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少女と黒豹の異世界放浪記  作者: 小太郎
第5章 アリステア神聖帝国へ
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第71話 聖都にて3

 異国の大きな町・活気のある町と言うのは、アリステア神聖帝国のような重苦しい国であっても、やっぱり面白い。それに次の目的地を探るというイベント発生で、フロリアの聖都滞在は20日間にもなった。


 ニャン丸をゴーレムが居る工事現場に貼り付けていたのだが、6日目になってゴーレム使いが現場監督(と言うのだろうか、この世界でも?)に「そろそろ限界の部品があるのでパレルモ工房に発注してくれ」「なんとかごまかして使え。部品だってバカ高えんだからよ。神隷ごときが俺様に意見するんじゃねえ!」という会話を聞きつけてきたのだ。


「パレルモ工房。……そこがお師匠様がいた工房かな。どこにあるんだろう?」


 その答えは意外なところで判明した。

 巡礼者や旅の者が多く利用する市場で安いイモ類を探しているときに、旅の商人風の男が露天のおばちゃんと買い物の合間に世間話をしているのが聞こえてきたのだ。

 その商人は、これからアルティフェクスという町に行くという。


「やっぱり、魔道具といえばアルティフェクスだからね」


「ゴーレムを仕入れるのかい、旦那?」


「ははは、まさか。いつか「死んでなきゃ治るポーション」やパレルモ工房のゴーレムを扱えるような商人になりたいものさ」


 ……。


 アルティフェクス。それがフロリアが探している町の名前であった。

 

 フロリアは既にこのアリステア神聖帝国の大雑把な地図を入手していた。ただ、それは教会が呉れたもので、主な巡礼ルートが描かれているだけ。アルティフェクスという名前は載っていない。

 商人であれば、外国の商人も出入りするような町らしいので、知っている人にとってはおなじみの町なのだろうと思うのだが……。

 

「あ、そうか。それなら、大きな商会に行けば良いんだ」


 犯罪じみた行為で気が引けるが、どこか大きな商会に忍び込んで、地図を入手することにしよう。

 そう決めたフロリアは、町から出ないで時間を潰し、夜中まで待ってから、大門の近くの大きな商会に忍び込んだ。自社で交易隊を出すぐらいの商会でないと地図に用はないだろうという判断である。

 ニャン丸に任せれば忍び込みは、フロリアよりもずっと上手だろうけど、地図というものを理解させるのは大変である。ましてや人間の言葉など読めないのだから。


 フロリアは知らなかったが、その商会は食料品や酒類などを主に取り扱っていて、魔道具屋ではなかったので、アルティフェクス宛の地図など無かった。

 1時間ほど探してから諦めて、町の外に

出て亜空間に入り、1人反省会を行う。


 その結果、「そう言えばビルネンベルクでは御者の組合があった。この聖都でもそうした組合があれば、そっちの方が地図があるのではないか」という結論に達し、翌日はそれを探して見ることにした。


 こんな感じであったのだが、目的地探しばかりしていた訳ではなく、市場を見て回るのはもちろん、市内の大きな建物や橋などを見物したり、町の外には軍が訓練を公開する日があって、それを見物に行ったりしていた。

 軍の訓練では戦闘用ゴーレムも模擬戦をしてアピールしていたが、フロリアはあれなら、ウチのトッシン1体で10体は軽く破壊できるなあ、と感じた。

 アリステア神聖帝国はゴーレムや魔道具で有名と聞いていたのだが、どちらも品質自体は大したことがなさそうであった。


 聖都から出たり、到着したりする交易隊は、大門を使うのが一般的である。

 それで、以前に難癖をつけられた子どもたちとかち合う可能性があったのだが、朝から大門を入ってすぐの広場でうろついて時間を潰す。そのうち、適当な交易隊が到着したので、その後をつける。

 広場の奥の方の割りと大きな商会の裏手で荷を下ろすと、馬と御者のうち幾組かは、商会を離れてどこかに行く。

 どうやら彼らが雇いの荷馬車だったらしい。後をつけると、城壁の近くの一日中日陰になっているような場所に、馬がたくさん世話をされている広場があった。その広場の前の建物に御者が入っていき、馬と荷馬車を預けている。他にも御者らしき人がたくさんいて、ここが組合なのかどうかは判らないが御者のたまり場であることは間違いない、と確定した。

 

 あとは前回と同じように夜まで待つ。

 日が落ちて数時間経つまで待ってから、施設に近づくと、馬を飼っているだけに不寝番がいた。久々に眠りの精霊ザントマンの出番である。

 そして事務室を見つけて、その中を探すと棚の一角に地図がたくさん入っていた。


「やっと見つけたあ」


 フロリアはその地図を順番を崩さないように少しずつ出して、中身を確認していく。国内の地図はもちろん、周辺国の地図まである。

 フロリアは、この際だから、それをカメラの魔道具で写していく。

 この魔道具は、魔法使いが使うことを前提にしたもので、前世のカメラから思いついたのでそう名付けた、フロリアオリジナルの魔道具である。


 何枚目かの地図がちょうどよい具合にこの聖都ホーリーアリストから工房都市アルティフェクス(それと隣接して鉱山都市アルジェントビルという町もあるらしい)への詳細な行程が載っていた。


 かなりの時間を掛けて、その一枚を写し終えると、出来るだけ元の形に戻して、最後にザントマンに不寝番を起こさせて、気づかれる前に退出した……。


 亜空間に戻ってゆっくりと中身を確認したが、これだけわかれば、もう地図関連は不要だろうと思う。


「それじゃあ、そろそろ行こうか、トパーズ」


「ふむ。お主が良ければ、私はいつでも良いぞ」


「うん。それじゃあ、明日は最後に東門の教会で薬草を引き取ってもらって、そのまま町を出よう」


 翌朝。フロリアは予定通りに朝一番で薬草を持って教会へ行く。


「朝からですか?」


 神父さんに聞かれたので、「はい、昨日採ったものです。今日はこれから他の町に巡礼に行くんです」と答えておく。


「そうですか。お嬢さんにアリステア様のご加護がありますように」


 そして、町中を大門の方に回って聖都を出る。東門からでると、町の周囲をぐるりと回らないと、アルティフェクスに向かう街道に出ないのでかなり遠回りになるからだった。


 すると、てきめんに後をつけられた。


「気配に覚えがあるな。最初にフロリアをつけようとした子どもだ。だが、後は知らぬな。3人ほど居るようだ」


「うん。全部男だね。ちょうど良いや。ちょっと考えていることがあるから、あの人たちに協力して貰おうかな」


 そしてトパーズには手を出さないように頼む。トパーズの姿に怯えて、失禁でもされたら困るのだ。服を洗うのはこちらなのだから。


 フロリアは森の奥に入っていく。

 故意に人気の無い方を選んで、30分も歩くと、後ろからつけてきた連中は、もう隠すつもりも無いようで、走ってフロリアを追いかけてきて、取り囲む。

 子どもが1人に大人3人。


「ずいぶん探したぜ、姉ちゃんよ」


 子どもは前回、フロリアに絡んだ少年である。


「ルカさん、この女です。変なワザを使うんで気をつけて下さい」


「ふん。誰に向かってものを言っているんだ。この娘なら、2~3年経てば高く売れそうかな。神父さんも喜びそうだ」


 ルカと呼ばれた男はそんな事を言っている。あの大門近くの教会の神父のことかな。聖職者の癖に、少女を見て喜ぶのか……。

 だけど、そのあたりのことはどうでも良い。

 フロリアに用があるのは彼らの服だ。

 

 フロリアは、草木魔法で彼らが何もできないあいだに蔓草で縛り上げてしまった。


 もう少し、歯ごたえがあるかと思っていたので、なんだか拍子抜けである。

 変なワザを使う、と言われていたのだから、もう少し警戒すればいいのに。


「それじゃあ、1人ずつほどきますから服を脱いで下さいね」

いつも読んでくださってありがとうございます。

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