第十話「不確定性原理のチートスキル」
フードの人物の死線をかいくぐり、「クロノス」という魔法を手に入れた聖太。
びた一文無しのスキル無しだった聖太に、一筋の光明が見えた。
聖太は、この「クロノス」を使い、「ディメンションクエスト」攻略に意気込むが——————。
聖太は、エンドルシア王国王城内スフィリア姫の私室にて、食事をしていた。俺は、先程の自身の詠唱した魔術、「クロノス」の詠唱成功の嬉しさと感動と少しの興奮とで、ない交ぜになった感情で食事をしていた。
スフィリアちゃんは、昨日とは違った嬉々とした表情で食事をしている俺を見て、怪訝そうに首を傾げた。
「何かうれしそうですね」
俺は、湧き上がる力の蠕動する魔力を右手に集中させ、左手で顔を隠し、その右手をスフィリアちゃんの眼前に掲げてこう、言い放った。
「ああ、俺は最強の力を手に入れたからな…その名も…」
「アリア:クロノス!!」
俺は、この最強の力を使ってスフィリアちゃんに悪戯してやろうと目論んでいた。
「ひひひ…覚悟するんだな…姫様…今、俺を幾度も惑わせたその禁断の果実を、この手で捥ぎ取ってやろう…」
俺は不敵な笑いをし、スフィリアちゃんに近づく。わきわきと両手を動かし、しっかりとした眦で獲物をハイエナの様に見定める。
「まずは脇腹から…そして徐々に…」
さわさわ。
「あひゃひゃ、辞めて下さい冒険者さん!くすぐったいです!ひゃあ、やめてー!」
あひゃひゃ?
「あれ…?」
魔術が発動しないことに、俺は呆気に取られてしまっていた。先ほどとは違い、スフィリアちゃんは目の前で息もしているし、周りの時間や料理の湯気ですら、現実のものと相違ない質量を持って動いている。
「やめてー!!」
暴れまわるスフィリアちゃんを尻目に、俺は片手を顎に当てて長考。
「さっきのは、なんだったんだ…?」
泡ぶくを吐き気絶するスフィリアちゃんに気づいたのは、その数秒後の事だった。
聖太は、スフィリア姫より与えられた客室の一室、ベッドの上で思考していた。
「アリア:クロノス」
詠唱する魔術は、依然として発動しない。俺の外界には何の変化も齎さず、夜風が窓からそよそよと入って、俺の前髪を揺らす。
「ダメか…」
俺は、ベッドに一挙手一投足を放擲した。
「初めてこの世界に来て使えそうな魔術スキルを会得したと思ったんだけどな…」
もしクロノスが使えるならば、ディメンションクエストでの立ち回りに大きく貢献する。時間を数秒であれど留めれるということは、どんなモンスターの攻撃ですら回避可能であるし、悠々と異世界を探索し、この世界からログアウト出来ない原因を調査することが今よりも幾分か可能だったのだが、結果としては振り出し。草原に初期装備でリスポーンした時の状況と、相違ない状況に俺は辟易する。
「しかし…アイツに襲われた時は何故使えたんだ…?発動条件とかがあるのか…?」
アイツ、とはフードの人物に命を狙われた時だ。しかし、幾度も詠唱を繰り返してみたが、詠唱に成功したのはフードの人物と対峙したときの一度のみだった。魔術の詠唱が解除されるタイミングもあやふやだし、成功するトリガーが何なのかさえ、判然とせず、俺は自身の能力に関して得られる情報は皆無だった。
「前回のディメンションクエストでは、クロノスという魔術スキルを使えば、数秒間敵の動きを止めれる、というスキルが存在していたが、特に使用条件とか制約は無かったしな。あるとすれば…クールタイムが存在してることくらいだけど…それもこの時間になってまで使えないなんてことあり得ないしな…仕方ない、今日はもう寝るしかねぇな。現時点で俺にできることは何もなさそうだし」
フードの人物の襲撃、クロノスの使用、そして牢獄で聞いた開発者の言葉。様々な不可解な事象が俺の中に錯綜したが、そのどれもが現時点での長考により解決できるほど、俺は十分な知識を持ち合わせていなかった。
「仕方ない…寝るか」
俺はふてぶてしく呟くと、夢の中へと溺れるように意識を閉じていった。
この度は、私、すゞみずみすゞの小説を最後までご覧いただき誠にありがとうございます!
少しでも良かった、面白かったと思って頂きましたら、ブクマなどの応援を、どうかよろしくお願いいたします!
まだまだ粗削りではありますが、自分の作品がアニメになるという夢に向かって書いて行きたいと思います!
コメントなども是非ともお待ちしております!(*^-^*)
私の励みになります!(笑)
宜しければ次のお話も、読んで行って下さいね♪(*^-^*)




