第1話 蒼天、なお高し
初小説となります。
つたなき所も見られましょうがご勘弁下さい。
では、よろしくお願いします。
コト カタ ゴト カタ
車輪が地を踏みしめる音がする
カタ ガタ カタ ゴト
枯れ薄のさらさらと鳴る畦道を通り過ぎながら
コロ カラ ゴン ゴッ
時折轍の窪みや小石にに輪が跳ねる
ガラ ガラ ガタ カラ
荷台に藁を敷いているとはいえ少々堪えるものだ
コロ コト ガタ カッ
幾度と経験しても遠出はやはりちときつい
カラ ゴト コト ガタ
まぁ、この歳だしねぇ……仕方ない
カタ カラ ゴト コト
ふと……掌越しに天を仰いでみる
ゴロ コロ ゴン コト
おぉ……蒼天の高きこと高きこと……善哉、善哉
カラ カラ カタ コト
これなら黄天は…黄天は………………はぁ…
ガラ ガタ ゴン コロ
當に立ちかねないのが嫌な噺だ
ゴト カタ ゴッ カラ
既に似たようなモノも立っている―――末法よな
コロ コト ガラ カタ
確かそろそろ近くに…………………………ふむ
カタ コトゴト ガラ
周りの気配が僅かに変わる……聴こえてきたか
ガラカタ ゴトガラ
微かな寒さを感じる………季節のせいかそれとも
カラゴトカタ ガラ
懐より扇を右手にて摘まみ、ふうわりと振りて
ガラ ゴトゴロガタ
“ピシャリ”と軽く頸筋を刈る
ガラガラガタゴト
さて、じきに邱を越えよう…………目も醒めた
ゴトガラ……ゴン
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ぅぉォゥぉォぁゥオ苦シオ いお雄々鬼オメ憎ぁィあ羡やマしぃウぇ汚 ネアヴぇ恨メシ抉おぇれい夷めヴを が痛凶いベゲ愚ヲお熱か 穢オヰ贋潰ヴを嘘ツうきレ とロ死オニタきくね饉ぇあア餓 ぅゑ妬マしお嗚呼貧しオ刺ヴシ コ苦しロい偽ぉカせ怒レゐあ睨邪 まム糞ガあグ屑悲進しメ ゐ痾あま寂しィ 恐ロ穿滅シテゃ裂ガる け許サんべ痛ゐけラ嘆か ワう弄ムブな助けシぃやテ嫌 ォ濁ダ破 れアナ殴ま 呪れゑワ シを蹴ウニ去れッタかぃれ 逃げア壊ルな お落とセィ魔憂ィおガ惡 ウめ嫉マ あ切ん寒レシィ災イめな禍 ガシレ憎ガいゾ殺ギ難かセド しッ砕ベけゲ錆 禿ビロィ無がや ハャヰ…………!!!!
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押し寄せる人の波
叩きつけられる鐵の群れ
ひゃうひゃうと空を舞う竹串
地を震わさんと轟々たる喚き聲に
天にまで届かんばかりの悪意の渦
果たして、其処に在るは修羅の世の果て―――
すなわち戦場である。
ふと穹を眺めると――
はて、あれは鳶か?鷹か?
それとも……………?
一羽の“おおとり”が天を駈っていた。
数行にわたる文字の羅列に意味はありません。
戦場に溢れる悪意の抽象的な具現です。
暗号とか含まれてないので、探さないで下さい。
マメ知識
『右手』と『左手』
武家の業界用語。
武士にとって右手は『馬の手綱』を持つ手、
左手は『弓』を持つ手である。
後に、それぞれが『馬手』、『弓手』と
訛ったのが由来となる。
なんで知ってるかと言うと、
昔読んだ"江戸川乱歩"の推理小説『怪奇四十面相』
作中に暗号として登場し、
謎ワードとして調べたため。
『ゆんでゆんでとすすむべし』
この一文だけ、サラッと記憶から
飛び出してきた。………憶えてるものだなぁ…