表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

恐怖の本棚

曼珠沙華の道

作者: 徳田タクト




 ある日の昼過ぎ。お昼ご飯を食べてお腹が落ち着いてきた頃。私は、散歩に出掛けた。


 近所の森林公園を歩く。今日私は仕事が休みで。天気がよくて風が心地良いこんな日は、森林公園ここで散歩している。


 平日の森林公園は静かで。日曜日は親子や子供たちがワイワイしてるけど、今日はほとんど人がいない。

 ひとりゆるゆると散歩していると。


「あれ?こんなところに道なんてあったかな?」


 鬱蒼とした木々の間に、細い道があった。

 知らない道だ。

 昔から何度もこの森林公園を利用しているが、こんな道見たことがない。確かにその道は、人目につきにくい森林公園の端っこに然り気無くある感じだけど。でも、何度も歩いているのに気づかないなんてことあるだろうか?


 私は気になって、恐る恐るその道に踏み込んだ。そこだけ何故かアスファルトが引かれておらず、砂利道になっていて。その砂利道の両側には、真っ赤な曼珠沙華が咲いていた。まるで、私をこの道の先に誘うかのように咲く曼珠沙華。美しいけど、でもどこか不気味で。


 曼珠沙華続く道を歩く。

 すると、目の前に小さな池と古びた橋が見えてきた。曲線を描く橋の向こうには、びっしりと曼珠沙華が咲き乱れていた。

 私は得も言われぬ恐怖を感じつつ、でも恐怖心よりも好奇心が勝り、その橋を渡ろうとした。

 その時。


「─行ってはならぬ」


 背後から男とも女とも言えない声がして。後ろを振り向いたけど、人どころか人の気配も無く。


「…やっぱ、橋渡らないで帰ろう」


 私は気味が悪くなり、もと来た道を引き返そうとした。

 その時だった。



 ア ト ス コ シ ダ ッ タ ノ ニ …



 背後から、耳元で。

 さっきの声とは違う誰かが囁いた…




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] んー。 中に居るのは、神か悪魔か……。 いや、これ。タクトさんならば、行くでしょ? なんか、行きそうな気がするなー……汗 まあ、でも、そこは異界な訳ですから……。 誘うような甘い香りとか、…
[良い点] 詩のようなタイトルだったので、油断して読んだら恐かったです(^_^;) お彼岸の頃に咲く曼珠沙華。 夏と秋との境目、あちらとこちらの境目に咲く花なのかもしれませんね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ