表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鵬、天を駈る  作者: 吉野
4章、『○○○○○○○』
69/248

第68話 弁天堂、お幸の進路



それは、こんなことを唐突にいわれると


こまりますよね?







「ええと、


どういうことなんですか?」




改めてきいてみる。


ちょっと突拍子もなさすぎてわからなかった。




急に"弁天堂"をひとつ任せると言われても。





「うーん、まあ…そうね。


三号店でもちょっとお客さんが多すぎる状態よね?




村田のほうでも定期的に


その辺りを調べているのだけども、


今の那古野城下町では


"まだ飯処(めしどころ)が足りない"状況なのよね。



まだ増やしても受け皿は有るのよ。」



確かにうわさに聞くところでは、どこの飯屋も


てんてこ舞いみたい。



最近、この町にひとの数が一気に増えたから


食べる場所に困っているとか。




どこの飯屋もお客さんを回せる限界にある。



「ひとを増やしたところで


料理は簡単には増えないのよ。


(かまど)が増えない限りはね。




―――――で、"弁天"に限らず


"大黒"でも"毘沙門"でも見所のあるコには


声を掛けているわけ。



料理に廻されたり、呼び込みに行ったり。


ひととおりのことはやっているでしょ?」




ええ、まあ確かに。



料理のほうもおおよそ出来るようになりました。


お客さんを呼び込むのもそれなり以上には


出来るのではないですか?



お店の中でのお客さんの対応も出来てる方だと。




………………お店ですかあ。



どうか?


と言われれば、それはやりたいですよ!



自分でお店となると店内の造りから献立、


それから何を"売り"にする店にするか?




やるからには、行列のできるお店に!!


―――と、いろいろワクワクします。




―――――とはいえ、今のわたしには


足りない物が多すぎますよね?




「そう――――ですね。


まずは読み書き。



お品書きやお知らせ、看板など。


これらを書いて、(かつ)説明できないとダメです。




次に算術。



少なくとも暗算でお代金が


計算・精算出来なければお店などやれません。


これは必須です。




次いで経営。



店をやりくりするにはある程度の人を雇い、


品物を仕入れなければなりません。



どれだけの人をどれ程、働かせるか?


仕事を覚えるまでにいくら時間がかかるか?


どのような働き方をさせるか?



残り物が出ないようにどれだけ仕入れるか?


品物を満足してもらえるよう料理できるか?



それらを計算し差し引いた上で利益を出すには


どれだけの品でどれ程の値段が必要か?



軽く言ってもこれだけあります。




――――そして、"売れる物が出せているか?"


これが出来なければ意味などありません。」




―――――うっわあ、



多いなんて物ではないですね。



……………でもこう聞くと、その全てが


『いかに儲けをだせるように、どう頭を使うか?』


という事へひとつにまとめられそうですね。





「――――――それがあきないの極意です。


………簡単に導きだすとは思いませんでしたが。



商人というのは今の世で、武家と同じくらい


この国で最も頭をつかう仕事ですからね。」





―――――武家と同じくらい?


そうなのですか?


あまり頭を使わずに、


暴れてばかりの感じしかないのですが…………




「………そうですね。


だからこそ頭を使わない連中は、


いとも簡単に滅亡するのですよ。



――武家の者達は借金だらけだと知っています?」




……………うっわあ、借金まみれですかぁ。



良い暮らしをしている印象しかないですけどねぇ。



私たちよりも余程にひどい生き方してるんですね。




武家なんて憧れても、


成るものではないわけですね。





「ともあれ、これらの知識ですね。



………知っていましたか?


これらのモノは"局"の中の施設で、


『講座』として有料で教えてもらえるのですよ?」




おお?!



教えてもらえるんですね!


それはいいです!




――――でも、時間がかかりますよね?


そして銭も。


ついでにその間、働けない。



…………ウチの家にそんなに余裕が無いのですけど。




「村田系のお店で良かったですね、お幸。



うちの若様はその辺はおおらかといいますか、


"ヒトを育てることに銭を惜しまない"方でして。



多分、わたしの方から申請を出しておけば


講座費用どころか、その間の


『弁天で働く給与分』さえも(もら)えますよ。」




いやいや?!



なんですか、その異様な厚待遇?!!


"講座"費用が無料どころかその間


銭を頂けるとか、絶対おかしいですよね?!




何か裏がありますよね?



……………なんですか?





「―――裏、という程のことではないですが。




まあ簡単ですよ?


援助を受ける以上、こちらからはひとつ。


独立後は村田の庇護下・勢力下にはいること。



………それだけですね。」







………確かにわたしとしては全然こまりませんね。



そのお話、お受けしてもいいですか?


ぜひ、やらせて下さい!!






那古野城下町において、


急激に人口が増えたために食糧供給事情が


パンクしかねない状況に。



とはいえ仕入れや人材育成の問題で


簡単には解決できないため、


できることからコツコツと。





マメ知識



『武家は頭を使う』



武家は修羅の業界。


ちょっとでも油断するとよそどころか家族すら


潰しに来る地獄。



常に頭を使わないとヤバい。





『局の講座』




ハロー○ークへ行ったことのある人なら


知っているかもしれませんが、


ここには職業訓練の講座がある。



こちらの講座はもっと大掛かり。


読み書き講座から、経営学講座まである。


それどころか、傭兵用の弓や槍の講座もある。




『村田の援助』



いわゆる奨学金にあたる。


ただし、ここまで大盤振る舞いするのは村田のみ。


人材育成を重視している村田ならでは。



その代わり、村田への入社を勧められる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ