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少女は宿で邂逅する

薬草採取クエストを終えたユリネとコクヨウはギルドの受付のお姉さんに教わった宿に来ていた。

この宿に来る前にクエストを終えるのが早すぎてお姉さんを驚かせたのだが、それはまた別の話として…


冒険者御用達のこの宿は冒険者ギルドからも近く、ギルドカードの提示で朝食が無料で付いてくる新設計になっていた。


『ギルドカードにこんな特典が付いてくるなんて!!!』

目を輝かせながら受付でギルドカードを提示するユリネ。


「あんた、こんな若くて可愛いのに冒険者かい?」

驚いた様に受付の女将さんが言った。


「世界を見て回る旅をしたくて、今日冒険者登録をしたばかりです。」

とユリネは元気に答えた。


「女の子の一人旅かい?」

心配そうに女将さんが言う。


「一人ではないですよ。コクヨウと一緒です。」

そう言いながらユリネは首にかけている大蛇を撫でた。


そこで初めて女将さんはユリネの首に蛇が巻き付いていることに気づき、一歩(あと)ずさんだ。


「あんた、魔物使いだったのかい。

 蛇は使い魔の中でも神獣に分類されるから、若いのにかなりの使い手だね〜。

 ランク以上の実力はあるみたいだね。」

そう女将さんは納得した様に言う。


流石は冒険者御用達の宿の女将さん、冒険者に関しての知識は豊富であった。


しかし

「違いますよ。私は剣士です。」

そう言うと同時に、ユリネはコクヨウを大剣へと変える。


女将さんは驚きすぎてフリーズしてまった。


「あ、驚かせてごめんなさい。」

ユリネが謝ると

「私もまだまだ修行が足りないね。」

と、女将さんは感慨(かんがい)深く言った。


その後、女将さんからお勧めの服屋さんや雑貨屋さんなどを教えてもらい、部屋の鍵を受け取り、とりあえずユリネとコクヨウは部屋へと向かった。


部屋へ移動し、一息つくと急な訪問者がユリネたちの元へやってきた。


ドアを開けると、そこにはマイルスとエリザベートがいた。

「マイルスさんにエリーさん。

 お二人もこの宿に泊まっているのですか?」

この質問に対して

「私たちは別に宿がありますよ。

 今はユリネさんに会いに来たんです。」

とマイルスが答える。


ふと、二人の後ろから少女が顔を(のぞ)かせた。


「初めまして、ユリネ様。

 私はこの国で聖女をやらせていただいているマリアと申します。」

と言いながら、少女はユリネへと近づくと、目を輝かせながらユリネの手を握ってきた。


「は、初めまして。」

グイグイくる少女に珍しく今回はユリネがフリーズする番であった。


「ユリネ様、貴方様は私の命の恩人です。

 貴方様が私達の馬車をお救いになられてなかったら、今頃どうなっていたことか…」

ユリネの手を一向に離す気配もなく、聖女マリアは話し続ける。


「あ〜ホントなんとお礼を言ったら良いのか。

 いくら感謝しても足りないくらいです。」

聖女マリアはいっそう目を輝かせユリネを見てくる。


「ごめんね、ユリネさん。

 街に着いたばかりで今日はバタバタしているだろうから、明日顔を出すつもりだったんだけど…

 聖女様がどうしてもって言うから。」

少し困った顔をしながらマイルスが言った。


「いえ、全然問題ないですよ。

 あの馬車に乗っていたのは、聖女様?マリア様?だったんですね。

 無事で何よりです。」


「様なんていりません。

 どうかマリアとお呼びください、ユリネ様。」

そう聖女マリアがユリネに言った。


「は、はい、マリアさん。

 私のことも様なんてつけなくて大丈夫ですよ。」


このユリネの返答に

「そんな、マリアさんなんて、マリアで結構ですのに。」

と少し悲しげに言った後

「命の恩人に様をつけないなんて、私、私、そんなことできません。

 お姉様と呼ばせていただきますね。」

と今度は嬉々として答えてきた。


この予想の斜め上をいく聖女マリアの返答に、ユリネは気押されながらも、どうにか

「はい」

とだけ答えた。


こうしてユリネと聖女マリアの初邂逅(かいこう)は、

「立ち話もなんなので、みなさん中へどうぞ。」

とユリネが部屋の中へ(いざな)うまで、ずっと聖女マリアが目を輝かせながらユリネの手を握り続けるという図が展開し続けてることとなった。

ユリネはこのグイグイくる聖女様に圧倒されながらも同時に、聖女マリアのこの振る舞いに足元へ尻尾を振りながら駆け寄ってくる実家のポメラニアンの姿を重ねるのであった。

久々の更新です。

期間が開いてしまって申し訳ございません。

読んで頂いた方ありがとうごまします。

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