表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

01) プロローグ


  〜〜平和とは、次の戦争への準備期間である〜〜

 アメリカの南北戦争を経験したジャーナリストがそう論じた一説だと記憶しているが、「言い得て妙」とはこの事だと思える。

 人類、人間社会の悠久の歴史において、必ず世界のどこかで戦争が起きている。戦争と言う単語が使われる年が無くても、それに代わって内戦や紛争と言う言葉が定義され、人類史はまさに流血の歴史……血文字で記された争乱の歴史と呼んでも過言ではない。――血みどろの闘いに疲弊した人々は、だからこそ“平和”と言う言葉に価値を感じ、そして平和を尊ぶのだ。


 このファールンテリエ王国も数々の戦争、そして内戦や紛争を経て今の姿がある。

 二百年前にこの大陸に降臨した魔王が魔族を率い、百年もの間戦争が続いた所謂(いわゆる)“百年戦争”を戦い抜き、見事魔王軍を退けた後も、数多(あまた)の戦乱に巻き込まれつつも大陸有数の巨大王国を維持し続けた。

 ――だが、やっとの思いで掴んだ平和。平和に包まれたはずの王国において、人々の生活は全く変わらなかったのだ――

 戦争で疲弊した経済が回復する事は無く、街は貧しい者たちで溢れ返り、窃盗や強盗殺人が日常的に行われている。そして人身売買の誘拐や奴隷売買が横行し、平和と言う言葉とはまるで縁の無い、闇の時代が続いていたのである。


 “なぜ?” “どうして?”と疑問に思うはずだ。戦費がかさみ資源も人もどんどんと消耗して行く『戦争』が終わり、国に平和が訪れたはずなのに。なぜ?どうして人々の生活は向上して行かないのか?と。


 この物語は、戦乱の時代が終わった後の物語。戦争の影に怯える事無く、日々の生活を朗らかな笑顔で送れるはずなのに、送れなかった人々の沈鬱な物語。

 社会の闇に蠢く悪意がやがて暴かれ、再び戦乱の時代が始まろうとする“偽りの平和”の物語である。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ