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鵬、天を駈る  作者: 吉野
4章、『○○○○○○○』
53/248

第52話 乱世の、眠りを覚ます?

ナチュラルに"てつはう"を投げ込みながらの


尾張への帰国道中。




ようやく到着しますが?







さて、


ヘロヘロになりながらも



ようやく熱田の近くまで帰って来たのだが。









「……なあ、小僧。


―――――――あれは一体、何だ?」








えー?




何でも()んでも人のせいにしないで下さい。


少なくとも熱田の騒ぎの2割は若君の仕業(しわざ)ですよ?



貴方のお子様の。


最近、持て(はや)されて居ますしね―。








「つまり残りの8割は自分である自覚は在るな?」





――それは否定しませんが。









―――――しかし、まあ。


何でまた









"大型ジャンク船"が四隻並んでいるんだ?




――あれでは"たった四杯で夜も寝られず"


とはならないぞ?










ぼんやりと見ていても仕方がないので、


ひとまずは近寄ってみる。






織田の勢力圏である熱田に停泊している以上、


敵対目的ではあるまい。


どちらにせよ、内容を改めなければな。



―――情報収集、情報収集。










「………ふむ?」



近付くと、船上から手を振られる。





どういうことか?


………遠すぎてわからない。




ともかく敵ではないことはハッキリしたが。


ついでに相手の眼がずいぶん良いことも。










更に近付くと、小舟が寄ってくる。


おそらくは先程手を振っていた者だろう。


水手(かこ)が舟を漕いでくる。



――――速いな。


水軍関係か?







「……なるほど、あれは確か大野の佐治家へ


頼んでお借りした者でしたか?」




ようやく見えてきた面構えをみた藤吉郎が


こちらに確認を聞いてくる。







そうだな。


しばらく前に大野の城へ寄って借りた者の筈だ。



確かに頼みごとはしたが、






――――何でジャンク船(あんなモノ)なんぞ持っているのだ?








「…………やはりお前だったな、小僧。」



殿に浅いため息をこれ見よがしに()かれる。


……8割の方だったと?




―――そう言うこともありますよ?




よくあることです。










熱田の神宮を訪ね、千秋さまに頼み込んで


場所を借り受ける。



殿と平手さまに千秋さまと、私と藤吉郎。


そして、佐治家の、甚兵衛どの。





初めて会った時に『(くじら)かね?』


と思ったのは秘密だ。









「……………それで、どうして"そういう事"に?」



私が依頼したのは、


『新規の交易航路の構築』であった筈なのだが。




あくまで今回は下準備の交渉だけだったのに



何で()()を持って来る?











「新規の交易航路?」


殿が尋ねられる。


別段に報告していないことだからね。




初耳だろう。






織田家の利用できるもので


現在存在するのは陸路による近隣都市への交易と、


海路による伊勢への航路だ。



他勢力であるがゆえに


()()()()()()()()()()()()





そのために独自の航路を手に入れたかった訳です。







「ですから―――まずは


佐治の水軍を起点として……次に


志摩の九鬼の水軍……更に進み


紀伊の雑賀の水軍……次いで


土佐の長宗我部、薩摩の島津と続いて



…………最後に"琉球"へ至る航路です。」





()えて言うなら


『南廻り航路』。



大内(毛利)や堺とキナ臭くなった


――――そんな時のための非常用航路です。







「……………南廻り、なあ。」



殿が何とも言えない顔をする。



()()()()()()()()()からだ。





今までの交易は、終着点が京の都であったために


必ず堺へ到達するようになっていた。


そのために堺が必ずピンはね出来るシステムが


存在している。






対してこの航路は、終点を尾張の、


熱田もしくは津島へ設定しているのだ。






つまり、堺を『ガン無視』する。


"ピンはね"のシステムを織田で独占するわけだ。







まあ………そのままスルーし続けたままだと


間違いなく堺がキレるので、


瀬戸内から堺を経由してこちらに来る航路も


同時進行で行う予定。




通過する場所が違うために、


得られる産物も違ってくる。




片方に(こだわ)るつもりもない。


どちらも同レベルで運用する。




―――古くからある瀬戸内経由の航路は


利権闘争がうるさいが。




主に博多とか神戸とか。


その最たるが堺なわけだ。



『荷物と分け前よこせ』とうるさいだろうな。






だから新航路なぞ検討される。











―――今回はどういうわけか南廻り航路の方が


先に帰ってきた訳だが。



別の組はそちらにも送ってある。




―――――古くからの(しがらみ)が多いから


交渉に難航しているのだろうな。







…………丁度(ちょうど)いい。



堺の商人連中が文句を言って来たら


言い返してやろう。





『やりたいのは山々ですが、


………交渉に難儀しておりまして。


彼等を説得しないと始められません。



―――――――悪しからず。』


……とでも。




目の色を変え方々にゴリゴリと圧して回るだろうさ。




ふふ、


せいぜいに頑張ってくれ。









「実のところ、この南廻り航路にも


重大な欠点がありまして。


野分の季節に航路が止まってしまうのです。」



その間は既存の瀬戸内の中継航路に完全依存する。


堺にも旨味を()れてやれるわけだ。



三分の一くらいは。





それまでに堺には交渉をまとめてもらおう。


来年の秋までに頑張ってくれ。












―――――欲ボケた堺の業突張(ごうつくば)りなら


それでも必ず文句を言ってくる?









 知 る か 、 ボ ケ 。





 な ら 自 分 で 運 用 し ろ や 。








人の上前ばかり狙っていないで、な。





なお、博多→瀬戸内→堺と言う航路が


重用されるのは、大陸との距離が短いと共に


航路が安全だから。


特に瀬戸内は大きな嵐になることがほとんど無い。



そのために交易路として大いに繁栄した。





マメ知識





『てつはう』



その昔、元寇でモンゴル軍が使ったという


"手投げ式手榴弾"。


鎌倉時代での大陸の火薬兵器で"鉄炮"と書く。


村上水軍が使う炮烙(ほうろく)の、


遠縁のご先祖にあたる。


こちらはハンマー投げ式で、


導火線付きの大型手榴弾。


爆発のタイミングに合わせて投げ込むのがコツ。






『ジャンク船』



別に"ジャンクな船"ではない。


諸説あるが、中国語が他国語に変換された時に


(なま)ったと言う説などがある。


武装面では西洋軍艦に劣るが、速度では(まさ)る。


かなりにスピードが違ったらしい。


外洋航海が可能。





『たった四杯で夜も寝られず』



お米の国のペリーさんがやってきた時の


世相を風刺した"狂歌"の一部。


「泰平の眠りを覚ます上喜撰じょうきせん


 たった四はいで夜も寝られず」


が全文となる。


現在、"明治時代説"と"江戸当時説"が抗争中。


そのために教科書から削除されているそうだ。





『水手』



"水夫"でも同じ様に読む。


船の漕ぎ手のこと。


日本の船は長距離遠洋航海をしない限りは


ほぼ手漕ぎ舟。



そのため、源平合戦の頃から漕ぎ手がいる。





『大野の佐治家』



知多半島の付け根、北西部にある大野城の城主


佐治家のこと。


近所に、"常滑"があるため結構に重要地点。


佐治家は近隣で水軍をやって繁栄している。





『野分』


いわゆる台風のこと。


土佐も志摩も、台風で大ダメージを受ける地域。


その間、南廻り航路は停止する。



なお、現在は松平との交渉が終わった12月頃。


台風シーズンは終わってます。

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