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鵬、天を駈る  作者: 吉野
6章、『○○○○○』
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第123話 北伊勢、赴任(緩々)



別に急ぐ気がないために、


ゆっくりと軍事行進とかさせています。



故に(ゆるゆる)です。







東海道をダラダラ上方(かみがた)へ登る。


途中から街道から外れ、平地を進み。



平地の真ん中を見せつける様に行進しながら、


北伊勢弾正忠家の拠点たる安濃津へ向かう。




行進と同時に、地図を眺める。


限りなく直線のブチ抜き大街道を設けるには、


どの辺りを選ぶべきかを。



河川と水路の配置に宿場施設。


そして治水計画。



いずれは地域情報が出揃った後での


正式な検討になるが、まあ一応な。



データは幾ら有っても無駄にはならんだろう。






………………ふうむ。


――――――香助、いるか?



先の長良川の戦では、ほとんどの足軽衆は


武器を捨てて降伏したそうだな?



…………で、指示どおり彼等を村へ帰らせたと。






――――――んむ。


十人で一組とした(そなえ)を五組ほど編成して欲しい。



これらを武家の姿をさせて村々を回ってくれ。



表立った名目はお触れだ。


"都の御上の意思"と"年貢の一割減"を


歩き回って話して来てもらいたい。




表があるなら裏もある。


もう一つの理由は、村々の様子を見ることだ。



どんなに隠そうが、


"余裕"というのは人の顔や(なり)に表れる。



そういうモノを見て回り、


"北伊勢の民が現在()んでいるか(きゅう)しているか"


その事を確認してくれ。




今のこの地の民にどれだけ"体力"があるかを


知っておこうと思う。







それによって政策の優先度が変わってくるからね。



北伊勢の民にとって、とても重要な任務だ。


よろしく頼む。







――――香助を送り出した理由。


どうも遠巻きに眺める彼等の様子に、


やや余裕が薄いように見られる。




最近は富裕層ばかりと接しているから、


これが私の気のせいならば良い。


そうでなかった場合は少々問題だからな。



今から余裕が無いとか、シャレになっていない。




農民足軽というヤツは、


トップが弱小だと戦に"メシ持参"とか言い出す。




つまり先の戦に参加した連中は、


持参したメシを消費しただけ。



草臥(くたび)れ損になり、


何も得られずに帰ってきたわけだ。





北伊勢中が困窮している可能性も考えないとな。


ただでさえアホウ国人というのは


無計画な税の取立てをするところがある。




政策担当者なら、その辺りも確認しておこう。


開発はそう短期では行えない。



必要ならば短期的な援助も行うべきか。





緩々(ゆるゆる)と進んで行く。


先頭の槍兵たちが軍事行進(パレード)をしているせいで、


一団のスピードはあまり早いとは言えない。




行進をしていると足を過剰に振り上げて


かつ3分の2程度しか踏み出さない。


行進というのは、


振り上げた足を真下に踏みしめる。


足音を大きく響かせるために。


それに対して、


普段の歩みは振り上げた足を前へと突き出す。





そのために必然的に歩行速度は低下する。


通常速度の半分ほどしかスピードがでないわけだ。




ただしその周辺への威圧効果は通常の移動とは


比較にならない。




第一印象は、"精強な部隊"に見える。


あまり挑みたくない"織田の切り札"に感じる訳だ。








実際は違うがな。



一年にもならない部隊だ。


スタミナトレーニングと息を合わせる訓練しか


やってはいない。



その程度しか手を伸ばせないともいう。


本格的な調練はこれからだな。





今はハッタリを効かせることしか出来ない。







――――――まあ?


それすらも出来ないよりはマシなわけだが。



それが以前の"織田の弱兵"とまで呼ばれた


尾張の傭兵足軽だったらしいよ?








さて、そうこうしている内に


目的地が見えてきた。




弾正忠家の北伊勢陣地、安濃津の城だ。









軍事行進などさせているために移動速度は遅い。


その時間を利用して現地調査を簡易でやってます。




使える時間があるなら遠慮なく使う。


時は金なり。



アキンドの常識です。






マメ知識




『直線のブチ抜き大街道』




高速道路を見るとわかるが、高低のない直線道路は


移動速度が格段にあがる。



商業流通を向上させるには必須となる。


行軍速度も格段にあがる。





『尾張の弱兵』



数値で表現すると、(最大100とする)


訓練度が30から40はあるが、


士気が10か20程度しかないのが傭兵足軽である。


そのために変な小突かれ方をすると即、崩壊する。


だからノッブ様も不利になると即、撤退する。




逆に農民足軽は訓練度が10ほどだが、


目先の欲につられて士気が40から50位ある。





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