第170話 1552年、戦略前提(尾張全域編)
またしても連チャン投稿。
現在、戦略状況を語る段階です。
史実という『台本』があるので、
制作がものすごく楽だったり。
一連の話は、もう少し続きます。
続いては尾張の各所について。
勝幡。
弾正忠家の興った土地。
津島を縄張とし伊勢へと続く街道をおさえる
交通と商業の要所。
ココは長島に対する戦略防衛拠点であり、
前線たる海津新城と蟹江城の後方拠点。
対"願証寺"防衛ラインとして機能している。
前線が近いために城下町を造ることは無理だ。
城の全能力は津島に完全依存している。
願証寺は"今は"敵では無いが潜在的な敵対勢力。
基本的に"一向一揆"という前科がある以上は、
彼等を信用することは不可能である。
連中を刺激しない程度に警戒をしている。
そろそろ桑名のダメージが顕在化してくるだろう。
しばらくは静観のみ。
蟹江。
およそ100年前に築城されたが
戦乱と地震によって全崩落。
長年に渡り放置されていたが、
近隣を支配していた服部の某が民により追放。
空白となった為にこちらが接収した。
長島願証寺に近接しているために
商港としては使えないため、
港湾を大きく整備した上で水軍衆の"佐治家"に
軍港として低額で貸与してある。
そのため蟹江は佐治水軍の大型軍事拠点。
彼らに伊勢湾北部の周辺を完全に掌握させている。
佐治水軍は今川の水軍衆に向けての備えであり、
いざとなれば願証寺まわりに対する
海上封鎖をしてもらう予定でもある。
末森。
"前"棟梁、信秀殿の死後に勘十郎くんに
預けられるはずの城である。
………………のだが?
現時点で既に勘十郎くんは
"別に要らない"と明言してしまっていたりする。
事実上、宙ぶらりんの状態に。
……………裏工作で弾正忠家の直轄地と定めて、
開発を盛大に行う予定であるのだが。
ここから弾正忠家の固有資産を獲得するつもり。
―――――実はソレを担当する(させる)のは
当の勘十郎くん。
何か本末転倒なコトになっていたりする。
守山。
前棟梁の信秀殿の弟どの、織田 信光が持つ城。
ガチの直近親族であるために、いつの間にやら
商・農ともにかなりの投資が流れていたりする。
コレが忖度でなく本人の実力だから大したもの。
農業投資がメインであるために人口は9000程。
城下町にはそこまで人は集まってはいない。
…………城下町には。
鳴海。
城主の山口家が信秀殿の死後、
今川に寝返ることになるはずの城。
しかし安祥城の以西は織田が完全に押さえており
そもそも山口家が寝返る必要性は全く無し。
安祥や岡崎への輸送経路として街道を整備した為、
鳴海もほどほどに発展をしており。
むしろかなりの親織田になっている。
大高。
織田との同盟相手である、水野家の支城。
本拠地は三河の刈谷城。
何気に後の徳川家康の親戚でもある。
同盟相手であるために比較的に優遇されており、
近所の鳴海と共に投資による援助で
けっこうな発展を続けている。
沓掛。
鳴海の東方、三河との国境の城。
尾張は長久方面からの南北街道と
東国方面から西に至る東西街道の合流地点であり、
結構な交通上の要所。
城主は近藤家。
ココも鳴海の山口家と同時期に寝返るが、
今の状況では寝返るだけの利益も必要もない。
交通の要所でもあるため、
尾張方面からと三河方面から双方向からの
街道投資が行われており、
実はウハウハな状態だったりする。
大野。
先ほど話した、佐治家の本拠地。
南方貿易に関わっている佐治家は、
織田配下の武家の中では大きな経済力を持つ。
軍事拠点として蟹江を貸与されているため、
大野の地は政治系の軍港、造船所となる。
ココは尾張屈指の大規模造船設備を持っており、
近隣諸国より多数の職人が集まり在住している。
ここでは佐治の水軍船だけではなく、
織田家が注文した船も幾つか建造されている。
現在では遠洋航海用のジャンク船の追加建造、
その他の大型商船や大型戦闘船なども
研究・開発・建造が行われている。
職人が集まれば関連の工業製品も集まり、
ヒトが集まれば各種産業も集まり始める。
職人と商人が集まりも集まって、何と3万人。
もうこの時代では中都市レベルに達している。
大野には、造船都市として立ってもらうつもりだ。
犬山。
地図だけ見ると、『?』となるかも知れないが、
ココは美濃との主要な街道の道中にある
戦略上において凄まじく重要性が高い城。
コレは後の歴史が示している確たる事実だ。
城主は三郎サマのいとこ。
ここも信秀殿の死後に領地で揉めに揉めて、
三郎サマと敵対することになる………が。
まだ彼が死んでいないために争う要素はない。
先々の問題に対応するために領地の問題は
今の時点からガチガチに定めており、
揉め事が発生する可能性を極限まで廃している。
また美濃との交易の玄関口のひとつであり、
現時点でも重要な交易拠点として
多くの商人からかなり多額の投資が行われている。
商業系の小都市として発展しており、
もう人口は約2万人。
軍事・経済的に投資と援助を叩き込んでいて、
今では極めて友好的な関係となっている。
実際のところ、岩倉がこちらに折れたのは
犬山の発展を横目に見ていたからであろう。
尾張北部では随一の発展なのだから。
清須。
弾正忠家と大和守家の抗争における最大の被害地。
長らく尾張の守護所が置かれていた
政治上の重要拠点であったにも関わらず、
弾正忠家と尾張商圏に敵対とガン無視をされ続け
ドギツイ衰退によって重度の過疎状態に至る。
現在、人口は1000人前後。
あまりにもヒドい有り様だ。
人口が減りすぎて都市機能が壊滅的である。
問題の大和守家が"飛んだ"ために、
これからは多額の投資が入ることになるだろう。
李部も新たに置いており、
また村田も率先して多額の投資を投げているし。
清須の復興にはまだまだ時間が必要となる。
長い目で見てゆこう。
岩倉。
伊勢守家の居城。
この地は直近で降ったために投資はまだ。
ただし美濃へ向かう合流拠点であり、
その地は大変に重要である。
ヘビ殿との盟約により発生した
『美濃大市』の(尾張側の)物流拠点としては最高。
一時貯蔵用の蔵や事前待機用の宿として。
それ以外にも通常の交易行路の拠点でもあり、
開発ポテンシャルは犬山と同レベルかそれ以上。
この事は既に伊勢守家にも伝えている。
今はともかく、
未来においては繁栄が約束されているのだ。
黒田。
岩倉の伊勢守家の家老、山内家の城。
あの山内、山内一豊の生家だ。
岩倉城よりも更に美濃寄りで、国境の木曽川沿い。
木曽川の氾濫被害を直接受ける場所だが、
物流の拠点には役立つ。
宿場町や一時待機・一時保管に用いられて
ほどほどに繁栄するとは思う。
だが氾濫の危険性から本格的な発展は難しい。
ココは治水を全力で行わなければ
繁栄はムリだろう。
荒子。
海沿いの小領地。
何の事はない、又左の坊の実家だ。
つい少し前まで兄で当主候補の蔵人 利久との
家督争いが内燃していたが、
坊本人が"継がない"と断言したため
争いは自然消滅。
家督継承は決着した。
ちょっとした貸しが出来ているため、ココは
完成した"開発代官制度"の第一号に
なってもらおうかと思っている。
―――大丈夫、元本保証に成長保証をつけるから。
ちょっと文面が胡散臭いが、別にサギではない。
キチンと『隗』として繁栄を約束しよう。
後は焼物の拠点として急発展している常滑。
単純に商人が商業投資を山ほど投入したから、
焼物ラッシュが始まっている。
ココは昔から有名な所。
リターンは確定的なシロモノだから、
そりゃ投資も加熱するよね?
同じく、瀬戸へも投資が行われている。
瀬戸焼・常滑焼ともに、
古来から有名な焼物だからね。
焼物は極めれば超高額商品ともなる。
そうでなくとも焼物は好きな方だしな。
―――――さて、楽しみなことよ。
尾張各所の様子。
清須のみが激しく劣化しています。
前話のメタ情報においては尾張を"微小な過疎状態"
と表現していましたが、
実際には"一部"が清須のことを示しています。
前回は、あえて言いませんでしたが。
政治的には格上ですが都市機能面が圧倒的に格下。
清須への拠点移動の予定は当面、ありません。
実は尾張のゴタゴタ内乱フラグは、
そのほぼ全てにおいて織田信秀の死亡が原因です。
尾張の巨星が墜ちた事で一気に問題が起こります。
(次代がノッブ様という不安もアリ)
しかし現行では尾張の政情は完全に安定。
西三河の掌握に美濃との同盟、伊勢の統一と
尾張地方はむしろ平穏そのもの。
尾張全域においても各国人は優遇されています。
この状態では、寝返りが起きる要素は0です。
ただの自殺行為にしかなりません。
マメ知識
『犬山の重要性は歴史が示す』
犬山城は歴史の転換期前後において
時の実力者により制圧されている。
いわゆる三英傑、信長・秀吉・家康。
彼らは全て犬山城に攻め寄せている。
それほどまでに犬山は要所であった。
信長は正面からの力攻めにて。
秀吉は元城主の寝返りによる謀略にて。
家康は交渉(+謀略)による無血開城。
ある意味において、
それぞれの性格が強く出ている手法である。
『清須の衰退』
実際の所、"正月の祝い銭"による離間計と
尾張商圏による経済制裁・経済封鎖によって
清須は深刻な政治的・経済的な危機を迎えていた。
坂井の家が無謀にも近い脱出劇を行ったのは、
正直このためである。
この清須の衰退が最終的なダメ押しとなる。
政治系謀略家の坂井 大膳にとっては、
清須は既に"詰んだ"状況に見えていただろう。
『大野は造船都市』
大野は造船都市にはなれても、
工業都市にはなることは出来ない。
知多半島という水が乏しい地域であるせいで、
工業用水が確保できないためである。
そのため、将来的には大野とは違う場所に
工業地帯を設立する必要がある。
現在は佐治水軍衆が中型ジャンク船を運用し、
ピストン輸送して材料と消耗品を確保している。
なお、その材料・消耗品は村田系。
定期購買契約により、値段はお安め。
『飛ぶ』
とある隠語で、"逃走する"ことを意味する。
ここから転じて、
連絡ナシに無断退職をすることも"飛ぶ"という。
同様に"夜逃げ"のこともさす。
『常滑と瀬戸』
常滑焼は平安時代末期が始まりとされている。
それ以後も大量の流通が行われており、
太平洋側をメインに凄まじい量が出荷されている。
広島県の福山市から、フツーに発掘されたとか。
瀬戸焼は伝承では5世紀において、
ココで埴輪を焼いていたとされる。
11世紀あたりで技術体系が劣化するものの、
鎌倉時代に加藤 四郎 景正が
宋の技術を持ち込み再興。
ここからが正式に瀬戸焼といわれるようになる。
(という説があるらしい)




