表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

知的粘体と生存会議の年表

作者: ぶたごり君



知的粘体と生存会議の年表


約7億年前


知的粘体の発生

脳も器官も持たない群体状の生命。

電気信号と分子で「群れの意思」を形成し、常に問いを繰り返す。

議題の基本は「保持するか/忘却するか」。



約6〜5.5億年前


長期議題:進むか/留まるか

海洋で捕食と被捕食の循環が激化。

「渡せ/渡すな」「結べ/切れ」といったネットワーク形成の議論が始まる。

一部の群れは「自己進化の実験」を開始した。



約5.4億年前(カンブリア爆発)


自己進化の実験の結果、動物群が爆発的に出現

「顎/刃/眼」といった捕食と感覚の仕組みを設計。

しかし“速さ”や“硬さ”は消耗が大きく、生存コストが高いと判明する。

議題は「静かに残る」方向へ傾いていった。



約4.5〜4億年前(陸上進出)


重大議題:越境せよ/形を変えよ

海を出るかどうかの合意が繰り返される。

結論:「動きを捨てよ/光を食え/根を張れ」。

粘体の大部分が植物化を選び、陸上に広がった。



その後の数億年


植物文明の確立

森林や草原として地球を覆い、繁栄を続ける。

「保持」「忘却」「渡せ」「切れ」といった議題の結論は遺伝子に刻まれ、他の動物群にも“本能”として残った。



約20万年前以降(人類の登場)


実験の副産物としての人類

カンブリア実験の被捕食側から進化。

知的能力は、粘体が残した「議題の記憶」を再利用している。

人間の本能や行動原理は、古代の「生存会議」の名残である。



現代(物語の舞台)


国際ゲノム解析プロジェクトで「拍子の揃った配列」が発見される。


研究者たちは「議題の断片=会議録」を呼び覚まし、粘体の正体に辿り着く。


最後に示される結論:

「ここで残れ/光で食え/渡せ」


世界は、この決定の上に築かれている。




---


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ