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22話 何もかもが俺を苦しめる……!! 頼むから早く終わってくれ!!! もうこの世のすべてが生き地獄だ!!!

 俺は91層の門の前に立った。

 そこにはご丁寧にボスの情報が刻印されており、俺はその前で目を細めた。


 インペリアル・ストライカー・ゴーレム(Lv999)

 弱点属性:なし

 弱点部位:不明


「91層でこれかよ……」


 インペリアル・ストライカー・ゴーレムは第一ワールドの最終ダンジョンの最奥にいる最強の魔物だ。

 つまり、第一ワールドのラスボスが、十連ボスラッシュの初戦というわけだ。


 さらに言えば、第一ワールドのインペリアル・ストライカー・ゴーレムのレベルは800だった。


「迷ってたって仕方がねえ。100層に行かねえと、全員死ぬんだからな……」


 一度街に戻って仲間を募る時間などない。

 NZOは現在進行形でテロリストに占拠されているのだ。

 恐らく90層で倒したヘラも実動部隊の一人に過ぎない。


 俺はリナを柱に固定し、固く閉ざされた門を開けて中へと入っていく。

 暗闇の中、松明が次々と灯っていき、その奥でミスリルの鎧を身に纏った紅蓮の炎が黄金色に輝いた。


 鑑定するまでもない。

 インペリアル・ストライカー・ゴーレムだ。


「おらかかってこいやゴミ虫が。てめえの後に残り9体控えてんだからな……!!」


 俺は叫び、背からトライデントを抜き取った。

 イン・ストは強烈な魔導波を放ちながら、巨大な両手剣を抜き取った。


「そのモーションが囮だって知ってんだよクソゴミ虫!!!!」


 俺は下方から現れた巨大な土製の蛇を斬り刻み、続く魔導波を回避し、その勢いを利用して壁を走り抜ける。


「弱点:不明じゃねえんだよ!! その首元の宝石が狙い目だって最初に攻略サイトに書き込んだのはこの俺なんだからよぉ!!!!」


 俺は壁を蹴って跳び、敵の二十連撃を全て回避し宝石に最大出力の一撃を叩き込む。


「は! 流石に硬えな!! 元ラスボス野郎!!!」


 イン・ストの首元には数ポリゴンだけ着地判定の取れる場所がある。

 これは確実に仕様ミスだから攻略サイトに書き込まなかった。俺だけが知ってる攻略技だ。


 数ポリゴンに足を掛け、再度跳躍し下から宝石を砕きにかかる。


「ッッッッッッ!!!!!!!!!」


 俺の一撃で宝石にヒビが入り、イン・ストは雄叫びを上げた。

 次の攻撃には回避方法がない。


「回避出来ねえなら防御するまでだ!! クソが!!!」


 俺はトライデントを構え、全方位への魔力照射を回転させたトライデントでガードする。

 魔力照射後の一瞬の硬直を見逃さず、俺は敵の足元へスライディングで潜り込む。


「死ねやオラ!!!」


 トライデントを突き上げ、複数の鎧が重なりあった部位を突っつき回す。

 この位置は離脱タイミングを逃すと踏みつぶされて一瞬で落ちるデッドゾーンだ。よほどの度胸が無ければ潜り込めない位置だが、当り判定が重なっているため効率よくダメージが通る。


「あ、踏みつぶすかてめえ!? やってみろオラ!!!!」


 インペリアル・ストライカー・ゴーレムは見失った俺の位置が直下だと気付き、そのまま踏みつぶしにかかるが、時既に遅し。

 俺は"緊急離脱"で敵の頭上を取っている。


 このユニークスキルは手に入れた時から強すぎると思っていた。

 ワープが出来るということは、敵の弱点位置までの移動が「確実に成功する」ということなのだから。


「おらはよ死なんかい!!!!」


 俺は先ほどの宝石への二段ヒットを決め、イン・ストのHPの大半を削りきる。


「オマケに一発食らっとけや。ゴミ野郎」


 回し蹴りを叩き込み、微ダメージ与えておく。

 恐らく一桁ダメージだが……。


「これにて完結です。お疲れさまでした」


 俺は"緊急回避"で例の多段ヒット位置を取り、トライデントの一刺しで敵のHPを削りきる。

 今の一撃では足りなかったが、さっきの回し蹴りのぶんで丁度ピッタリ、計算が合う。


 俺は一度の戦闘で三回までしか使えない"緊急離脱"の最後の一回を使い果たし、「安全地帯」へと飛ぶ。

 刹那、インペリアル・ストライカー・ゴーレムは自爆攻撃を放ちながら回りの全てを焼却し、消滅した。


「初見殺し、お疲れ。それ俺はもう知ってるんで……」


 手早く元ラスボスを片付けた俺は、門を戻り、リナを柱から解く。


「ゆ、優くん……!? これ何!? なんで私縛られてるの!?」


「分からねえなら黙ってろ……」


 俺はリナを引きずって、92層へと登っていく。


「姫乃……お前と戦った時のイン・ストはもっと強かったよな……」


 ああ、これが想い出補正ってやつなのか……?

 まあいい。この調子で何もかも終わらせてやる。

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