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鵬、天を駈る  作者: 吉野
6章、『○○○○○』
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第○話 何で武家って、銭を汚いと言うの?(超口語訳版)




この話は何故かスパッと出来た。


はて?







「そういえば、よく武家は


"武家が(けが)れた銭に関わるのは良くない"


と言いますが、何故ですかね?」




「原点的には宗教の影響ではあるなあ。


太古に生まれた宗教。


その中でもヒトが"悟りを(ひら)いて"創った宗教は


基本的にひどい潔癖症でヒトの煩悩(ぼんのう)を嫌う。



こういう宗教関係者にとって、商売はな。


"自ら造った訳でも無い品を銭でやりとりして


富を得る"


という"商い"はひどく穢れて見えるのだよ。



…………まるで煩悩の化身のようにな。」




「信じる教えからの影響による物なのですか。」





「そんな感じだな。


同様に南蛮人の信じる"基督"の教えにも


同様の戒めが存在する。



正しくは過剰な蓄財と、


それを成す罪業を戒めるモノだがね。」





「………ヒトの創る教え。


理想を求めるが故に穢れを(いと)うワケですね。」






「―――――とまあ、それが建前だ。」




「…………………タテマエ?」





「実際には鎌倉が幕府の時代に(さかのぼ)ります。


この鎌倉末期の時代、


あまりに適当な乱脈経営により。


あまりに無秩序な戦の数々により。



武家社会全体は重度の借金漬けになっていました。


結果として無双を誇っていた鎌倉武士は、


屈辱的にも商人に頭を下げる不覚を取ります。



武家は商人と銭の前に膝を屈したのです。」




「それは屈辱でしょうね。


常日頃に見下していた筈の町衆に頭を下げる。



まあ、腹が立ったでしょうな。」





「初期においては商人を斬り捨てて


借金を潰そうとしたでしょうが。



当然ながらソレを成したら"信"を失くします。


()されて干殺(ひごろ)しですね。



それを見た者は力に訴えるのを諦めるでしょうな。


そしてその後には


何も出来ない自分たちに気付きます。



武家は初めて、


どうすることも出来ぬ敗北を味わうのですよ。」




「鍛え上げた武では勝てない相手、ですか。」





「案外、居ますよ?


寿命に運命、朝廷に自然災害そして死。



全て普段の只人(ただびと)には勝てません。


これらに(あらが)えるのは神と真の英傑のみです。」




「神と英傑、ですか。


人の世には居らぬ存在ですね。



―――――常の世には居らぬからこそ、勝てる。」





「ソレは例外中の例外ですよ。



……………話を戻しましょうか。


銭と商人に負けた武家は、


取りあえず恨み憎む対象を求めます。



―――それが銭ですよ。


ほぼ八つ当たりに近いモノではありますが。



銭は何も仕返しをしませんからね。



かくして武家たちは銭を恨みます。


『薄汚い、()()()銭めが』とね。



時が流れ、世代が過ぎ行くと共に


恨みは時間に洗い流されました。



………ですが銭への蔑みだけが残ったのですね。


それが『穢れた銭』と呼ばれる正体なのだと、


そう思いますよ?」





「―――――その様な、歴史が。」






「………………さあ?」




「―――――――サア?」





「知ったことではありません。


所詮は状況証拠というものです。


在ったかもしれない、


無かったかも知れない。



そんな事は知りませんから。


――――そして語られる事もなく。」






「――――――――全部、嘘八百ですか?


今までの話が?


つくづくにロクでもない人だ。」





「状況証拠が有るからといって、


全てが正解とは言いませんよ。



(タチ)の悪い策士は、意図的に状況証拠を重ねて


()()()()を創り上げますからね。



そうして人心に暗鬼を生みます。


これから暗黒の政の世界に踏み込むのです。



心がけと覚悟だけはしておくように。」





「……………………。


目の前に善くも悪くも実例があるので


その辺りはまあ、追々(おいおい)に。」





「ひとつ確かな事があるとすれば、


"一般の武家は銭の扱いが致命的に下手である"


ということですね。



――――それによって歴々に何らかの失策を重ね


何らかの確執を積み上げて来たことだけは。



――――――事実なのでしょうね。」








なんとなく混入する(超口語訳版)。


今回は"銭の穢れ"の観点についてです。



相も変わらず推測だけの暴論です。


正しいかどうかは知りませんから。


書いている作者も。




どちらかというとサラッと妄言を流して


謀略のイロハを教えるのが目的だったりします。



推定事実が事実とは限らない。


推定事実は簡単に創れる。



カッツ君へ実体験をもっての教育ですかね?





マメ知識



『穢れ』



いわゆる死を連想させるモノ全般をさす。


死が極めて身近にあった古代において、


人はソレを連想させるモノすらも


自分に・人に近づけるのを嫌がった。



特に中世日本においては病的なまでにこれを嫌がる。



これにより手足を洗うという概念が、


衛生概念が副次的に発達するのは


果たしてコレは良いのか悪いのか。



何故か途中で女性と性交渉が混入する。


おそらくは生理の出血が死を連想するためだろう。




なお、銭が穢れと呼ばれるのは


銭が争いを生み出すからかも知れない。







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