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鵬、天を駈る  作者: 吉野
6章、『○○○○○』
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第110話 北伊勢、基礎構想




秀貞の坊、結構切り替えは早い方です。


(ただし、許すとは言ってはいない。)




さっさと政策の話に入ります。









―――――まあ、なってしまったことは仕方無し。


………ひとまずは建設的な話をしましょうか?




・・・・私を抱え込むというのは、


火薬と苦労を抱え込むのと同然なのですがね。




――――――ふふん。


精々に胃をキリキリとさせてしまえ。









新しい土地・任地である北伊勢統治において、


()ず最優先でしなければならないことがあります。




対"六角家"の侵攻対策です。



近江(おうみ)の佐々木六角家は、


甲賀を通して北伊勢に経路が繋がっています。



先の戦で、他の四十八家と共に


"プチッ"と一緒に潰してしまった『梅戸家』。



ここへ六角の血が入っていますので、


北伊勢に干渉するための名目を持っています。



『一族の敵討ち』という、ご立派な名目がね。




――――彼らが残っていればまた違う展開も


有ったでしょうが、言っても仕方が有りません。







六角は近江において大いに栄え、


また畿内においても大きな地位を持っています。





斎藤・今川に匹敵する大敵です。



そのために早急に甲賀と繋がる場所を


閉鎖しておかなければなりません。




……………まあ、多度東の戦の後に。


この直後に兵7000名の中から(いく)らか抽出して、


"八風(はっぷう)道"と"千種(ちくさ)道"そして鈴鹿(すずか)の峠がある"東海道"


のそれぞれの要害(ようがい)に砦を築かせています。



ここに伊賀と伊勢の兵を常駐させて忍びの透過(とうか)


軍勢の通過を防ぎます。



―――――商人だけは通しますがね。






これらは旧"千種家"の城と関所を


改修して軍事拠点へと変えます。


ここを各街道の抑えの総合防衛の要として


使う事になる予定です。







これらの処置が最優先です。


先ずはこれらを堅守します。







続いては商業街道です。


これは二つ。



亀山から東海道の関宿より分岐して伊賀上野に、


そして大和へと続く"大和街道"。



安濃から進み平松・平田を進み、


同じく伊賀上野へ至る"伊賀街道"。




先の侵攻はこの二つを使ったわけですね。


この二つを大きく整備して使用する事になります。


関所以北は軍事封鎖が成されますが。





この二つの街道を、今よりも(はる)かに使いやすく


大きく広く整備を行いまして。






一方でハ風・千種・東海の三街道はそのまま。




片方は旧態依然の街道。


片方は大きく整備された新街道。




相対的に一方は栄え、一方は(すた)れますよね?






これについては(しばら)くはこのままにしておきます。


"六角問題"が改善するまではそのままに。





―――――仕方が無いでしょう?


どうこうと言った所で、


商業構想は防衛構想にはどうしても勝てない。



()()()()()()()()()が文句を言うだろうが、


文句なら敵対する佐々木六角家へどうぞ?


こればかりはどうにもなりません。





"大和"・"伊賀"の二街道。


街道だけでなく、街道沿いに尾張商圏と伊賀の


独自の馬借を創ります。


これは新規の商いです。


畿内とは別組織・別利権となるモノになります。




そして街道には宿場町も造る事に。


街道沿いの豪族たちもまた、


商圏に参加して一儲けが出来る様になるのですよ。



その過程で、商圏の恩恵に()かる。


首までドップリと。



…………抜け出せるとは思わん事だ。






北伊勢弾正忠家の拠点は安濃に置きます。


長野の持つ城を無傷で手に入れたために、


これをそのまま拡張させ近隣と連結・連動させる。




南方に向けた大型城郭(じょうかく)に変える。


近隣城主への威圧と共に。



同時にその北に商業城下町を築きましょう。


"安濃の津"という新たな大型港と共に。



―――――北伊勢の、政庁とするのです。





この商業の奨励をもって、この地を


那古野商圏・西三河商圏に続く


第三の大型商業都市とします。



それぞれに産物は違いますから、


互いに商いが潰し合うことは無いでしょうね。











―――――――そして最後に北畠家の対策。


正直、彼らの優先順位は一番低く


そして一番単純な形となります。




『攻め寄せて来たら力をもって叩き返す。


返り討ちにした(ついで)に領地を削り取る。』



――――――これが基本戦略となります。











巻き込まれたことにはサッサと諦めをつける。


どうにもならないならば特に。



秀貞の坊のスタイルです。



"ただで済ませる"とは、言っていませんが。




今回は、北伊勢における基本戦略となります。


北畠対策は後編に続く。





『六角と梅戸』




梅戸には六角から父親が養子に入っている。


そのために現在の六角とは親戚関係がある。



充分に"敵討ち"の名目となります。





『ハ風・千種・東海道』




しばらくは六角問題が存在するために、


軍事的な封鎖がされます。



経済封鎖まではされませんが、


関所砦に伊賀衆が常駐しているために


甲賀衆が(ひそ)んで来るとモロバレ。



なんせ同業者ですから。



三街道は、問題が解決・解消されるまで


冷遇されることになります。






『要害』




地形が険しく、守りに適した場所。


極端に険しい山の谷間(たにあい)やガケなどの


狭くなった場所であることが多い。



少人数でも大軍を足止め可能となりやすい。





『大和・伊賀街道』




それぞれ亀山・安濃から伊賀へと連なる街道。


伊賀からの北伊勢侵攻のルートでもあります。



こちらが大型化されます。


同然に大きく栄える予定です。




なお、東海道をはじめ各街道は


比較的に近代の名称を使っています。



分かりやすくするためとお思いください。





『新規の馬借』




それぞれの街道を往復するだけに特化します。


現状にあるモノよりもシステマチックに効率化。



畿内の馬借とは完全な別系統となります。


同然、利権も別物。


文句を言われても知りません。





『安濃の津』




もともと長野家の時代にもここに城はあった。


史実では藤堂高虎が安濃津城を築いて拠点化。


後の"津藩"の政庁となる。




つまり藤堂高虎の二番煎じ。





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