少女は独自の戦闘スタイルを作り出す
生まれて初めての野宿にしてはユリネはぐっすりと眠れた。
生命値SSS、防御力SSSのユリネにとって野宿はさして問題にはならなっからしい。
『ぐっすり寝れてしまった自分にびっくりだ。』
ユリネはそんなことを考えながら身体を起こす。
『やっぱりこれは夢ではないんだな。』
異世界転生という現実、さらには魔物ではあれ命を自分が奪ったという現実に急にユリネは怖くなった。
「ユリネよ、よく眠れたか?」
コクヨウの言葉に
「おはよう、コクヨウ。良く眠れたよ。
見張りありがとね。」
そう言うユリネの目からは知らず知らずのうちに涙が流れていた。
「お主、泣いているのか?大丈夫か?」
「え、うん、大丈夫だから…ちょっと顔洗ってくるね。」
そう言うとユリネは湖に顔を洗いに行った。
湖には見慣れない美少女の顔が映っていた。
そう、そこに映る自分の顔は23年間見続けてきたものではなく、長い銀髪が綺麗な西洋人形のような美少女であった。
『あ、これがこの世界での私なんだ。本当に異世界に来たんだな。
気持ちを切り替えて第2の人生楽しまないと女神様に申し訳ないよね。』
そう心の中で決心して、コクヨウのもとへ戻る。
「少しは気持ちが落ち着いたのか?」
「うん、もう大丈夫だよ。」
「きっとこの世界はお主がおった世界より、命のやり取りが身近なんじゃと思う。
生きていく上でこの世界の摂理に慣れていくしかないの。
妾もお主もせっかくの第2の人生じゃ、共にこの世界を謳歌しようではないか。」
そうコクヨウは言った。
街を目指して再び歩き出す前にユリネは色々と試すことにした。
「とりあえずはいつ魔物に襲われるかわからないからサーチスキルっていうの使ってみるね。」
魔物の気配の有無、大体の位置がこのスキルでわかるらしいということがわっかた。
『これでとりあえずは急な襲撃は回避できそうかな。』
「あとはね、重力魔法が気になっててね。コクヨウ一回剣に戻ってもらっていい?」
コクヨウを素振りしながら、振り下ろす際に重力魔法を、振り上げる際に重力反転魔法を刀心に使ってみる。
『やっぱり剣速が上がった。』
さらには、刀心に重力魔法をさらにかけることで、剣を地面に刺して自分の身体を浮かせる。
ただでさえ芸術的に美しい剣技を手に入れているユリネが、重力魔法を並行して使うことによって、剣が体の一部かのように使い、剣を中心に宙を舞うのである。
それは剣を振りながらブレイクダンスでも踊っているかのような光景であった。
「こんな剣技妾は知らないのじゃ。」
「大剣であるコクヨウをもっと使いこなせないかなって思ってね。」
ユリネは無意識のうちに前世で見たワイアーアクションのカンフー映画と中学生まで習っていたダンススクールでのブレイクダンスのイメージを剣術に応用したのであった。
これにより見たことない剣技で体とほぼ同程度の大きさの剣を操る銀髪の美少女が、この先「黒剣の舞姫」という二つ名で呼ばれるようになることを本人はまだ知らない。
「また野宿は嫌だから、今日中には街に入ることを目標に進もうか。」
そう言うとユリネは蛇の姿に戻ったコクヨウを首から下げて歩き出した。