていてその頭に指を差す。そして指に光が集まっていった。むつきは突然のことに呆然と立ち尽くしたままだ。


「ばんっ」


 ひかりの指から銃のように光線が放たれる。その光線はむつきの三角帽子を貫いて、ジュッと音を立てて綺麗な穴を開けた。突然の攻撃にむつきは若干怯えたように肩を竦める。


「ほら、ぼうっとしてないで戦闘態勢に入らないと。次は当てるよー」

「あー、やっぱりこの展開っすか……」


 うん、嫌な予感が当たった。戦えってことね。そういうことね。私は不満を滲ませながら口を開く。


「……何でこんなことをするの?」

「キミたちの実力を知りたくてね。戦ったんでしょ? ゼドと。キミたちじゃ敵わなかったみたいだけどねー」

「どうしてそれを知ってるの? 貴方は15年間寝ていたと自分で言った」

「ふふん、おてんと様はみんな知ってるんだよ」


 意味深に微笑むひかり。挑発するような笑みすら可憐で人を魅了する力があるように思えた。


「本当に試したかったのは覚醒したとかいうキッカだけど……うん、惜しいことをしたね。全ての力を与えてしまうなんて」


 キッカ姉ちゃんがその言葉にぴくりと反応し、平静を装いつつ少し怒ったような声で言う。


「ひかり、何か私に言いたいことがあるのかしら?」

「いや、キッカが力を与えるほどの価値をこの子たちが見せてくれたら問題ないんだけどね……さて、準備はいーい? 本格的にいっくよー」


 そう言い、ひかりは目の前のむつきに蹴りを放つ。速いが、分かりやすいモーションだ。むつきは既に自衛の為に黒いステッキの魔法武器を取り出しており、それを咄嗟に盾にして蹴りを防いだ……が


 ドゴォッ!


 軽そうな彼女の蹴りからは想像できない重い音が響き、ステッキごとむつきが吹っ飛んだ。


「ちょ、えっ?」

「わたしはキミたちと戦ったゼドみたいなパワータイプじゃないけど、このくらいは普通に出来るよー」


 吹っ飛ばされたむつきが地面に体をぶつけ、勢いを殺してなんとか立ち止まる。どこか痛めた様子はなさそうだけど、ゾンビだからよく分からないし……というか何でさっきからむつきばっかり狙ってるの? 少し腹が立った。


「ちょっと、止めなくていいんすかキッカ先輩!」

「止めれないでしょ、私達じゃ。まぁ……丁度いい機会かもね。これからどんな敵と戦うか分からないし、最強の魔法少女にどこまであの子たちが通用するか試してみるのは悪くないわ。それに……」

「それに?」

「もしひかりがやり過ぎるようなら、後で私が殴るわ」

「……なんかキッカ先輩って昔より表面上穏やかになったけど、中身あんまり変わってないとゆーか、ニコニコしながらそういうのをサラッと言っちゃう今の方が正直こえーっす」


「あははー、こわいよねキッカは。そういうところ好きだけど」

「忠告したわよ」

「はいはいわかった。さて、さっきので安易にわたしに攻撃させちゃ駄目って分かったよね。今度はそちらからかかってきてよ。来ないならまたわたしの攻撃になるけど……」

「はっ……そ、そういうことなら、いきますわ!」


 銀華がようやく理解したのか魔法を使いだす。


「最強の魔法少女か何だか知らないですけど、わたくしの華麗なる魔法、罪咎魔法ジェイル・マギアの恐ろしさを思い知るといいですわ!」


 銀華の背後、空中から魔法陣が4つ出現し、そこから銀色に輝く鎖が飛び出す。そしてその鎖はひかりを捕えようとギュルギュルと伸びていく。


「同時に4つか。ひよっこにしてはなかなかだね。でも速度は遅いし、操作も雑」


 一歩横にずれるだけで軽く避けるひかり。


「なら、これならば!」


 ひかりの地面に二つ魔法陣が浮かび、そこから鎖が伸びてくる。


「やるねー、遠隔召喚かぁ。避けようと思えば避けれるけど……ちょっと食らってみよかな」

「えっ?」


 そう言ってひかりは動かず、鎖はくるくるっとその体に巻きついた。


「うん、巻きつかれたー。さてどうする?」

「ふっふっふ、甘く見ましたわね! その鎖は咎人の罪を裁く!」

「なるほど、魔を封ずる力かっ!」

「ご明察! 自惚れた光の咎人よ! その身に罪を刻み込め! ダークネス・エクスキューション!」

「ぐわー!」


 銀華の中二口上に難なく対応するひかり。なんだか楽しそうだなお前ら。だけどやられ声を上げてたひかりが急に素面に戻って溜め息をつく。


「……うん、この鎖には相手の魔力を弱らせる効果がある。弱い相手ならこれだけで一方的に封殺できるね。悪くは無いんだけど……ちょっと地力が弱いかな」


 ビキっと鎖にヒビが入り、ひかりが勢いよく腕を広げるとばきんっと鎖が飛び散った。


「なっ!?」

「キミは魔法少女になった期間が3人の中で一番短い。加えて、契約してるのは下位神獣ときた。ま、普通の魔法少女と比較すると上出来なんだけど……残念ながら、それじゃあこれから通じない」


 ひかりがいつの間にか銀華の前にいた。驚いてる銀華だが、間髪入れずにひかりはそのおでこにデコピンする。銀華は「あうっ」と声を上げ、そのまま気絶してあっけなく倒れた。

 そしてひかりはこちらの方を向いて挑発するように言う。


「さて、わたしはここまで特に魔法を使ってないんだけど……キミたちはどうかな?」


 いや、だから何で私も戦わなきゃならないのかなぁ。まぁいいや。試練とか言ってたし、見た感じ私達を殺すようなことをしないだろうし適当に……と思ってたら、ひかりの頭上に唐突に鉄アレイが落ちてきた。こともなげにさっと飛び退いて避けるひかり。


「今、物体を転移させたね。空間魔法の力か」

「避けられた……」


 残念そうに言うむつき。鉄アレイって地味に当たったらヤバいよね。あえて色々凶器がある中で、鉄アレイというチョイスが生々しい。


「じゃあ、数で攻める」


 何もない空間から大量に鉄アレイやら鉄骨やらが降ってくるが、全てひかりはひょいひょい避けていく。ごすごすごすっと重そうな音を立ててむつきが召喚した物体が地面に突き刺さる。


「当たらない。まるで先読みしてるかのよう……」

「うん、そうだよ。魔力の流れが分かれば、魔法は発動前に感知できる。魔力を隠蔽する技術、魔法を時間差で発動させる技術を磨いた方がいいかもね」

「じゃあ……【加速アクセラレーション】」


 目に見えないほどの高速で移動するむつきがひかりに迫る。そしてごつん、と鈍い音がしたと思ったら、むつきが頭を抑えてうずくまっていた。あの、よく見えなかったんだけど何があった?


「い、いたい。なんで……」

「大丈夫? ちょっと強く叩いちゃった。あ、ちなみにわたしの攻撃はアンデッド特攻だよー」


 どうやら逆に反撃されてしまったらしい。いや、見えない速度で戦わないでほしい。何やってるのかわかんないから。というか痛覚が無いゾンビが痛がる攻撃ってやばくないか? あくまで試練と言ってたけど、下手したらむつきが成仏しちゃうんじゃ……


「で、どうする? キミは時間と空間を操るようだけど……まだ打つ手はあるかな?」

「……ある。でもこれ以上は……」

「ふむ、キミは優しいね。確かに時間と空間の魔法は自重しなければえぐいからね。じゃ、キミはこれでおしまいっと」

「ひゃっ」


 ひかりは自分の背より大きいむつきの胴を軽く持ち上げて、むつきが抵抗する間もなく円の外にいるキッカ姉ちゃんに向かって投げ飛ばした。キッカ姉は投げ飛ばされたむつきを抱き止める。


「ま、むつきちゃんに一応言っておくけど、いくらチート魔法を使っても今のキミのレベルじゃ私に通じなかったと思うよ。そもそも発動させなければいい話だし。魔法にばかり頼ってたらだめだよー」


 魔法少女なのに魔法に頼ったら駄目とは一体……しかし、ひかりの言うことに思い当たる節もある。超チートなむつきの魔法も、あの神父っぽい悪魔にもムキムキの悪魔にも通じなかった。そもそも発動させなければいいって言うのは極論すぎるが、前例があるのだから仕方ない。むつきも同じことを思ったのか、うつむいて黙って聞いていた。キッカ姉ちゃんにお姫様だっこされてる体勢のまま。


 さて、軽く二人とも倒されちゃったみたいで残るは私一人になった。ここまでのひかりの能力を分析すると、銀華の鎖を軽く引きちぎるパワー、加速状態のむつきを上回るスピード、魔法を発動前に見切る予知のような感知力を持っていることが分かる。そして恐らく光の魔法を使うけど、ほとんどそれを使わずに二人を倒してるっていうね……キッカ姉ちゃんと同じで、基礎的な身体能力がめちゃくちゃ強いタイプだ。太陽神天照大神で最強の魔法少女を自称してるだけはある。無理ゲーじゃないこれ?


「よし。残るはキミ一人だけど……ちょっと本気出すか」

「……は?」


 ちょっとごめん。何言ってるかよく分からない。さっきまで手加減しながら軽く二人をひねったのに、何で私に本気出すって?

 ひかりがそう言うと周りの光が全て集約されていくように、彼女の目の前に輝きが集まっていく。その光は棒状の物体を形成して、光が治まると美しい輝きを放つ一降りの剣が現れた。


「三種の神器の一つ、天叢雲剣あめのむらくものつるぎ


 ひかりはその剣を手に取ると、剣が歓喜したかのようにより輝きを増す。その剣を見て、瀬良ちゃんがめちゃくちゃ慌てた。


「ちょ、ひかりん! それ使うってマジすか!?」

「うん。まじのまじ。マジ卍だよー」

「なんで唐突なギャル語!? じゃなくって、そんなの良子ちゃんに使う気っすか!?」


 瀬良ちゃんの慌てようからすると、多分あれ対人に使っちゃ駄目なやつ。


 ガイン! と叩きつけるような音が響く。どうやらキッカ姉ちゃんが結界を蹴りつけたようだ。


「ひかり……あとで殴るわ」


 明らかに怒気を孕んだ声で言うキッカ姉。こわいです。


「あのゼドとの戦い……遠い空から見てたよ。3人の中でおそらくキミ……魔法少女シュガーが最もわたしの次元に近い。というかキミらをここに呼んだ理由……本命はキミだからね」

「……は?」


 うん、全く理解できない。というか見てたのかあの戦い。私は普通にボコられただけだったんだが。最終的に起きたらキッカ姉ちゃんが一人で倒してたんだが。


「ごめんねキッカ。キミの大切な妹分、この剣で見極めるよ」


 そして、彼女は光り輝く剣を上段に振りかぶり、襲いかかってきた。

遅くなりました。ここから色々重要な設定を語っていく予定だったのに、ちょっとごっちゃになってたのでまとめるのに時間かかってます。まだエタる気は無いので、頑張って続けていきたいと思います。

それよりバーチャルYouTuberかわいいよね。ニコニコ超会議で生で会ったみゅみゅ様は本当にかわいさの化身でした。みゅみゅ様はかわいいしえらい!

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