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鵬、天を駈る  作者: 吉野
2章、『◯◯◯◯◯◯』
21/248

第21話 熱田での、御依頼

いつぞやの話の下準備です。


………アレ?


いつぞや?

 とりあえず藤吉郎君は、事情を書いた(ふみ)


もたせて村田屋へ行くように……


  と送り出した。








ひととおり見てもらって、


後は適正を見ながらの話になるだろう。










 それに彼の店、雁尾屋とのからみも有るだろうし、



これからはそちらの店の後任を決めて文で


指示を出す様に指導していくべきか。








次のステップを踏ませる準備をさせておくべきだな。











今のまま、終わるつもりも無かろう。


終わらせるつもりもない。










「いやはや、申し訳ない。


少し話し込んでしまったようですね。」








 神宮の広間から案内され、別の部屋へ移る。




どうやら少し待たせてしまったようなので、


軽く頭をさげる。





藤吉郎君と話し始めて、気がつけば予定より長く


話を続けてしまっていた。




年長者を待たすとは―――いかんなぁ。まったく…










「いえ、構いませんよ。


世話話をしておると――時間が経つのが早いですな。」







 屋敷の主の千秋さまが軽い感じで返される。




共にいる、生駒さまと庄兵衛さまも同意される


ようにうなずく。








まあ…………確かに。




熱田の名士に熱田周りの豪商、


ずいぶんと話が弾んでいたことだろう。




待たせてしまったのも事実だが。











「さて、皆さまをお留めしたのは


ひとつ……お願いがあるからです。




これは織田家からのものとしてお聞きください。」






 お三方にはいろいろと調達を願いたい。




あまり目立たない方向で。








「ふむ?


―――お聞きしましょう。」






庄兵衛さまが腕を組みつつ応える。





生駒さまも、


千秋さまも。



やや身を乗り出す。









「先ずは千秋さま。



千秋さまには枯れ木や枯れ草、


それからワラを集めていただいたい。




新しい祭りを考案中で試してみたいから…………


という名目で。」










これについては、実際にいくつか試してもらう。


気にいった祭りが有るなら取り入れて頂きたい。







祭りは人の心を軽やかにもする。


こちらからも後押しはしたい。








「それから熱田の近隣の漁村や海賊衆らから、


貝殻をあつめてほしいのです。」





焼いて砕いた貝殻はよい肥料になる。



これからも絶やすことなく頼むことになる……


だろうから、その足場を築いてもらいたい。









「生駒さまには主に油を。


那古野・末森・勝幡などの各城で、


それぞれの油を"水増し"する形でお届けして


頂きます。」






これはあとで、殿の命………という名目で


回収して回る。






事が終わっても、多少は必要量は減るが、


継続して頼みたい。










「庄兵衛さまには石灰(いしばい)と炭を。


これつにいては、熱田へ集めて頂きたい。」





石灰は良い肥料だ。


それゆえに、



集めておいても違和感などない。








先々にも大規模な商いとなるだろう。


準備をしていただく。




そして炭も、いくら有っても困らない。


村々の銭の足しとして効果があるだろう。









「それからもうひとつ、店の若い衆を使って


――――密かに硫黄を集めて頂きたい。



これはしばらくは夜半に町の外で村田の者に


秘密裏に受け取らせます。」









これまでの物と違い、硫黄は他とは異質過ぎる。



大っぴらに扱えば、必ず雪斎に気取られる。







ゆえに、表に残らない商いで集めておく。


無論、裏であっても気付かせないが。











「今回は織田家のお願いとなりますが、


先々には村田からも発注を掛けたいと


思っております。



皆さまには、そのための販路をあらかじめ


作って頂きたいのです。」







 どいつもこいつも大商いの予定だ。


是非とも気張ってもらいたい。












「よろしくお願いいたします。」




深く頭を下げた。





心配していた、『電波状況』はわりかしに


大丈夫でした。


無事投稿。




ムダには転ばず、タダでは起きない主人公。


未来の商売のタネにする気マンマン。




マメ知識




『海賊』



当時の海賊は非合法的な行いは『ほとんど』しない。


海上での水先案内人や護衛の仕事がメインとなる。





『石灰』



当時は『いしばい』と読む。


戦国時代でも知られている肥料。


なお、もうひとつ使い道がある。

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