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鵬、天を駈る  作者: 吉野
7章、『○○○○○○○○』
229/248

第229話 遥か南国、高砂の國




本作品はフィクションです。


現実の世相とは何の関連性もありません。



・・・最近は、リアルが多忙で執筆時間が


半分以下になってまして。


まあ、しょせんは言い訳以下のナニカですが。







日ノ本の国の遥か南方、琉球よりも更に西へ。


"明"国南方、"福建"の交易港町たる"福州"の側に


高砂たかさご』という大きな島が在る。



………と、少しばかり回りくどい表現をしてみたが


地理に詳しい者であるならこの『高砂』島が


何処どこを指しているかは分かるかも知れない。


"福建"の隣の島。


――――まあ詰まる所、現代でうところの


"台湾"島の事である。


何故かは知らないがだいたいこの時代前後から、


日本では"高山こうざん"国と呼ばれるようになったとか。


(実際に"高砂"と呼ばれるのは江戸時代辺りから)




この台湾こと"高砂"大島だが、大変に奇妙な事に


17世紀に至るまで"()()()()()()()()()()()()"。


『漢』も『随』も『唐』も『元』も『明』も、


歴代の大陸統一国家のことごとくがこの島のことに


興味を持たず徹底的に無視し続けている。


現在(16世紀半ば)に至るまで、いまだ『政治的空白地』なのだ。


――――何とも良くわからない話だ。



………とはいうものの、ある程度の推測はできる。


この"高砂"大島が大陸統一国家にとっては、


戦略的にほとんど領有する価値が無いこと。


そして同時にこの大きな島がほぼ完全な


"未開の原野"である、ということである。


一般的に"中央"の政府首脳部というのは、


戦略的に価値の無い地方拠点に対してわざわざ


侵略・領有をするという決断をしたがらない。


"文書でしか政治を判断しない"中央にとっては、


ただ単に無駄に予算を消耗するだけでしかない


無意味な行為だからだ。


またその地の地方役人にとっても同様。


"完全新規の未開の原野"は、実質的に収入ゼロ。


この未開の地を収益化させるためには、


入植・開墾・灌漑・インフラ開発などと


尋常ではない"初期投資コスト"が必要となる。


しかも実際に領地として収益が出始めるのは


十年以上は後の事だ。


地方役人にとって、コレは頂けない。


『十年近くもの赤字予算の垂れ流し』というのは


彼らの"政治キャリア"にとって破滅的な傷となる。


しかも当時のココは政府と無関係な先住民族や


近隣を荒らし回る倭寇らが密かに隠れ住む


無政府かつ無秩序な状態。


秩序もない未開の土地は、大型の安定した政権


とは致命的に相性が悪い。


故に中央も地方も、自ら進んで関与する筈もなく。


結果として今の今まで放置されていたのだろう。




―――しかし、今の日本人はその例外となりうる。


応仁より100年近くも無秩序(メチャクチャ)な大戦乱の最中にある


日本人にとっては無政府状態なぞ、むしろ日常。


また国内全域が重度の食糧欠乏状態にあるために、


未開の土地であろうとも喜んで入り込む。


この島の現状がまるで障害にならないのだ。


………そもそも南下した交易団が交渉の為に


最初に襲撃した倭寇集落がこの島だからね。


しかもその後も継続的に彼ら高砂大島の


倭寇集落を攻撃し続けており、


降伏させた連中をそのまま支配している。


要は統治上、暴力的で反抗的な元賊徒たちを


『それ以上の暴力でブン殴って大人しくさせる』


という凶暴極まりない手段で治めているワケだ。


………実に戦国時代らしいというか。


まあコレは政府役人では思い付かない発想だな。


役人にとって、"賊徒は(処刑)するモノ"。


生かして使うものでは無いから。


―――反発をねじ伏せる(手段)が無いとも言うが。



ま、将来的には元倭寇達から"角"が取れれば


一般的な統治体制に戻す予定ではあるが?


それもまだまだ先の話であろう。


一方で現地の現地民族たち相手には友好的な


厚遇政策を実施している。


そもそも彼らを圧政下に置く必要も無いし。



そんなこんなでジワジワと島内に入り込み


実効支配を進めている。


だが、それだけでは国家を名乗れない。


外交で他国にその存在を公的に認められる(させる)ことで


初めて"国家"として成立するのだ。


――――――と、いうワケで。


福建各地の有力者や役人達に対して、


此方から一方的に国家樹立を宣言。


腐敗した連中から順に貢ぎ物(ワイロ)でその口を黙らせ


実質的にコチラの統治を認めさせる。


ダメ押しとして"正式な外交団"をデッチ上げて


"明"国の首都たる北京を訪問。


皇帝陛下に朝貢することで、かの国から


正式に(配下の)国王として認可するという


冊封さくほう』をしてもらった。



――これでアジア圏での、"正式な国家"の成立だ。


よもや小国クラスの財を献じた者が、


"国と呼ぶなど烏滸おこがましい有り様"であるなど


思わないだろうよ。


だが大国の後ろ盾・お墨付きがある以上は


もう誰も文句は言えないし、また手遅れだ。


新国家、『高砂国』の樹立である。



いやはや、手間はかかったがコレで一息。


後はじっくり開発してゆくだけだ。


とはいえ、今は沿岸部から蚕食さんしょくしている段階。


何しろ人手が全然足らないからね。


その()()はまだ狭く、()()は未だ成らず。


その辺は日本と変わりはしない。


有名無実(名ばかりで空っぽ)的に国家化させているという事だ。






…………ふふふ。


朝貢に5万貫、明国の5000万銭相当の金銀という


圧倒的な"銭の暴力"を叩き付けた甲斐があった


というものよ。


おもいもこころざしも無い俗物共には良く効く。











(⚠caution⚠)


何度も言いますが、本作品はフィクションです。


現実の国際社会とは何の関係も意図もありません。


なので実際の台湾領有問題に何ら寄与きよしません。 


また影響もしませんし、させる気もありません。


あくまでも娯楽小説上の歴史的ifですので、


ソコに政治的なクレームを付けられても困ります。


この小説は、どこまでも単なる与太話です。


その辺りはあらかじめご理解下さい。



何度でも言います。


このお話は現実とは何ら関連性がありません。


社会的・思想的な文句は、完全にお門違かどちがいです。


故に否定的・攻撃的な政治的感想につきましては


完全に、全面的に無視させて頂きます。


この一件について政治的発言や返答をするつもりは


一切いっさい、これっぽっちもありません。


・・・しからず。




なおこの時代の"台湾"が政治的空白地であったのは


本当の話です。


ホントに『いや、何で?』って感じです。






マメ知識




『台湾の歴史(簡易版)』




先にも言ったとおり、ココは空白地。


ここを最初に統治するのは、なんとオランダ。


(正しくはオランダ東インド会社)


アジア圏や日本との交易に対応するための


拠点として南部を1624年から1662年まで領有。


(同時期にスペインが北部を1626年から1642年


まで領有。オランダとの抗争に敗れ撤退している)


その後、オランダを"てい 成功"が撃破・追放。


1662年から1683年までの"鄭氏政権"を築く。


だがこの政権は"清"により滅ぼされ、


後は清による台湾統治となる。



"高山"は、秀吉があると考えていた架空の国家。


ココに使者を派遣して従属させようとしたが、


"そもそもそんな国は無い"ために失敗する。


"高砂"と呼ばれるのは江戸時代あたりから。


ヨーロッパ圏では"フォルモサ"と呼ばれる。


最初に訪れたポルトガルの言葉であり、


"美しい(女性形)"という意味。


(メッチャきれいな島、なんてニュアンス)





『冊封』



"大陸の統一国家"に存在する特殊な外交スタイル。


本来は近隣の国家が"外交的な従属関係"を結ぶ時に


配下として"王や侯など"の地位を授かる行為。


本当の意味合いでは、"国家としての降伏"である。


ただし形式的にこの制度を用いることで結果的に


"外交的に大国がその国を正式に認可した"


というシチュエーションが発生。


後に"対外的に国家を承認させるための手段"や


"国内外に自分を国王として認知・周知させる"


(これは"自称国王"の僭称としても使われる)


ための手段の一つとして利用される。


足利義満が明国と冊封関係を結んでおり、


"日本国王源道義"の金印を(天皇を素通りして)


持っていたのは地味に有名な話。


また通称"漢委奴かんのわのなの国王"の金印もコレにあたる。




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