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鵬、天を駈る  作者: 吉野
2章、『◯◯◯◯◯◯』
27/248

第27話 豊國大明神、豊臣 朝臣 羽柴 藤吉郎 秀吉

一方、その頃の主人公は……という話。


題名、長すぎ………



 




――――――――藤吉郎……か。




豊臣(とよとみの)朝臣(あそん) 羽 柴 太 閤 藤 吉 郎 秀 吉





史実において日本人随一の出世頭、


農民から位、人身を極める……と称された男。





栄華の極みに達した………と言われる彼だが、


唯一に得られなかったものがあった。








  " 幸 せ " だ。








上へ、上へ…


ひたすらに、



"はじまりはただ、生きるために"





義理の父に虐待をされ続け、


とうとう15歳で家を飛び出す。







上へ、上へ……


ひたすらに、



"喰うために、生きるのびるために"





三河で仕官するも余所者と軽んじられ、バカにされ


半ば以上に追い出されるように家を出る。







上へ、上へ……


ひたすらに、



"いつか願った(まばゆ)い想い"





信長の下へ仕えるも…軽んじられ、蔑まれ、


様々なモノに打ちのめされ。







上へ、上へ……


ひたすらに、



"ただそこへ至るため"





成功しても…妬まれ、疎まれ、邪魔をされ、


出た釘の如くにことあるごとに叩かれ。







上へ、上へ……


ひたすらに、



"そのまっすぐなひとつの願いが"





やがて(わず)かながら認められ、


城を任され力をつけ…頼られて行く………が








上へ、上へ……


ひたすらに、



"(いびつ)になり始めたのはいつ頃か"





三木の干殺し、鳥取の飢え殺し……


いつしかその刃は弱者へも向かうようになる。







上へ、上へ……


ひたすらに、



"気がつけば………輝いていたその願いは"





頂点が見えたとき、見えてしまった時………


とうとう彼は狂う。









上へ、上へ……


ひたすらに、



"忌まわしい呪いと化していた"




大切なモノを……大切であったその全てを、


蹴飛ばし、踏みにじり、(つば)を吐きかけるのだ。









上へ、上へ……


ひたすらに、



"呪いは身を縛り、腐らせる"





足元で見ていた家臣たちは、何を思ったろう?


側で見ることしか出来なかった寧々(ねね)はどうだろう?


喜んだか?



哀しく思ったか?









上へ、上へ……


辿(たど)り着いた先、



"目の前で、ただ腐り行く願いは"





………そこから先は地獄だ。




弟を失い、


我が子を失い、


側近をその手で殺し、


わが甥をその手で殺し。








上へ、上へ……


辿り着いた先、



"やがて、何もかも溶け堕ちた。"





異国で配下を無駄に(つい)やし、


目の前で家臣達がいがみ合い、


朋友も戦友も倒れ逝き、


末期にすがった男に無惨に裏切られ、









何もかも、灰と……消えた。












 (むご)すぎるな。






何もかもを奪われ続けた前半生、


全て失い、何も残らん。






何もかも奪い続けた後半生、


全て……(てのひら)から(こぼ)れ堕ちた。







 栄華の限りを尽くしたが、


彼は――――――幸せだったろうか?







満たされていただろうか?







(むし)ろ何もかも諦め、


捨て去って来たのではなかろうか?









 どうにも、『こちら』の藤吉郎くんも


―――――そういった暴走癖が見受けられる。






自分を(ないがし)ろにする傾向があるのだ。







やれやれ、


面倒なことだ。






一度手の内に入れた珠だ。


みすみすと手中で傷付いて行くのを見過ごす


ことも出来んよな……………






困ったことだ。












 熱田の町には2本の大通りがあります。


一つは古来からある熱田神宮の門前通り、


神宮へ訪れる旅人を迎えるメインストリートです。



もう一つは、当時の熱田の入口から伸びる、


商人(あきんど)通りです。


この通りは熱田村田家により造成された通りで、


造成当初から35mを越える大通りでした。


ここは当時から倉庫街・市場街として機能しており


尾張内外から熱田へ持ち込まれる全ての物資が


ここで集積されていました。



後世に…物流ターミナルとして再計画された時、


貨物駅の新設・トラックターミナルの新設の


それぞれにおいて、建物の新築・改築以外で


『都市構造を変える必要がない』という


驚愕の事実を知った当時の設計担当者は


当時の熱田村田家の先見の明に戦慄(せんりつ)すらした、


と伝えられています。




熱田商人通りは今も昔も、熱田の物流のすべてを


担っているのです。








    第 2 章


 『 村 田 の 数 寄 者 』




この秀吉の観点は、主人公の主観です。


秀吉を『時代の被害者』と仮定した設定で


構想した結果です。


今回が初の仮定で、作者の主観とは


関係ありません。






マメ知識




『位、人身を極める』



人間の身分として…トップまでたどり着いた、


と言う意味。


帝の位は………アレは『現人神』だから人間では


たどり着けません。


……という設定になる。




『三木の干殺し、鳥取の飢え殺し』



羽柴秀吉が中国地方でやらかした悪逆。



播磨三木城(兵庫県三木市)で


別所長治に行った


1年10ヶ月の超長期包囲戦と、


鳥取城での吉川経家に対して行った


4ヶ月の包囲戦のことを指す。



三木城で、超長期戦となったため、秀吉は


鳥取では事前に大金を用いて鳥取中から米を


買い占めた。



結果、鳥取の城はたかが4ヶ月で地獄絵図と化す。





敵対した彼らから見たら、間違いなく悪逆。




この2つと備中高松城の水攻めの3つを指して


秀吉三大城攻めという。




『商人通り』



……ハナから未来の物流ターミナルとして設計


していたわけだね。


熱田に巨大物流拠点を築いていたわけだが


……コレ、津島にも細工掛けてるよね?

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