第33話 脅し、脅され
戦国ヤンキー襲来!
さて、彼等の対応は?
「お待たせしました。
簡単な物ですが御茶と共にお持ちします。」
話が始まるかどうかという所で、
藤吉郎が戻って来て、頭を下げる。
手ぶらで。
―――――――……話の出だしを潰す
タイミングを計っていたな
素知らぬ顔で挨拶し、元の位置に座り直した後、
徐に手を叩き合図をした。
合図と共に
仁 王 が 2 体 、現 れ る。
思わずこの藤吉郎を睨む。
コイツ、言うに事欠いて門番の二人、
『村田における武力担当の最大戦力』
を連れて来やがった。
前にもいったが、ウチの門番として使っている
この二人、
……この時代の中でも
『異例』どころか『異質』なレベルの
ゴ リ マ ッ チ ョ ……である。
乱世の時代といえども、
イキった中坊レベルなんぞ話にならない。
『若様の威光』と『数の暴力』を笠に着て
今までデカい態度でニヤニヤしていた小僧共が
圧倒的過ぎる体格差から来る威圧感に
えらくビビって縮こまり……
ゴリラ二人からお茶とお茶うけを
『あ、はい……どうも…』
――――と小さくなって受け取っている。
――――――――――おい、
そこの藤吉郎、
澄ました顔でドヤ顔するな。
とりあえず、話にならないので
仁王コンビは帰らせる。
罰として藤吉郎は正座。
ぴえん顔しても知るか。
アホウ。
「―――――やれやれ、少々……
可笑しなことになりましたが………
お話を続けましょうか。」
あぐらに座り直し、話を振る。
ここは仕切り直し、
――――ケンカ両成敗と致しませんか?
「………かっかっか……
構わぬよ……
なかなか面白いモノを見させてもらったからの。」
ウワサに聞く、『怪鳥』みたいな笑い。
とはいえ、そこまで変な笑いでもないが。
「―――しかし……不甲斐ないな、お前達。
日頃は大きな事ばかり言うくせに、
いざとなるとコレか。
その様では戦場で首を失い
野山に無様に躯をさらすぞ?!」
さすがは虎の子、とでも言おうか。
ただのひと睨みをもって彼らを萎縮させる。
武家の子としては、
恥さらしも良いところだからな。
これが実戦でなくて良かったな、
――と脅し上げて良い経験にさせるつもりだろう。
しかし、大したタマだ。
手下連中が縮こまっているなか、
ひとり面白そうに眺めていた。
腹が据わっている…………と言うよりも、
こちらが手をださないことを解っている。
そういった方がいいだろう。
大したもんだよ。
「いえいえ、自棄になって暴れるよりは
…………良かったと思いますよ?
――――殿から預かったものも含め、
この部屋の調度品には『500貫』近く
かけておりますので…………………
――――むやみに暴れていてはその首、
無駄に落ちていたところでしたよ?」
手にした扇で
ポンポン…………と、首元を軽く叩く。
良かったなぁ、止めてもらって。
ゴミの様に無駄死にしなくて。
そんな高額の借金を背負うて帰ってゆけば、
実家の者達は代金がわりに
お前達を言葉通りに『切り捨て』、
―――その首、送ってくるぞ?
忽ちの内に色を失い、青ざめた手下共に
大きく口元を吊り上げて笑いかけてやる。
人 を 脅 す と は 、
こ う や る の だ よ ?
ケ ツ が 青 い わ 、
小 僧 ど も 。
――――それから藤吉郎。
まだまだの藤吉郎、
器の大きな三郎さま、
モノが違う主人公。
三者の『脅し』
何も力ずくばかりが脅しではない。
マメ知識
『藤吉郎は正座』
前にも言ったか知れないが、
『正座は一般的でない』。
それが答え。
『500貫』
現在の5000万から7500万円。
ハッタリやフカシの類いであっても、
本当に請求されると冗談にならない。
国人どころか『平手』や『柴田』でさえも
家が傾く。
『無闇にあばれなくて、良かったなぁ』
途中から……脅し、暴れて金をせびる小僧どもの
つまらん企みをみて、事前につぶす。
『もしここで暴れていたら、
家族に犬のように棒で叩かれ殺されていたぞ?』
信長が連れているのは武家の四男や五男。
日頃冷や飯を食っている彼等にとって、
『自分達の家族に不要と殺される。』
それは現実的すぎて恐ろしいなんてモノではない。




