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俺と幼馴染の関係……?

 大鎌を背に構えた少年が、数え切れないくらいの敵と向かい合っている……。

 ――という絵を、俺は見ていた。

 美術館とか、展覧会とかの絵ではなく、小説の挿絵だ。

 ちょっと中二病の香りがするこの絵は、同じく、中二病の香りがする小説の一部だ。

 俺は、しばらくその絵を見ていたのだが、ふと思った。


 ……大鎌って、内側しか切れるところないの?


 しかし、先端は尖っているから、何かを刺すということはできるだろう。


 ……でも、内側しか切れないなら、とても不便じゃないか?


 だって、敵を切りたい時は、自分と敵がある程度近い距離にいて、敵の向こう側に大鎌を回し、こちら側に大鎌を引かなければいけない。

 敵が自分の方を向いているなら、尚更危ない。

 でも、大鎌を使うキャラクターは、大鎌の外側も使っていたような気もする。

 もしかして、切れるように見えるのは内側だけでも、実際には両側で切れるものなのかもしれない。

 ……この小説には、武器を使うキャラクターがまあまあ出てくる。

 武器の種類は、大鎌、日本刀、拳銃だ。

 あぁ、見事に中二病こじらせたなぁ、という感じの武器だ。


 ただ、中二病を患った小説は、中二病の患者に好かれる傾向があるようだ。

 ……この小説の持ち主は、俺の姉なのだが。


 話は変わるが、キャラクターの紹介をしよう。

 大鎌を使うのは、十四歳の少年。

 日本刀を使うのも、十四歳の少年。

 拳銃を使うのは、十四歳の少女。

 まあ、まとめてしまえば、中学生三人が学校に通いながら敵を倒していくという内容だ。

 今、あまり売れていない小説なのだが、俺の姉は「超面白い!」と言って、自分のブログで公開している。


 ……はっきり言って、俺の姉の感性は微妙だ。

 感性には、個人差があり、正解不正解などないのはわかっているのだが、俺の姉は他人とは違った感性を持っている。

 家族でテレビを見ていたって、みんなが静かになってしまうようなところで、「ふふっ」とか、「あはっ」とか言い出すのだ。

 まぁ、不気味だ。


 姉は高校生なのだが、多分、友達は少ないだろう。

 ブログを毎回見てくれる人だって、ほとんどいない。

 だから、俺にしてみれば、姉がブログをやっている理由が全くわからない。

 ……俺は、この小説のあのメインキャラクター三人と同じ年齢なのだが、残念ながら、武器を持って敵と戦ったりはしない。

 別に特別な能力も持っていない。

 勿論、俺の周囲にもそういった人間はいない。

 ――と言いたいところだが、いるのだ。


 俺の隣の家に。


 俺の隣の家には、三人家族が住んでいる。

 父親と母親と娘だ。

 そして、その娘が俺と幼馴染なのだが、普通の女子ではないのだ。

 普通じゃないのは見た目ではない。

 顔も中の上くらい、身長も一六〇ぐらい、服装も中の中くらい、おそらく体重も中の下あたりだろう。

 普通じゃないのは、運動神経だ。

 運動神経が半端じゃないくらい良いのだ。

 俺とは比べ物にならない。

 俺だって、運動が苦手なわけではないのだが、どうしても彼女には劣るのだ。

 彼女は、短距離走だって、長距離走だってかなり早い。

 握力も、腕力もかなりある。

 ジャンプ力も、反射神経も、瞬発力もものすごい。

 どのくらいすごいかといえば、みんなから、「前世はヒーローとかだったの?」とか、「どんな薬やってんの?」とか言われるくらいすごい。

 本人は、自分の運動神経のことを他人に自慢したりはしないのだが、自慢されても、彼女のことを知っていれば、素直にすごいと思ってしまうだろう。

 そして、彼女の普通じゃないところは、これで終わらない。

 俺は、武器を持って戦ったりもしないし、特別な能力もない。

 でも、彼女は――

「海音ー! 夕飯できたよー!」

 一階から母さんの声が聞こえる。

 俺は、今、自分の部屋にいるのだが、ここは二階だ。

 確か、今日の夕飯はシチューだったような気がする。

 そして、俺、間宮海音は本をベッドに置くと一階に降りた。

 


 今日の放課後は、俺は亜美と一緒に帰った。

 亜美というのは、昨日の運動神経がものすごいという幼馴染だ。

 一緒に歩きながら、たくさん話をした。

 俺たちは、付き合っているわけではないのだが、色々なことを打ち明けられる程、仲が良い。


 周りの奴からは、「お前ら付き合ってんだろ」とか言われるが、特に気にならない。

 なんというか、小さい頃から仲が良かった俺たちは、今や親友という域にまで達している。

 別に、「俺たち、親友だよな!」とかバカみたいなことを言っているわけではないが、仲の良さは、そんじょそこらの自称「俺たち親友!」には負けない気でいる。


 ……そう思っているのは俺だけかもしれないが、もしそうだったら、そんじょそこらの「俺たち親友」のことをバカにできなくなってしまう。


 まあ、そんなところで、俺たちはたくさんの話をしながら家に帰った。

 俺たちは、あまり携帯でやりとりをしないが、その分、会った時にはたくさんの話をする。


 話の内容は、多分、普通の中学生には意味がわからないようなものなのだろうが……。

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