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断罪前夜

早くしなければとラインハルトは思った。

父上は引き際を考えているに違いない。

兄上に任せ引退後にダイアナ様とひっそり再婚を考えているのだろう。


(浮かれやがって、父上め。親なら息子の将来を考えるべきだろう。俺の気持ちには気付いているはずだ。どうやってダイアナ様を離婚させるつもりなんだか。)


ラインハルトの父親である国王陛下はダイアナと無理矢理にでも結婚しなかった事を悔いていた。

妃に迎えた母との関係は悪くなかったと聞いたが仲睦まじいとは言えなかったはずだ。

父に想い人がいた様に母にも心を交わした相手がいたのだ。

母は離縁して隣国に戻ると独身を貫いていた相手と再婚し幸せに暮らしている。

今思えば離縁前提の政略結婚だったのかとも思う。

父の弟である叔父上に聞いたのだがダイアナ様が再婚された時には密かに荒れたらしい。

それ以来父は欲を隠さなくなった。

傍若無人とまではいかないレベルではあるが大抵の我儘は通すようになったのだ。


ヴィヴィアンは自分の事より母親の幸せを優先する。


「私にはラインハルトもエリザもいてストレスを溜め込む事は無かったわ。けれどお母様は違う。毎日ひとりで働いて慣れない侯爵家の仕事をこなしていた。働かないあの男とその娘を養うために。お祖父様の頼みなんて断れば良かったのよ。お金で解決出来たじゃない。あの毒親子が来たせいで弟と過ごす事も諦めた。何も知らない弟だけは幸せな家庭で育って欲しかったから。」


「お前にとってダイアナ様の幸せとは何だ?」


「お母様を甘やかしてくださる方と再婚して欲しい。もう働かなくていいように。また花のように着飾って微笑むお母様を見たいわ。侯爵家は私が継ぐから。その時はあいつらを追い出してやる。」


ヴィヴィアンが給金を貯めているのは知っている。

あの親子を追い出すための金なのだろうか。


(札束で頬を叩きながら出て行けとか言いそうだな。いや、ばら撒いて拾わせるくらいはしそうだ。あいつ怒ると怖いからな。粘着質だから何年も追い出し劇の案を考えてるだろうし。俺に言えば直ぐにでも追い出してやったのに。)


この時初めてダイアナ様の再婚の経緯を聞いたラインハルトは調べ始めたのだ。

祖父や再婚相手の過去などを。


ラインハルトは思い出しながら大きなため息を吐いた。

明日から3日間は仕事が多忙になる。

それが終わると夜会だ。

それまでに片付けねばと思った。

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