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鵬、天を駈る  作者: 吉野
3章、『○○○○○○○』
34/248

第34話 "若様"と、"若君"

えーと、


そもそもこの"ノッブ若君"……何しに来たの?



なんて話。

 "外野"が静かになったところで、


若君……三郎さまに声をかける。





「さて、三郎さま……………?




改めてお聞きしましょう。


―――――本日はどの様なご用で?」









そのように………


問いかけると三郎さまは心底面白そうに、


新しいオモチャでも見つけたような顔をする。







止めて差し上げろ。




一応そいつらも


『目をかけた』者なのだろう?







一寸(ちょっと)だけ、


哀れに思う。





目移りするようなこと、目の前でしてやるなよ。








「かっかっかっ……


こちらの『数寄者』は、


――――どうやら()()のようだのう…」





腕を組まれてしきりに感心される。




やれやれ、()()()()()()()()()()()()




この御仁に気に入られると



ムチャ振りばかりされる事で有名なのだがなぁ。







…………ま、


――――困るばかりでもないのだがな。






「―――――――して、



『数寄者』のソナタから見て、


『うつけ』のワレはどう見る?」







………………………………さて?




どういう意味かな?






しばらく、若君を見詰める。

















――――――――供回りとして来た者も、


藤吉郎くんも息を潜めたまましばし時が過ぎ






――――ふむ、


額面どおりか………






こちらの一息で


彼らがホッと固まった肩をおろす。







なるほどねぇ






同じような『半端者・異端児』として呼ばれる者に


興味を引かれて来たものの、







確かな実積を出しているこちらに






焦りでも覚えたか?









自分はただ、煙たがられているばかりだからな。









―――その差でも知りたいか?








()()()()()()()()()()()()()()()








「………では、


―――お答えする前にお約束を一つ。




――――諫言(かんげん)は耳に痛く、


…………良薬は口に苦し。




――――何を言われてもお怒りに成られぬことを


………お誓い下さりませ。」







 三郎さまの目が細められる。






それはそうだろう、



『これからディスりますけど、覚悟はいいか?』


などと言われて心安らかに居れる者はそういない。








供回りとして来た小僧共も、


ハラハラとして様子を見るのみ。








さて?




どうするね?






返事はいかに?







「それは、


『織田の名を』懸ければよいのかな?


それとも……


『熊野の誓詞』でも持って来るべきかな?」






余裕を見せるように、悪ぶった笑みをしてみせる。




(もり)役の平手』様で小言なら


慣れているとでも言いたいのかな?





―――――()()を、ねぇ。




「いえ、


口約束で十分ですよ?




―――――そこまで言われましては、


こちらも()()()()()()()()()()?」






"平手の爺"の苦言を小言と思っているようなら


遠慮なくやらせてもらおうか。






忠言をガン無視して、





いつまでも()()()()()をやっている三郎さまには、







未だ世の中をナメているこの方には








――――――少し痛い目にあってもらおうか。











「そもそも、


…………若君、三郎さまは




――――――― (ぬる) い の で す よ 。」





おい?


主人公?



何いうつもりだ?





マメ知識



『熊野の誓詞』



正しくは"熊野牛王符(くまのごおうふ)"を


"起請文(きしょうもん)"として使うこと。


紀伊の熊野三山で貰える護符なのだが、これを


契約や約束を書いて契約書として用いることで


証文として使った。


『契約を破ると地獄ゆき!』と恐れられた。




でも破るヤツは平気で破る。


例えば家康とか。


秀吉の死に際に、五大老らに『秀頼への忠誠』


を書かせている。



結果は知ってのとおり。

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