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大人の童話  作者: 大人の童話
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老女とオウムだけが知っている女王の秘密

南の島の楽園の女王がなぜ女王となったのか。鮮やかなネオンに彩られた町で親に売られた少女の話です。ここからは少女が店にやってきたときのことをおばあさんの記憶の中にいる少女の話としてオウムに語り掛けています。

女児は真っ黒で大きな車に乗せられて、初めて町を見たんだ。

でもしゃべらない女児が町を見て何を思ったのかは、あたしには解らないよ。

色とりどりのネオンが彩った町を過ぎて、車はしばらく走って置屋に着いたんだ。

置屋は赤と黒と緑と金色でとても大きくて、立派だった。

町の中でも絢爛豪華で有名な置屋だった。

お客さんが他の置屋よりずっとずっとお金持ちが多かったせいもあって

とにかく豪華な作りで町一番の置屋だったんだ。

でも扉を開けると中は薄暗いんだ。

町と同じように湿度が高いんだけど、廊下だけはピカピカなんだ。

薄暗くて、ピカピカの廊下で目立つのは真っ赤な柱さ。

玄関の横にあるやっぱり薄暗くて真っ赤な柱から、女児の到着を知ったおかみさんが

出てきたんだ。

女児を見て「この子は一体何歳なんだい?」

男達は「わからない」としか言えなかったよ。

女児は真っ白な顔をして真っ黒で長い髪で真っ黒で大きな目と真っ赤な唇だったけ

ど、ガリガリに痩せていて、10歳にも見えたし、18歳にも見えたから。

おかみさんは言った。「とりあえず風呂に入れて、綺麗にしてみな」。


なんであたしが女児を来たときを知っているって?

そんなのは簡単さ。

置屋に居る女たちは皆口元だけはうっすらと笑っていたもんだよ。

目には生気が無いんだ。

うす気味悪いんだけれど、それでも口元だけでも笑っていりゃあ、人ってのはなんと

かなるもんだ。

だって笑って見えりゃ男たちは女に惹かれちまう。

どんなに性根が悪い女でも、いつでも笑って見えれば、それだけで客がついてくるんだ。

私はそこで皆の面倒をみていたんだよ。

掃除をしたり、食事を作ったり、洗濯をしたりってね。

そりゃあ毎日忙しかったさ。皆は次から次へと用事を言いつけるんだ。

そんな事をしていたもんだから、女児を迎えに行った男達から話を聞いたし、女児が

来たときの事も知っているんだよ。

女児が置屋に来たのは10年くらい前だったんじゃあないかねえ。


おかみさんが女児を風呂に入れろって言ったもんだから、あたしは女児の手を引いて

大きな風呂に連れて行って隅々まで洗ったもんだよ。

女児の体は見た目以上にガリガリで、今までまともじゃなかったって事がすぐに解っ

たよ。

洗った女児に安い着物を着せて、おかみさんの所に連れていったんだ。

そう。どう見てもまだ子どもって解るような着物を着せたんだ。

それを見たおかみさんは「まだまだ子どもじゃないか。下働きをさせな」って言った

よ。

そして女児に「オマエはここに買われてきたんだ。まだまだ子どもみたいだから、と

りあえず姉さんたちのお使いをやりな。わかったかい?」ってね。

そんな事を言われても女児はしゃべることができなかったから返事なんてしない。

だからおかみさんは言ったんだ。「オマエ、わかったなら【はい】って返事をするも

んだよ」てね。

でも女児は何も言わず、おかみさんを見つめていた。

おかみさんは眉をしかめて「なんだ、この子はしゃべれないのか。こりゃあ大きく

なっても店に出せないかね。」ってね。

返事をしなくて、何の表情もない女児に仕事を教えるのはあたしになった。

女児はあたしと一緒に下働きと姉さんたちから頼まれた用事を済ませる事になったん

だ。

あたしは女児に言ったんだ。「これから辛いかもしれないよ」ってね。

気のせいかもしれないけど、薄暗い置屋の中で表情の無い女児がうっすら笑った気が

したんだ。

その日は食事を済ませて、女児はあたしと同じ部屋で寝たんだよ。

そして翌日から、女児はあたしの下で仕事を始めたんだ。


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