第41話 予算の獲得に、必要なもの
つぎの話を書いていたのですが、
よく考えると、この話を入れる所が
失くなりかねないことに気付く。
よって、急遽作成中。
「―――――なるほど?
銭が足らないから、寄越せと?」
三郎さまが怒って、『ダシにされた!』
と文句を付けにきてから数日の後。
いつぞやの様に徒党を組んで押し掛けてきたので
何事かと思い出迎えてみれば、
――――そんなことを言い出した。
「うむ、ワレが連れているのは
其なりの数がおる。
皆の有り様を見繕ってやっておったら
あれだけあったと思っていた500貫、
――――いつの間にか目減りしてしまってな。
……全く済まないとは思ってはおるが。」
…………………やれやれ
済まなそうに話しておるが、
顔が悪びれておらんぞ?
魂胆が見え透いておるわ。
「なんせ、ワレ等が着飾らんと
――――お前たちも儲けが減るからのう。」
そう、意趣返しだ。
ニヤニヤとして、『さあ、困るだろう』……と。
―――少しは頭を使うようになった様だが、
――こちらとしては、
"だからどうした"………程度の話でしかない。
やれやれ、凹まし方が足らなかったか?
眉をキリキリとしかめる藤吉郎を眺めながら
そんな風にと考えていると………
ふ む 、
ひ と つ 試 し て み る か 。
「…………うん?
――どうかしたのか?」
表情のわずかな変化でも読んだか?
若様が聞かれるが首を振って『何でもない』
と否定しておく。
ふと、先程の一瞬の間に
少々思い付いたことがあった。
思い付いたが吉日と、
早速頭の中で簡単にまとめてみる。
――――さて、はて?
「……………そうですね、
では若君には銭を出すにあたって、
提出して頂くものがあります。」
それなりに面白そうな構想が練り上がったので
若君に持ちかけてみた。
世の中、ね……
―――銭の供出には相応の対価が要るのですよ。
「―――提出?
…………………何をだ?」
どうも思ったより簡単に承諾が得られたので
警戒しているようだ。
―――私でもそうする。
もう少し、ごねられるか反撃に動かれるかと
思っていたのであろう。
そういう直感は大切にするとよろしい。
「そうですね、
どう、申しましょうか…………
―――あえて言いますと
『事業計画書』……とでもお答えしましょうか?」
もう少し小さく、『企画書』と表現してもいいが、
共感はないだろうな。
「事業………計画書?」
聞き慣れない――――というよりも、間違いなく
『日本初』の単語に目を白黒させる若君。
まあ、ひょっとしたら『世界初』の
可能性もあるのだが。
「ええ、そうです。
若君が『尾張、織田弾正忠家』に対して
『どのような貢献』を行うか、
その計画を説明する文書です。」
若君はどうせ家を継承することになる身だからな。
この辺りで政務の真似事をやってもらおう。
今まで遊んでばかりいたいいご身分だ。
殿の苦労をわずかでも思い知れ。
「これで私に『面白い、やってみるべきだ』
と思わせたなら村田からの小銭などと言わず、
父に掛け合って『織田家からの予算』
として大銭をもぎ取るよう動くことを
約束いたしますよ。」
大金が動くと聞いて、供回りたちがざわめく。
そうとも、
確約をしてやろうとも。
その様な苦労など惜しくもないさ。
それが本当に面白い、と思えるならば。
それが出来るものならな。
「やれるものならどうぞその様な、
素晴らしい計画を出してみて下さい。」
額をヒクヒクとされる若君を尻目に、
目一杯に煽ってみせる。
さあ、どうぞどうぞ。
小さくても良い、壮大でも良い。
好きなようにしてください。
こちらは貴殿方では出来ないと確信しているから
出来るものなら予想を覆して驚かせて下さいな。
「まあ……ひとまずは50貫、お持ち帰り下さい。」
とりあえずそれだけ、渡しておく。
支度金としてどうぞ?
―――ああ、ちょうどいい。
藤吉郎、お前さんも出してみろ。
お前さんがどこまで成長出来たかの試験だ。
別に不恰好でもいいさ。
あくまで中途の試験だからな。
若君と、どちらが優れたモノを出せるか、
競 っ て み ろ 。
「うえぇえっ?!」
頭をひねってトンチでケンカを吹っ掛けてきた
若君に、結構な無理難題を吹っ掛け返す主人公。
"戦国時代の若造"に、
事業計画書が出せないことを確信しているため、
もう煽る煽る。
逆に出来るかどうかとの様子見でもある。
作中の様なノーヒントで出来たら、ホント凄い。
そして、まきぞえを食らう藤吉郎。
マメ知識
『事業計画書』
現代において、企業が資金調達をするために
銀行や投資家に出す書類。
本作品でも全く同じ用途で要求している。
本来、ガチのプロが提出するもので
『世間知らずの小僧』に出せるものではない。
もう絶対に。




