第196話 厄介系イベ、準備中
ゲリラ投稿………ではなく。
単に投稿を忘れていただけです。
お昼に投稿できなかったものでここで投入。
…………さて、暫しの時が過ぎ
今は2月半ばとなった。
美濃の情報も次第に集まりつつある。
あの時は独断専行・独断強行によって
多種宣言を多重に発したが。
その事自体に問題は起きていない。
直後に先代たる信秀殿や林(兄)様・平手様などに
一連の情報を連絡しておいたから。
彼らの様に現役時代の斎藤道三を、
即ち『斎藤 山城守 新九郎 利政』
という人間の危険性・凶悪性を知っていると
この対応は至って当然であるからだ。
むしろやらない方が全力で怒鳴り込んで来る。
現行でわかっていること。
会見の設定日は3月24日。
何の因果か史実に対しほぼ一年と一ヶ月の
繰り上げ予定となった。
この会見は、どうやらヘビ殿の独断である様だ。
統制されているとはいえ今回の件に対して、
配下の者達に動揺や不審の気配が見られている。
今の所は軍事的な兆候は存在しない。
軍団だけでなく各種戦略物資の相場面でもだ。
ここ数ヶ月の間で、一切に気配が無いから
ほぼ確定的だろう。
……一年以上前から動かれていたらお手上げだが。
同様に未だ策謀が動いた形跡も確認できず。
少なくともこちらに対する動きは見られない。
マークされているからこそ動かないという、
当たり前の行動かも知れないが。
つまり、まあ客観的視点から得られる結論は。
『ヘビ殿、無罪』と、なってしまう。
……………今のところ、残念だが。
とはいえ当日まではこの体勢を維持し続ける。
実際に有ろうが無かろうが関係はない。
油断し目を離した瞬間に出し抜かれるというのは、
もう"策謀の王道"であるからだ。
―――――それで、だ。
このままコレが罠でなかった場合は、
単に『会ってみたかった』という理由となる。
ソレはソレで有りそうだな。
………いかんな。
まるで思考が迷宮入り、袋小路の有り様だ。
一度、思考をキャンセルするべきか。
――――――さて。
少し前に話題で出たことだが、
『緊急事態宣言』と『情報要請』のふたつ。
予想は付くかも知れないが、織田の分国法である
『織田家中諸氏申付』の内で立法化したモノだ。
緊急事態といってもこの時代では、
"災害"よりも"戦災"の方が緊張性が高くなる。
これは仕方ない。
ここでの"第四種"とは、
『特定者により謀略が行われる可能性がある事』
実際に行われている必要は無い。
誰でもいいし、それがただの"嫌な予感"でもいい。
"何らかの危険性"を感じた瞬間に発令可能となる。
極限状態における"勘"は、案外に侮れない。
策謀の対処とは早ければ早いほど効果的であり、
例え"気のせい"でも先んじて動いた方がいいのだ。
コレが発令されると那古野中枢に
対策本部が立てられ、所属全武家に通達がされる。
武家らに命じられるのは強い防諜対策。
領内の"分かる限りの全ての間諜の排除"である。
忍びも商人も含めて全ての間諜をだ。
(原則は領内追放、抵抗されれば討ってもいい)
ここまでが各武家の義務である。
ただし武家らにはこの第四種が
"何の為の行動"なのかを教えられない。
彼等の動揺による情報流出をさけるためだ。
ただし間諜の有無の報告義務がある。
全ての対応は対策本部で行われるが、
ここで残念ながら策謀の形跡を確認できた場合は
即座に『第三種』へと移行する。
第三種になって初めて、非公式ながらも
武家・町衆・村衆すべてに告知がされる。
同時に『策謀の気配を発見次第、通報する』
要請が下され、これにより相手の策が
阻害された場合には
"感状と50貫の褒美"という破格の礼が成される。
第三種緊急事態宣言の発令は民たちにとっては
臨時収入のチャンスでもあったりするのだ。
まったく同様のシステムで、第二種と第一種は
"戦端の予感"と"戦端の予兆確認"となる。
『乙型情報要請』とは。
そもそも尾張商圏所属の商人には、
常に他国情報の提供要請が行われている。
コレが『甲型情報要請』である。
"完全な平時"における情報提供依頼のことで、
有用な情報には貴重である程に
高額謝礼が成される約束となっている。
後はわかるかも知れないが
『乙型』は"策謀対応状況"を、
『丙型』は"戦時緊急状況"を示している。
乙型要請は"バレない程度の積極的情報収集"依頼。
逆に丙型は敵地からの即時撤退勧告となる。
撤退と同時に、可能ならば無関係な人を雇っての
持続的情報収集を頼んでいる。
丙型要請の謝礼金は甲・乙よりも高額であるため
商人的にはむしろ意欲マシマシであり、
時には"何で伊勢の時には無かったの?"という
変なクレームとか来てたりする。
緊急事態宣言は対外防備システムであり、
情報要請は情報収集システムであるワケだ。
双方ともに、こういう時代には必須となる。
面倒だがこういうシステム整備は
平常から常設することが重要になってくるのだ。
この辺りは手を抜けない。
落ち着いた尾張を再び戦火に落とす事を防ぐ、
それが織田尾張守家に所属する全員の義務だ。
――――それから言い忘れていたが。
緊急事態宣言には"第五種"と"第六種"もある。
"第五種"が『大規模自然災害対応』に、
"第六種"が『大規模飢饉対策』に相当する。
第五種は地震・台風・火事・洪水・崖崩れなど。
第六種は冷害・干魃・台風・洪水・不作など。
この二つの緊急事態宣言が発令されると、
尾張守家からその地に対して
早急に緊急支援と災害復興が成される。
実のところ、この支援や復興の実行に対して
尾張守家の銭を使う事に
反対意見が有ったことも確かである。
直接的には言わないが、暗に
『そんな事に使う位なら、自分達に分けろ』
…………といったような感じでね?
が、例えば自分の領地が災害に合っても
ソレが成されることを。
更に、嫌なら今まで通りに無いままにするぞ?
………と言うと、皆が押し黙った。
最終的にダメ押しで、
『困った時に自分の銭を使わなくても
助けて貰えるのに、何か文句あるの?』
と言ってやると少し考えた後で
皆がそろって賛成に回ることとなった。
ココまで言うと、かなりお得な話と気付くワケだ。
――――――ふむ。
気晴らしも終わりだ。
もう少しばかりヘビ殿対策を考えてみるか。
1552年の1月初旬、
尾張・伊勢統一と共に出された織田家の分国法、
『織田家中諸氏申付』の中には自然災害に対する
"災害支援と災害復興の実行"が明記してある。
実は成文法で国主がこの実行を明記することは
世界でもこれが初めての事である。
他国でも支援や復興を行うことはあっても、
これまで法で明確に提示した国が無かったのだ。
これは当時がいまだ封建社会の延長上にあり、
支援・復興が地方領主に一任されていた為。
法に記してまで国の主に
それらを行う責務が無かったためである。
このため『織田家中諸氏申付』は、
世界的にも開明的な法律と言われる。
この作品を見ていると経済観念が狂って、
『50貫?…少なくね?』とか思うかも知れませんが
50貫って"500万円以上"ですよ?
一般庶民からすると相当な高額謝礼ですから、
スパイ探しに目の色だって変わります。
そして災害に対する支援と復興。
封建社会において、例え要請されたとしても
中央政権は余程の重大な理由が無い限りは
この要請をほぼ確実に無視・黙殺します。
だってその領主の弱体化が図れるから。
建国初期なら話は別ですが、それ以外なら必ず。
世の中、そんなモノです。
よってこの"法への明記"は、かなり革新的。
マメ知識
『"斎藤 山城守 新九郎 利政"の危険性』
この人物、美濃国主になるまでに"三人の上司"を
謀殺や追放で排除している。
(諸説あるが実際に死んだという状況証拠アリ)
そしてそれ以外でも謀殺を多数。
つまり近隣でもブッチギリの危険人物である。
こんなヒトが自ら動き出した?
ソレは警戒するに決まってんだろ?
自分の影響力を考えろよ?




