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鵬、天を駈る  作者: 吉野
6章、『○○○○○』
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第125話 柴田さまと、愉快な面子




ワンクッション置いた所で本題に。


まずは軍略のおはなし。







親しき仲にも礼儀あり。



大切な事ですね。


皆様も以後は気を付けてゆきましょう。




最早、一堂に元服した間柄です。



もう大人ですから、


いつまでもお山の大将とその手下共では


(まか)り通りませんからね。







……………おま(えが)言う(な!!) ?




―――――御尤(ごもっと)も。



放っておくとあなた方が(しか)られてますからね?


先に怒られておきました。



進行役の辛いところですね。





柴田さまもお気に障る事があれば、


ビシビシと一喝をお願いします。



この場は小僧共しか居りません。


ナアナアでは何時(いつ)かは恥をかく事となりましょう。




たとえ今は厳しく叱られようとも、


それが将来に皆のためになりますから。



若造たちのオヤジの様に、


遠慮なく皆を怒鳴り(シツケ)てやって下さい。




―――――どうぞ、よろしくお願いします。






………………何ですか?


その恐ろしくビミョーな顔は?





私は"やらない"だけですよ?


必要があれば充分に可能です。




私が誰の子だと思っているのですか?


弾正忠家の外交屋、村井の小僧ですよ?



出来ない訳がないでしょう?








――――――ともあれ。


話を戻しましょうか。




一先(ひとま)ずは竹束から報告を見させて頂きました。





北畠は大きくは動かず。


大小の小競合いのみで、様子見の様ですね。



此方の用意が整うまでに動かれなくて幸いです。




もっとも、北畠もヒマでは有りません。


もうしばらくすれば動き出すと思いますがね。



柴田さま、不慣れな小僧どもを率いてとなりますが


その時が来ればよろしくお願いします。




素質だけならある連中です。


死なず四肢が無事なら少しは手荒に扱っても


構いませんよ。



本格的な戦のイロハをお願いします。


良くも悪くも経験を積ませてやって下さいな。








安濃津城での北畠との本格的な攻防戦は、


これが最初で最後の戦とします。



その為にこそ、()()()()()()()()()()のですから。




小僧ばかりと舐めてかかって攻めてきた所を


返り討ちにして、そのまま木造(こづくり)城を落とします。




……………そうではありませんね。


正しくは、味方が返り討ちにされて


動揺している木造城を柴田さまが強襲します。



三郎さま達は追撃を実行。


退却する北畠兵を木造の城から離すように追撃し、


そのまま散々に追い回した後に


勝鬨(かちどき)と共に城の包囲に加わります。


守勢を絶望させ開城させるわけですね。




柴田さまはその時のための"伏せ札"ですね。


今しばらくのご辛抱を願います。



時が来れば木造の(やから)震撼(しんかん)させてやって下さい。



この木造を落とすまでが第一段階となります。


まずはこの完遂を目指しましょうか。






皆様の奮戦を期待しています。









対六角方面は大した動きは無いようですね。




近江・甲賀に抜ける街道の要害にて、


とりあえずの砦が完成した様子です。



近江商人が砦に驚いているようですが、


ひとまずは素通りをさせています。




…………その事にも驚かれていますが。



まさか無料でそのまま通してもらえるとは、


思ってもいなかった様で。





結果として甲賀でも気付かれています。


甲賀から忍びの物見も来てますね。



事前に元伊賀衆に確認させた上で素通りさせ、


砦で変装した甲賀者だけに対して素人の門番が


"帰れ"と追い返しています。



……まあ、そんな意地の悪い事をしているために?


現在、甲賀の里はひどく混乱しています。


何せ変装が素人にバレる訳ですから。



何やらしきりに身内を疑い犯人捜しを、


裏切り者を捜しているという噂ですよ?





――――――大変ですねえ。






そんな感じで六角方面は


程々に足止めが出来ている状態です。



しばらくは甲賀・六角共に動けないでしょうね。


しばらくはこのままにしておきましょうか。





その間に次第に砦を強固にし続けて対応します。



難攻不落は函谷関の如しとは行きませんがね。


程々に鉄壁な砦を備えましょう。








何というか、書いていても柴田さまが


戸惑っているのが分かる感じです。



実際、"どうぞ、よろしくお願いします"の所で


厳格な作法に(のっと)った綺麗(キレイ)な一礼をしています。


(一様に、『出来るんかい!?』という顔をされる)




三郎さまにきいても、『慣れろ』


としか言われないでしょうねえ。



実は対六角方面の方が緻密(ちみつ)な策が行われています。



対六角というよりは対甲賀対策。



伊賀衆に質問して、


されると本気でイヤな事を実行。



それが『渾身のワザが素人に見破られる』こと。


甲賀の里では結構、パニックになってます。





マメ知識




『関所が無料で驚く』



この時代、関所の通過は"関銭"という


通行料を取られるのが一般的。


関所を運営する連中の資金源です。



それが無料でちょっとビックリ。





『函谷関』



キング○ムで語られるアレ。


谷間の崖に、岩をモリモリ積んで造った関所で、


キチクの如き防御力をもった設備。



なお、"箱根八里"という唄で、


"函谷関も物ならず"とうたわれている。



瀧廉太郎の作曲です。




三国志で有名なのは、虎牢関(ころうかん)です。


もしくは汜水関(しすいかん)とも言われる。





※虎牢関と汜水関は同一の関所とも言われます。





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