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鵬、天を駈る  作者: 吉野
7章、『○○○○○○○○』
176/248

第171話 1552年、戦略前提(西三河及び伊勢編)



このお話は本日の投稿分における二つ目です。


170話もいっしょにお読みくださいな?



今回は三河・伊勢の状況です。







次は三河。




三河は矢作(やはぎ)川を境界として、


東を松平家が西を織田が統治している。



東部は松平家がゴリゴリと侵攻中。


西部は安祥の城下町を中心として


開発を行っている。



安祥城下町は雪斎の抹殺直後あたりから


農業・商業ともに大規模な入植が始まっている。


始め(させ)ている、とも言う。



安祥の李部は農業支援系の依頼がメイン。


依頼にかかる銭に資金援助と補填をしており、


農繁期ともなると近隣より多量の依頼が集まる。


他にも三河の西側では織田系列・村田からの


水路や新田に灌漑(かんがい)工事の依頼が


常に山積している状態であり、


依頼はいつでもゴロゴロとある状態となっている。





一方で、肝心の働き手は?


これも(今のところは)問題ない。



三河の東側で勢い付いた松平家があちこちにて


ケンカを吹っ掛け荒らし回るせいで、


戦火を避ける離民がすべて安祥に逃げ込んでいる。



彼等を李部にて新田開発と灌漑のために働かせて。


出来上がった新田に順次、難民たちを入植させる。


新田といえども田畑である事には間違いはない。


何の(しがらみ)もない田畑を与えられた新しい民たちは


喜んでその地に定着。



先に李部で働いて報酬を受け取っているために


手元にまとまった銭も手にしており、


移住後にそこまで困ることもナシ。



新しい田畑が与えられるという噂が噂を呼び、


東三河を身限った民が次々に流入していて、


少なくとも西側はたいへんに盛況である。



この開発ももうすぐ二年。


西三河全体においての米の生産能力は地味に


拡大に拡大を重ねていて、


大型穀倉地帯へと(ゆる)やかに変わり始めている。



勿論、その新田開発は安祥が最優先だが?


軍の発令を行う大将格の安祥が


米を持っていないでは、様にならないし笑い者だ。



ソレは当然である。



安祥の人口は1万前後。


離民で増えるのだが、彼らはすぐに各地に入植。


増えては減っての繰り返しとなっている。


西三河が広く全域で繁栄していること。



むしろ善いことである。






三河にも懸念がある。



三河、本證寺。


通称、『三河一向一揆』を起こした寺である。



………………のだが?


実はこの一揆は家康とその一派たちが


先にケンカを吹っ掛けたのが原因とも言われる。


ケンカの原因は『不輸不入』という厄介な権限。


不輸とは免税権、不入は立入調査を拒む権。


コレを力押しで潰そうとしたのが原因とも。




―――――自業自得じゃね?


態々(わざわざ)(くすぶ)る火薬庫に爆弾を放り込んだら、


そうなるのは当然の結果だよね?



さすがクソ偏屈かつ脳筋野郎の三河武士。


筋金入りのアホウだわ。


火種に真っ直ぐに突っ込んでも仕方がないだろう。




……………ということでこの寺には手を出さない。


()()()()は、()()()は。



連中には十重二十重(とえはたえ)にワナを仕掛け、


じわりじわりと絞め殺してゆくつもりである。



真綿で首を絞める様に、な。




――――真綿、といえばだが。


三河には木綿がこの時代に存在するという


(まこと)しやかな説があるそうだ。



799年にインド人が漂着して伝えたのだとか。


………何でインド人?


………何で三河に?


というツッコミはこの際、放置するとして。


実は伝来したハズの綿花は断絶しているらしい。



――――あくまでも、"らしい"だ。


隠して続けられている可能性もある。



もしコレが有るようであったならば、


尾張よりの超大規模投資の対象となる。


村田は最低でも千貫単位の大型予算を突っ込むし、


他の商人も同様であろう。




……………無かったら?


無ければ持ってくる、当然であるよ?



何のために南方貿易をしている、という話だ。


種を持ち込んで栽培させるだけのこと。


インドや中国、このあたりが狙い目だろう。



実際、既に取得依頼はしているし。


獲得しだい、候補地を選んで栽培を始めよう。




(西)三河の開発ポテンシャルは、


まだまだ幾らでも掘り出せる要素があるという事。




結構なことである。








続いては伊勢。




前にも言ったが、特に北伊勢においては


国人連中が一気に消し飛んだので空白地だらけ。


お陰で弾正忠家の直轄地には事欠かない。



それら空白地を中心として、


大規模な生産能力の向上のための各種普請を


北部全域で既に始められている。


そのために一時期は尾張に吸い取られて


過疎化しかけた伊勢も再び人が戻って


(にぎ)わいを取り戻している。



南部はだいたい阿坂(松阪市)辺りまで調査が終了。


それ以南でも調査は始められている。




開発の中心地は安濃。


港湾工事も終わり、新しい湊が機能を開始。


ココが伊賀よりの荷を受け取る商業港となる。


現在でも交易の中継地点として動いており、


また伊勢唯一の李部が置かれているため


働き手の集まる小都市として繁栄し始めている。



人口は約1万と2千。



まだまだ、これからである。



後は伊勢統一がほぼ完遂したために、


伊勢の神宮への安全なルートが確立できた。



尾張から伊勢への歩きのルートなり、


改装したジャンク船の海洋客船ルートなりで


いち早く"お伊勢参り"を大きく流行らせるのも


面白かろう。



要地の霧山と大河内も押さえたことだし、


開発の幅も広がっている。




こちらも(イジ)り甲斐のあるユカイな話である。





課題は佐々木六角家への対策。


いちいち小競り合いを仕掛けてきているので、


少々ウザくなってきている。


小規模な軍事演習にはちょうど良いのだが。




北畠が済んだ以上、次は自分たちであるという


可能性に気付いて居ないのだろうか?


その辺が名家ならではの思考だろう。






……………北畠もド級の名門、であるのだがな?


しかも六角の(ほまれ)たる、佐々木 道誉(どうよ)と同レベルの。



世に、例外は無いぞ?






――――だが、今はまだ時ではない。


(しばら)くは好きにさせておくさ。









西三河と伊勢は、今では比較的に安全地帯です。


尾張に比べれば全然ですが。


そのためにこれからは双方において


大きな開発競争が始まります。



なおこの開発競争は、近隣諸国から多くの民を


かなり(むし)り取ることになります。



近隣には、いい迷惑です。






マメ知識





『三河一向一揆は家康の自業自得』




諸説ありますが、全てにおいて共通しているのは


かの寺の"不輸不入の権"を嫌って


松平からケンカを仕掛けている点。



加賀の最悪な悪例もあるというのに、


ちょっと不用意・無用心にも程がある。


そのせいで三河家臣団は一時期において


本当にズタズタになります。






『三河の綿花』




799年の綿花伝来は、三河に定着せずに


一年で断絶してしまったそうです。


そのため(公的には)以後の三河での綿花栽培は


この時点ではされていなかったとのこと。



三河で綿花栽培が本格的に始まるのは、


およそ江戸時代になってから。


他には実は1550年ごろという説もあり。


つまり、ちょうど今頃です。



史実において内からか外からかは分かりませんが、


本作中では同様にそろそろ綿花栽培が始まります。







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