第241話 村田屋、とある一日(その八・前)
なんか最近、更新の間が空いてしまいます。
ホント、済まん。
三郎さまやその父である信秀殿の一族である、
"勝幡織田家"。
現在、その本拠地は那古野に在る。
この那古野は、1538年に信秀殿が策によって
今川家から分捕った城である。
私が産まれる前の凡そ15年ほど昔。
ある意味、織田と今川の因縁が始まった城だ。
恐らく"桶狭間"時に今川 義元が望んだ目的は
織田が有する先祖ゆかりの那古野城の奪還
にあったのではなかろうかと思う。
あと恨みついでに織田をブッ潰そう、とかね?
……………上洛?
いや、ナイナイ。
今では無いな。
"今川"が上洛する時は、"足利"を潰す時だぞ?
それこそ、"時に非ず"だ。
―――――話は変わるが。
織田大和守家から"清須城"を接収してから、
はや1年半以上となる。
それを受けてここ最近に浮沈する話題が、
『本拠の清須への移転』
"国政を執る場所を清須に移すべきであろう?"
というモノである。
清須城の歴史は以外に浅い。
築城は1405年、尾張守護職たる斯波 義重による。
同時期に守護所として尾張国府に築かれた
下津城の別郭、即ち支城として造られた。
しかし荒れまくった応仁の乱のあおりを受けて
下津城に入っていた守護代織田家が分裂。
"大和守"家と"伊勢守"家に分かれ争い始め、
その果てに1476年に下津城が焼失してしまう。
仕方無く、支城の清須城を本拠としたそうな。
以来、清須城は尾張の政治の中心となった。
――――つまり清須に拠点を移し君臨する事で
『勝幡織田家が名実共に尾張を支配した』
と国内外に知らしめたい、という事だねぇ。
無論、この意見は妥当で説得力のある話である。
しかし、ソレを今は採用する事は出来ない。
――――――何故か?
その理由が、現在の清須の有り様に有る。
以前に触れた事があるが、清須の人口は一時期
1000人近くまで落ち込んでしまった。
この数には城の武家たち数百人も含まれるため、
実態人口は500人から600人。
コレはだいたい近隣を耕す村衆のみの人数であり、
(ドン底の頃には、その村衆すら一部が離散した)
その当時の城下町は商人がほぼ全て町を捨てた
ゴーストタウンの様な様相であったらしい。
多少は城下の人口が回復してきたとはいえ、
『日本有数の巨大都市』の那古野から
『崩壊寸前の限界集落』である清須へと
わざわざ政治拠点を移動させる?
・・・・一体、ソレは何の冗談だ?
さすがにソレは"無い"。
対外的な風聞が余りにも悪過ぎて、
物笑いの種にしかならないから今は無理だ。
清須への本拠移転をするためには、少なくとも
今の過疎状態を完全解消させる必要がある。
しかしながら、案そのものは正しいものだ。
"支配体制の完成"・"大義名分の絶対化"は
諸勢力の力が強い尾張では絶対にやるべき案件だ。
という訳で現在、急務で行われている政策は
"清須の再開発"である。
―――とはいうものの、正直なところ。
街全体が空洞化するほど状況が悪化してしまうと、
もうコレはゼロから再構築した方が早い。
故に"シャッター街"化した城下町を一度、
根こそぎ潰して更地にしてやった。
そしてソコから区画整理を再設計。
商業・屋敷などそれぞれの区画を割り当てて、
キッチリ計画都市として創り変えた。
さて、こうして計画のみが先行した清須。
殆ど何も無い町並みではあるがココは将来、
間違い無く尾張国の政治中枢となる街である。
――――そうなると当然、商人は店を置きたがる。
其々がより良い位置取りを望みつつ。
ココで敷地の配布の判断を商人側に委ねると、
"アッチの方が良かった"とか
"アイツに良い場所を横取りされた"などと
不満を抱え後で必ずトラブルになるだろう。
だから城下町の用地配布には"ある意味で公平"な
"競り"を、オークション方式を選択した。
競りであるならば"どの場所を選ぶか"はすべて
商人としての己の才覚のみに懸かっているから、
愚痴を外に垂れるのは自身の恥となる。
進んで身の錆を晒す馬鹿は居ないだろうさ。
それに競りなら値段の吊り上げができるし。
第一期・第二期と募集する数を限定することで
更にプレミア感や飢餓感を演出しているから、
織田家としても良い臨時収入になる。
清須が新たな政治拠点である以上、武家もまた
挙ってココに新たに屋敷を構えようとする。
ある種のステータスシンボルの様なものだ。
当然ながら、コチラの分配も競り。
武家とは、見栄と面子に命を懸けるイキモノだ。
商人ほどの高額では無いが、良い場所を巡って
それなりの銭を吐き出してくれた。
再開発も進んで銭も獲得できる。
まあ、一石二鳥よな。
過疎った清須市街の再生プランについて。
コレって現代ではかなり難しい問題ですが、
中世の場合だと最悪はヨソから無理矢理に命令し
移住させるという力業もあったりします。
史実でも実際に各地の大名家で行われていますし。
今回のマメ知識も長いです。
調べるのにアチコチ巡ってました。
・・・むしろ、完成が遅れた元凶だったり。
マメ知識
『今川が上洛する時は足利を潰すとき』
今川家は、"室町殿"こと足利家の親族。
しかもかなりの上位の家であり、
"御所(足利宗家)が絶えなば吉良が継ぎ、
吉良が絶えなば今川が継ぐ"
つまり征夷大将軍の第三位継承権を持つ家。
これは、"吉良に次ぐ極めて高い家格を持つ名族"
であると同時に"足利宗家が邪魔な政敵でもある"
という裏の要因もあるということ。
また義元の代になって駿河は"今川仮名目録"
という分国法を制定しているが、実はこの内容に
幕府の介入を排除する内容が含まれている。
即ち、"室町"との決別を表明しているも同然。
あまり仲の良くない今川家が上洛するという事は、
穿った見方をすると"足利宗家を引きずり下ろす"
と見られかねない行為でもある。
多分、義元自身には"この時点での"上洛の意志は
無かったであろう。
目先の武田・北条との"地獄の三つ巴"への
対処の方が上洛よりもはるかに重要だったから。
力関係が"対等"なままでは、動くに動けない。
上洛なぞ夢のまた夢だ。
織田潰しは、ただの足場固めとみるべき。
※中途半端な戦力で"上洛により政治実権を握る"
という行為は高確率で近隣すべてを敵に回す。
"織田家"や"董卓"の例を見ればソレは明らか。
故に今川家は現時点での上洛が出来ない。
『国府』
国府とは、朝廷が設けた各"国"の首都。
"国"といっても、一つ一つの規模が小さいため
実際には"県庁所在地"に相当する。
それぞれの国の首都となる都市を"国府"と呼び、
その国府の政庁を"国衙"と呼ぶ。
日本各地で"国府"とか"府中"などの地名が
残っている場所が、だいたい国府の跡地である。
尾張の国府は、今の"愛知県稲沢市"あたり。
当時の尾張政庁である"国衙"の跡地があり、
現在でも"名鉄名古屋本線"の駅のひとつに
"国府宮"駅として名前が残っている。
※1:なお現在まで残存している"府中市"は、
"東京都"と"広島県"の2都県にしか無い。
("平成の大合併"で一気に減少した)
また、広島県安芸郡"府中町"は"市"に属さずに
自治体として単独独立している日本で唯一の
"府中町"である。
当時に、広島市の中にあるにも関わらず広島市に
属していないという特異すぎる"町"でもある。
(車メーカーの"マツダ"があり税収が高いため)
※2:尾張国衙跡と下津城跡は、同じ稲沢市内に
あるが位置的には約2キロほど離れている。
『別郭』
簡単に言うと、本城とは別に造られた曲輪。
要は本城から離れ半独立した支城や砦のこと。
それぞれ本城と相互連携して防御態勢を取る。
『シャッター街』
一般的に使われる用法は、"シャッター通り"。
地方の商店街などが大規模ショッピングセンター
の進出や過疎化・高齢化により維持が難しくなり、
店を閉じ"シャッターを下ろした"店舗が並ぶ状態。
商店街などがそうなる事を"シャッター通り"
もしくは"シャッター商店街"と呼び、
市街全体がそうなることを"シャッター街"と呼ぶ。
主な原因は①駐車場不足②資金難③後継者不足と、
④店舗までの移動コストが高すぎるという不便性。
他には、⑤サービスが各店舗でバラバラな煩雑性。
対策としては、
①いっその事、一部を取り壊して大型駐車場に。
②クラウドファンディングなどの資金獲得。
地方自治体から補助金を頼むなども。
思い切って商店街そのものを"株式会社"化させて、
資本を統合管理させるという手もアリ。
③どうにもならん。
新規参入か、後継者のマッチングしか無い。
後は土地の持ち主に"店の賃貸業"をさせるとか。
④セグウェイなどの超小型車両の無料貸出により、
移動コストの削減化をはかる。
初期投資については、コピー機業界などにある
"使用回数(距離)✕単価"というサブスク請求を
企業側に逆営業するなど試みればアリかも。
導入できれば話題になるため、宣伝にもなる。
盗難防止には、位置情報をリンクさせ地域外に
出ると爆音が鳴り始める警報装置を付けると良い。
⑤商店街トップが各種便利システムを代行する。
近隣のどこかに統合業務センターを作って、
商店街全域のネット業務サービスを一括運用。
職員が超小型車両で各店舗から注文商品を収集し
センターでお客への配送を請け負う。
近所なら、無料配送も。
逆に修理依頼品を一括受取して店に届ける事も。
(それらの使用が"サブスクの基本料金"になる。)
また、各店舗の支払いシステムや商店街全体の
各種イベント・キャンペーンも全体運用させる。
………と、いうところだろうか。
要は、商店街そのものをショッピングモールや
ネット物流サービスに見立てて運用すればいい。
商店街って、結構マニアックな専門店が多い。
それらを潰してしまうのはちょっと惜しいよね。
全部を一気に改革断行するなら難しいだろうが、
面倒なら外部委託してもOK。
なお、人流の呼び戻しが一番の課題。
※因みに④は応用もできる。
例えば荷物をのせて、登録した客の後ろを自動で
追尾してくれるマスコット系機械サービスとか。
(確か近似の技術体系はあったはずです)
それにチャイルドシートを付属させるのも可能。
使用が終わったら自動で元の充電場所に戻る、
などの機能を付けるとなお良い。
(某"丸い全自動掃除機"が持つ機能とか)




