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1話 俺はリナの笑顔をみるだけで幸せなんだ

短めのお話ですが、面白いと思った方はぜひブクマ・評価お願いします。

 ナーバスゼウス・オンライン――

 国内最大級のVRMMOであるそれは、世界中に二百万人以上のプレイヤーを抱える大手中の大手。


 月に数度の頻繁なアップデートにより隠しダンジョンや新アイテム、新技等が常に追加され続け、やりこめばやりこむほど、探せば探すだけ新たな境地へと辿り着ける神ゲーだ。


 俺は彼女のリナと一緒に、今日も一緒にNZOでの生活を堪能していた。


「いやぁ~今日も大量大量!!」


「金鉄塊がこんなに!! 優くんすごーい!!」


 自慢じゃないが(自慢です)

 俺はNZOのβテスト版の頃からのプレイヤーで、実は界隈ではそこそこの有名人だ。


 そんな俺は並みのプレイヤーでは到底敵わない「大蛇竜Lv240」ですらものの一時間もあればちょちょいのちょい!

 下位ギルドが20人全員揃って一ヶ月がかりで集めるアイテム量の実に十倍以上を稼ぎ出せる。


「これ全部リナにあげるよ! "金色槍"作りたいって言ってただろ? これで作れるはずだからさ!!」


「え~っ!? 本当にいいの!?」


「当たり前だろ、リナは俺のパートナーなんだから。仲間が強ければ俺も助かるから!」


 ちなみにパートナーというのはNZO内での婚姻制度のことだ。

 現実ではまだ結婚まではいってないけど、NZO内での俺たちは新婚さんだ。


「わぁ~嬉しい~!!」


 俺が一時間かけて集めてきた金鉄塊を嬉しそうに眺めるリナに、俺は思わず頬が緩む。


 はぁ~!

 やっぱりリナはかわいいなぁ~……。


 俺とリナの出会いは幼稚園の頃のことだった。

 つまり、幼馴染みってやつだ。


 リナとももうかれこれ十年以上の付き合いだと思うと、過去の色々な思い出が蘇ってくる。


「そういえば優くん、「呪われた銀のブレスレット」ってどうやって作るんだっけ……?」


「ん? それならこの間渡した「ハエの王の羽根」で作れるんじゃないかな……?」


 それを聞くと、リナはあわあわと慌てだした。


「どうした、リナ?」


 リナは子供のようにボロボロと涙をこぼし、俺の胸に抱きついてきた。


「優くん……「ハエの王の羽根」、この前間違えて売っちゃったの……」


「え、えぇえええええぇつxッッッ?!?!?!?」


「ごめんなさい!!! ごめんなさい優くん……! 私本当にドジだから……」


 ハエの王の羽根は夏期限定ダンジョン……しかもバグが見つかって一日で閉鎖されたクエストの最終到達報酬だ。


 現在ではとてつもないプレミアが付いていて、たぶん保有者は世界で十人くらいしかいなかったはず……。


「そ、そうか……。でも売った金で買い戻せるかもしれないから……」


 それを聞き、リナはさらにぼろぼろと涙をこぼす。


「そのお金もづがっぢゃっでぇ~!! うわぁああああん!!! ごめんなさい優くん!! ごめんなさい!!!」


「え……? え……? ………………えぇ?(困惑)」


 いやいや待て待て待て!!!

 世界で十人しか持って無い超絶レアアイテムを売った金だぞ????????


 そんな大金、どこでどうやって浪費した??????????????????


 ま、まあいい。

 ここで泣いてるリナを追及するのも可哀想だ。


 ここはあくまで彼氏……いや旦那としての器量の深さを見せてやるべきだろう。


「リナ、気にしないで……。俺は全然気にしてないから。それにほら! 「呪われた銀のブレスレット」なら互換アイテムがあるから、リナが欲しい効果は得られると思うよ!!」


「ひぐ……ぐす……。優くんごめんね……」


「いいんだ。ほら、笑って? 俺はリナの笑顔が好きだからさ!」


 それを聞くと、リナはぐすぐすと涙を拭い、少しだけ微笑んでくれた。


「うん、いい笑顔。……そうだ! 俺、この前リナが欲しいって言ってた「絶海竜の涙の剣」作るよ!! あれ実物は滅茶苦茶綺麗なんだよ!! グラフィックが凄い凝っててさ!! きっとリナも自分が思ってる以上に気に入ると思う!!」


「本当!? 優くん大好き!!」


 リナはすっかり元の笑顔に戻ってくれた。

 物で釣れるところは子供っぽいけど、そこもリナの可愛いところだ。


「そうと決まれば早速絶海竜を倒してくるぞ!!」


 これも愛するリナの笑顔のためだ!!

 よぉ~し頑張るぞ~!!!

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