「動き出す運命」
続けて読んでくださり感謝です!
勇者と出会ったソフィー、ここからどうなって行くのでしょうか?
3話「動き出す運命」
「おう!俺が未来の最強の勇者、ジークフリート・ガイロニアだ!」
(え、勇者?勇者ってあの女神が言ってた…?てか、待って、さっき王子って…)
「さっき、後ろの人が王子って…」
「そうだぜ!俺はこのガイロニア王国の王子でもあるんだ!まぁ、次男だから、王様にはなれないけどな。最近は暇な時間で剣術を鍛えてるんだ。」
「す、すごい。だからあんなに強かったのね。」
「だろ〜??いつかは勇者になって世界のために戦うんだ!」
「すごーーい!」
(多分こういう子はとりあえず持ち上げとけば良いよね)
「王子大丈夫ですか!」
灰色に装飾が施された鎧を来た男が2人走ってくる。
(護衛かな、The男って感じだ)
「おぉ、コルト、レイモンド、大丈夫だ、クマは仕留めたよ。」
「そうですか。良かったです。ですが、殿下自ら戦わずとも我らにお任せ下さい。殿下の身に何かあった後では手遅れです。」
「良いんだ。俺がしたいからしたんだし、こんな可愛い子が襲われそうになってて見過ごせなかったんだ。それにこれも戦闘訓練の一環と思えばいいじゃないか。」
(えっ、か、可愛い?!)
顔の温度が上がっていくのが自分でも分かった。
「ですが、魔物は私たちみたいに手加減や、急所を外す様な事は一切してくれないんですよ!」
「はいはい、気をつけまぁーす。」
「あのぅ…」
「おぉ、エルフのお嬢さん、お怪我はありませんか?」
「はい、大丈夫です。それより…」
(緊張するな…)
実はソフィーになってからは初めて会う人間だった。これまで身の回りには他のエルフ達と後、獣人のメイドのレイしか居なかった。時々、里にも人間はやって来るらしいけど、こんな近くで見るのは彼女には初めてだった。
ソフィーは深呼吸して、
「助けて頂き、ありがとうございました!!!」
そして、お辞儀をした。
「いやはや、怪我無くて本当に良かった。それに、お嬢さんの攻撃が魔物の気を逸らしてくださったおかげで、殿下もとどめを刺す事が出来ました。ありがとうございます。」
(コルトって人はすごい紳士だ。)
「いや、これはもう僕の剣の勝利だ!!」
「おい王子、まだ俺にも勝てないのに調子乗んなよ〜」
もう1人の男が王子に話しかける。
(対して、こっちの人はちょっと怖いな。でもめっちゃ強そう…。)
「なっ!レイモンド!それ言うなぁ〜。」
「へいへい、王子様〜」
「殿下は決して弱くはありません。ですが、この魔物を倒せたのは殿下おひとりの力では、ありませんよ。えっと、こちらの。」
(あ、やばい、まだ自己紹介してなかった。やっぱり挨拶は敬語が良いよね。)
「失礼、自己紹介が遅れましたわ、私は、この近くのエルフの里に住んでおります、エルフ族のイヴァンとリーシャの娘、ソフィーです。」
(こんな挨拶でいいのかな。まだこっちの敬語とか作法習ってないけど。前世で読んだ本を参考にしたけど…)
「イヴァンとリーシャというと、ベネット家の娘さんでしたか。これは失礼いたしました。あの、有名な魔法使い一族のお方だとは。」
「いえいえ、そんな…それより皆さん無事で本当に良かったです!」
「おーい、ソフィー大丈夫かー!!!」
遅れて両親が走って追いかけてきた。
(やっぱり魔力によって『身体強化』による加速の差が生まれるみたいね。まぁパパは魔力の差を剣や弓矢で補ってるみたいだけど。)
「うん!パパ大丈夫だよ!」
「おぉ、良かった…ってその姿!血まみれじゃないか!」
「これ全部クマの血よ、私は大丈夫!」
「もぉ、1人で突っ込んじゃダメでしょ!」
(相変わらずこのママは褒めてくれないのよね。)
「そうか、お前の血じゃ無いのか。良かった。」
そう言って、すぐ近くに他の人が居る事に気づき、その人たちの防具や服装で王家の人だと気づくと、両親は2人とも一瞬で地面に跪いた。
「これは失礼致しました。王家の方々とは知らず申し訳ございません。うちの娘が大変失礼致しました。」
「いえいえ、大丈夫です。私たちもソフィー殿に助けて頂きましたから。」
「あっ、そうでしたか、とにかく殿下の身に何も無く何よりです。」
(パパとママが跪いて敬語で話すのなんて初めてだ…)
(それより…)
ソフィーは会話に耳を傾けながらも、その視線はずっとジークフリートを見つめていた。
(かっこいい…)
しかし、それもコルトの言葉で我に帰った。
「では、我々はこれで失礼します。この事を陛下にも報告せねばなりませんので。殿下行きましょう。」
(あぁ、もう帰っちゃうのね。もう少し一緒に居たかったな。まぁ仕方ないよね。王族なんだし。忙しいよね。)
「ちぇっ、もう少し魔物と戦いたかったな。」
「わがまま言うなよ。じゃあ帰ったら城の中庭で俺と勝負するか?」
「おう!今度は負けねーからな?」
「ははは!そのやる気だけは褒めとくよ。」
(ジークフリート様もあんなクマを倒すくらい強いのに、レイモンド様は更に上って事よね…すごい。)
遠くに止めてある馬車へと向かっていく。そこには先程『周辺探知』で見つけた4人目の人が居た。
(あぁいう馬を操る人なんだっけ?御者さんだっけ?)
「王都にお帰りですね?」
「あぁ、頼む。」
そして3人は馬車に乗り込んで行く。
馬車に乗り込む瞬間、ジークフリートがソフィーの方を振り返り、無邪気な笑顔で手を振った。声に出してはいなかったが、まるで「バイバイ」と言っている様だった。
ソフィーも手を振り返した
(やばい、心臓バクバクだ)
「娘を助けて頂きありがとうございました!!」
(あっ、私も言わないと。)
「ありがとうございました!!」
3人は深くお辞儀をして、馬車を見送った。
(ふぅ、初めての偉い人の前で緊張したぁ。前世じゃ王子様になんて会うことなんて無かったし。)
ほっとしたのもつかの間、段々と目の前の両親の顔が険しくなっていく。
(あっ、やばい。これは…)
「「ソフィーー??」」
「いや、あのっ、ひ、人が襲われそうで、誰かが死ぬのなんて嫌で…飛び出して行っちゃいました。」
「それで〜?」
(ママの顔怖い…)
「傷は負わせれたけど、魔物を倒しきれませんでした。私がまだ弱いからです。パパとママに心配かけてごめんなさい。」
「はい、よく出来ました。」
「俺としては、あんなバケモノを目の前にして、良く逃げずに立ち向かったと思うな。流石俺の娘だ。」
「ちょっと、イヴァン!これでソフィーが調子に乗ってまた魔物と戦おうとしたらどーするのよ!」
「はははっ!すまんすまん。ちょっと嬉しくてな。」
「少なくとも、さっきのクマくらい余裕で倒せるくらい強くなれる様に私たちが鍛えてないとね。」
「あぁ、そうだな。」
「今日もまた魔法の勉強?」
「あぁ、そうだな。今日は魔法制御の練習をしよう。さっきの『身体強化』といい、まだ制御が出来てない所が多いからな。」
「それより!まず、その臭いのをどうにかしないとよ。とにかく屋敷に帰りましょ。帰ったらレイに洗ってもらいなさい。」
「はーい、ママ、綺麗になったら魔法教えてね?」
「えぇ、約束よ。」
「約束!じゃあはい!」
そう言ってソフィーはリーシャに小指を向ける
「あら、それは何?初めて見たわ。」
「えへへ、これはね、約束のおまじないだよ!お互い小指を絡めて約束するの。この約束破ったら、針千本飲ませちゃうんだって。」
「おぉ…針千本か…俺は約束しないどくよ。」
「そうよねー昔なんてディナーの約束を何度もすっぽかしてた人だもんね〜」
(うわっ、なんでそんなで結婚出来たんだ…)
「うっ…それを言うな。」
「まぁ、今は私のこと大事にしてくれるしー?特別に許してあげる♡」
「あ、ありがと…」
「ねぇ、パパ顔赤いよー、ねぇそれより、小指出してよ。」
「なっ、赤くなんか無いぞ!さっき走ってきてからだ!」
「パパ照れ屋さんだからね〜、じゃあ、はい!約束」
そう言ってリーシャは自分の小指とソフィーの小指を絡めて約束をするのだった。
「ねぇ、早く帰ろーよー!」
「そーねー帰りましょ。あっ、でも『身体強化』は使っちゃダメよ。少なくともパパとママがちゃんと使えてると思って、許すまでは1人では使っちゃダメよ。」
「はーい!ねぇ、パパ!ママ!」
「「ん?」」
「手!」
そう言ってソフィーは両手を左右に差し出した。
そうして、家族3人手を繋いで、屋敷帰って行った。
(そういえば、あのジークフリート?って王子様かっこよかったな。なんか胸がドキドキしたし。それに強かったし。勇者だもんね。女神が言ってた魔王の事が本当だとしたら、また会う機会あるよね。もしかしたら一緒に戦うことだってあるかも。でも、まずは、魔法を制御出来るように練習しないとだ。宝の持ち腐れにならないようにしないとね。)
【その日の夜、屋敷にて】
イヴァンとリーシャが話していた。ソフィーはもう寝室で寝ている。
「なぁ、今日のソフィーの事どう思う?」
「えぇ、これまでと何かが違っていたわね。なんというか、大人っぽい?今までだとあんな魔物相手に戦おうなんて選択しなかったと思うわ。勇敢なのは良いけど、まだ経験不足のうちは怖いわね。」
「あと、あれだ、お前とした約束の。」
「えぇ、小指を絡めたやつね。あの子、この里から出たことなんて無いのにどこであんな事知ったのかしら。あの子、本好きだから読んでて知ったのかしら。」
「なぁ、何か取り憑いたりはしないよな?」
「それだったら私達が気づくでしょ?」
「あぁ、そうだよな。まぁ用心しておくに越したことはないだろうな。」
「えぇ、レイにも何かおかしなことがあったら私達に言うように伝えておくわね。」
「あぁ、頼む。」
そう話して、2人はそっとソフィーの寝室を扉から覗いた。
ソフィーは2人が自分の事を怪しんでいることなど露知らず、気持ちよく、ぐっすり眠っていた。
「あんなに可愛いんだもの。大丈夫よ。」
「あぁ、そうだな。」
そう言って寝室の扉を閉めた。
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【それから時は流れ】
【7年後】
縁に綺麗な装飾を施された鏡の前で白髪の1人のエルフが髪をとかしている。
服装は緑を基調としたローブで、白いレースと、金色の装飾があちこちに施されている。清楚系で、とても美しい服だ。近くの壁には、そのエルフの身長と同じくらいの大きさの杖が立て掛けてある。杖の先端には、魔石が付いていた。
「ソフィー準備出来たー?もう迎えの馬車来てるわよ!早く行くわよー?王都に行くんだから遅れたらまずいわ!」
「はーい、かーさま。分かったわ!」
と元気よく返事をする。
鏡の前に居たのは成長したらソフィー・ベネットだった。
まだ可愛らしさは残っているものの、そこに凛々しさが加わり、美しいエルフへと成長していた。
この7年で、この世界そのものや、魔法等様々の事を理解した彼女は今日から王都で魔法使いとしての訓練が始まるのだ。
ベネット家では、この世界での成人する年齢である15歳になったら、代々、宮廷魔術師として最低でも3年、王家のために働くのが伝統となっている。3年経ったあとは自由にそのまま魔術師を続ける者や、冒険者になる者、商人になる者等様々だ。
だが、その宮廷魔術師になる前に何年か、王都の魔法使いから教育を受ける事になっている。そのために、これから王都に向かうのだ。また、今回は国王陛下への謁見もあるため、家族3人で向かう。
「とーさま、かーさまお待たせしました。」
「大丈夫よ、まだ慌てる時間じゃ無いわ。それに平気よ。昔、イヴァンなんか、城の集まりなんかしょっちゅう遅刻してたから。」
「とーさまは昔からルーズなんですね。」
「なっ…お前ら最近なんか似てきてるだろ!2人して俺をいじめて!」
「うふふっ、じゃあ行きましょうか。ここで話してて本当に遅れたらまずいわ。」
「レイ、屋敷の事は任したわ、行ってくるわね。」
「かしこまりました。旦那様、奥様、お嬢様、行ってらっしゃいませ。」
レイは、玄関でお辞儀をして、3人の事を見送った。
「じゃあ、しゅっぱーーつ!」
とソフィーが元気よく叫び、王都からの迎えの馬車に乗り込み、3人は出発した。
(あぁ、王都楽しみだな。お城きっと綺麗なんだろうな。どんな見た目だろう。やっぱり学生の頃行った、遊園地にあったみたいな感じなのかな?あー楽しみ。)
(あっ、それより。ジークフリート様居るかな…。王子様なんだし。きっと王都に居るよね。会えるかな。かっこよくなってるんだろうなぁ〜楽しみ。あれ以来会ってないけど、今の強くなった私の姿を見て欲しいな。)
(それより、馬車ってなんでこんなに揺れるわけ、ガタガタしてめっちゃお尻痛いんだけど。みんなこんなのに乗って移動してるんだ…すごいな。)
様々な期待を胸に、ソフィーはエルフの里の外のまだ知らない世界へと向かう。
To Be Continued
読んで頂きありがとうございます。遂にエルフの里の外の世界へと行きます。様々な出会いが待ち受けている事でしょう。楽しみですね。次回から更に戦い系を増やしていけたらなと思います。




