少女は冒険者ギルドへ行く
街中をマイルス団長と共に歩く中で、ユリネは周りの人々に注目されていることに気づく。
『マイルス団長ってよく見るとイケメンだし、やっぱ人気あるのかな?』
「やっぱり、その大蛇は街中では目立つね。」
マイルス団長にそう言われて、注目されているのが自分自身であることにユリネはやっと気づいた。
確かに注目されている原因は大蛇コクヨウではあるが、それ以上に美少女であるユリネが大蛇であるコクヨウを首から下げていることが原因であった。
「コクヨウに剣型になってもらっても、私コクヨウのための鞘なんて持っていないので、大剣片手に歩くのはもっと目立ちそうで…」
ユリネはマイルスにそう答えた。
「確かにそれはそうだな。」
そんな会話をマイルスとしていると、すぐに冒険者ギルドに到着した。
「ようこそ冒険者ギルドへ。お嬢ちゃん、今日は何か依頼ですか?」
ギルドの受付嬢がカウンターでユリネにそう言ってきた。
「いや、この子の冒険者登録をお願いしたい。それと買取も合わせてお願いしたい。」
そうマイルスが横から口を出した。
「あら、聖騎士団長のマイルス様ではないですか。」
受付のお姉さんは少し顔を赤らめてそう言った。
「このお嬢さんが冒険者ですか?
マイルス様ならわかっていらっしゃると思うのですが、冒険者はかなり危険な職業です。身分証代わりにギルドカードをと言うのであれば商人ギルドや他の方法もあるかと。」
「この子の実力は僕が保証するよ。それに彼女は旅人だからね、ギルドカードの方がいいと思ってね。」
そうマイルスは答える。
「マイルス様がそうおっしゃるのであれば。」
受付のお姉さんはまだあまり納得した感じではなかったが
「じゃあ、まずはこれに名前と年齢、職種の記入をお願いしますね。」
とユリネに笑顔で登録用紙を渡した。
『名前はユリネ。15歳。職種は剣士。っと』
「書けました。お願いします。」
記入した紙をお姉さんに渡すと
「あら、剣士なんですか?てっきり魔物使いかと。
剣を持ってないみたいですけど…武器屋さんの紹介とか必要?」
「大丈夫です。このヘビが私の武器なので。」
ユリネはそう言うと、コクヨウを身の丈ほどの大剣へと変身させた。
「私が剣士ってわかってもらえましたか?」
この一連のユリネの言動に腰を抜かす受付のお姉さん。
『今までいろんな冒険者を見てきたけで、こんな子初めてだわ。』
「ごめんなさいね、びっくりしちゃって。
今ユリネちゃんのカード作ってくるからね。」
そう言ってカウンターの奥へお姉さんが消えていくと、
「聖騎士団長ともあろう人が子供のお守りかい?」
ユリネたちの背後からそう女性の声がした。
「エリザベート嬢か、久しぶりだな。」
そうマイルスは彼女に返す。
「ユリネさん、こちらはエリザベート。」
「B級冒険者であって、この街トップの冒険者のうちの1人だよ。」
そうマイルスはエリザベートをユリネに紹介する。
『美人なお姉さんだ〜』
っとユリネは思った。
このエリザベートは「ブラッディーエリー」の異名を持つソロの冒険者。
双剣を巧みに操り、炎のように赤い長髪と魔物たちの返り血からいつしかそう呼ばれるようになった。
さらに、冒険者ランクはFから始まりSが最高とされている。
A級以上はかなり希少でA級冒険者ともなると各国の主要戦力となり、国お抱えの冒険者になるか各国の主要な役職についているのが一般的である。
そのため、ギルドに出入りしている冒険者では実質B級が最高位ランクなのである。
このエリザベートという女性は、その最高位ランクのB級であった。
「私はエリザベート、エリーでいいわ。剣士よ、よろしく。」
「ユリネです。私も剣士です。よろしくお願いします。」
ユリネも挨拶を返す。
エリザベートはマイルスに耳打ちする。
「もしかしてこの子、例のあれじゃないでしょうね?」
「この子は違うよ。もしかしたら聖女様がお声をかけるかもしれないけど。」
マイルスはエリザベートにそう返す。
『例のあれ?聖女様?何のことだろう?』
レベル上昇に伴って身体のあらゆる器官が強化されているユリネには彼らの内緒話は意味をなしていなかった。




