第29話 『雀大路』、希望の絵図
第3章、『○○○○○○○』の開幕となります。
6文字にするのは無理でした。
いろいろと予想してみてください。
さて、熱田にて雀大路の話を始めて早一月……
村々も田植えを終えて、一安心……と言った頃、
村井の領地では人を雇って田植えを1日とかけず
全て終わらせてやったら、えらく感謝された。
中村の郷の買取り交渉は進行中。
雁尾の店は、雁皮の研究に大幅に人員を増やし、
50人体制で植生の完全な安定化を目指している。
熱田の物流ターミナルも少しずつ稼働を始めている。
そして那古野の雀大路も………
そろそろ、草案が纏まりつつある。
おおよそこうだ。
① 大路は石畳を敷く。
これは轍の窪みを作らないためだ。
地面のままだと、いずれまた地がえぐれてしまう。
商人としてはどうしても譲れなかったそうだ。
② 大路のまん中に立木を植える。
木陰をつくることで日差しを和らげる狙いらしい。
悪いが植える木は『雁皮』に強制的に決定させた。
どうせなら一石二鳥を目指す。
梅や桃を指定しなかった己を悔やめよ。
その分、予算は織田家よりだすことを条件とした。
かわりに雁皮は織田家の所有とする。
イチョウにしようかと思ったがやめた。
③ 道端に店の幟旗を立てる許可。
まあ、こいつはもとより撒き餌だ。問題はない。
いっその事、まるで戦のごとくに派手に
色とりどりな店の幟を立て並べてやるわ。
④ 大路の通り沿いに開店の許可。
こっちが振ったことだ。予想はついた。
…………が、分かっておるのかね?
その分、那古野でも税は取るのだぞ……?
⑤ 大路の両端を歩行者専用として、柵を設けて
馬や荷車との事故を避ける。
正直、これが発案されたのは驚いた。
コレは藤吉郎くんの案らしい。
熱田の商人通りのワチャワチャぶりを見て、
対策を考えたらしい。おおよそ1丈半(4.5m)。
………商人通りの方も考えておくか。
⑥ 大路の道沿に夜間照明用の石の灯籠を立てる。
これについては武家の街らしく無骨で頑丈な
物を提案しておいた。
どうせなら、千歳の先にも在るモノにせよ、とな。
提案するのなら灯す油は自分達で
何とかしろよ?
と言ったらビミョーな顔をしていたが。
どうせ未来に街おこしとして末裔たちが
自分達の銭、自分達の努力で頑張る羽目になる。
子孫のために良い前例と成るが良い。
いずれ時が経てば、ガス灯にも電灯にも改修が
出来るように密かに指示を出しておく。
⑦ 工事は道作りのプロを招く。
こちらの要望・指示だけ出してあとは丸投げ。
いや、当たり前だろ?
と言いたい所だが………………
話の途中でこんな話が飛び出す。
『そういえば自分達には道を造る技術がない』
後になって
……そう泣きついてきたので、
『……瓜を売るために、
お前らは畑を耕すのか?』
と返すとポカーン……としていた。
――――アホか
普請の常識にとらわれすぎだろう。
⑧ この普請については、ほんの僅かばかりの銭と
働いた者にメシの支給を行う。
これについては藤吉郎くんが強硬に主張した。
『メシを喰えばより強く仕事に馬力が出る。
何より腹を空かせた連中が押し寄せるから、
人手には困らん。
その上、小銭でもくれるならやる気までつく。
確かに出費は痛いが、それ以上の効果を約束する!』
――と、貧しい農村の現実とともに熱く語った。
商いの世界しか知らぬ連中が終始、押されっ放し
だったのには大いに笑わせてもらった。
まあ、こいつは先々の布石ともなる。
出費に渋る商人達だったが、構わずに認めた。
⑨ 城の門の前は大きく開けた広場とし、
城壁から離れた所に梅の並木と菖蒲園を造る。
城の前を開かせておくのは防衛上のこと。
城門のすぐ後ろを菖蒲園の泥田にしているから、
門を破るのはかなり難しくなる。
風流な梅の並木や、縁起の良い菖蒲の花で
武家の連中から歓心を
買うこともできる。
許可を得て花見を行い、屋台でも並べて
商いもできる。
将来は、よい観光名所となるだろうな。
これは武家の立場から提言しておいた。
⑩ 大路沿い、約10軒ごとに
荷車を留め置き荷物を降ろす場所と、
馬を繋ぐ厩を造ること。
道端に馬や荷車を転がして邪魔にならぬように。
もちろん裏口に搬入路は有るだろうが、
常日頃から側に荷車の置場や厩がある方が
便利でよかろう。
割り当てを決めて共同で管理させる。
………と言っているが、なんとなく分かるだろう。
――――――未来の『駐車場対策』だ。
どう考えても店を詰め込んだ商店街は、
車文化の発展と共に一気に廃れる運命にある。
那古野の行く末を考えると出来ることは
やっておきたい。
⑪として、商店街にある長屋根の様に、
大路の道沿いにある店の軒先に…半丈少し程(2m弱)
の長い屋根を掛けたい
と言ってきたが……
『元はお前らの銭だから好きにするとよい。
ただし、予算がなくなってもこちらは出さんから
よくよく計算しておかんと
後で自腹を切って泣くことになるぞ?』
と………言ってやると帳面をまるで親の仇でも
見るような目で睨みながら、
お互い顔を付き合わせて………
予算とケンカをやり始めた。
さてはて、どうなることやら?
―――――城前からしばらくの区間だけ見栄えの
良い様に屋根をつけておいて、
……後は欲しい店に共同出資させるなり、
屋根のある店・欲しい店から『協賛金』を取って
メンテや延長を行うなり、
自腹でやらせるなり、
………また今回のような普請を頼んで掛けるなり……
そんなもの、
やり方によって
何とでもなるのだがね。
「ああ、そうそう……………
店先に屋根を誂えるなら、
――――屋根先にズラリと提灯を並べて…………
篝火も"歩き道"に立ち並べ…………
人を雇って
笛を吹き響かせ、
鼓を打たせながら
―――――練り歩かせる。
―――――想像してみるがいい。
それは、それは………
―――――大層に
華やかな大路となるだろうよ。」
そう、
言い放ってやると
その様子を思い浮かべた商人たちが
鬼気迫る勢いでヤイヤイと始めた。
3章になるのに、ふと気がつくと物語開始から
まだ8日しか経っていない。
それどころか現在、むしろ5ヶ月も逆行中。
展開が遅いなんてレベルではない。
マメ知識
『イチョウを選ぶ理由・選べない理由』
お寺などでイチョウを植えるのはイチョウの葉は
水分が多いから防火に役立つため。
この木は火事でも燃えにくいのだ。
ただ今回、街路樹として使えないのは
イチョウはデカくなりすぎるので将来的に
切り倒すことが確定するから。
それは不憫で、忍びない。
『普請の常識』
基本的に当時の公共普請は強制労働。
タダ働きだからプロなんぞ雇えんし、結果として
技術も資材も担当者の腕次第となってしまう。
『駐車場対策』
1ヵ所が大型コンビニレベル。
ハンパなくデカい。
……今の商店街の寂れっぷりは見ていてキツい。
『煽る主人公』
戦国時代はほぼ『自力本願』。
他人なぞ信用しないし可能な限り自力で
やろうとする。
もしくは堺の悪徳商人のように人をダマす。
※当時の堺は日本一の商業圏。
『生き馬の目を抜く』鬼畜商人が多かった。
ついでに言うと、
下手に主人公に貸しを作るのを嫌がっている。




