四季を悟れる識さん
この短編ホラー小説は初めて書くので、下手な部分が多大在ります。また、ホラー展開は後半から来るので注意です。以上のことを理解した上でお読み下さい。
私の名前は小町佳苗。とある病院に勤めている看護師だ。そうそう。内の病院にはウワサ?がある。それは四季を悟ることの出来る識さんと言う患者がこの病院に入院してるらしい。私は実際に会ったことがないので余り分からないが、何でもその識さんが一言「もう直ぐで桜が咲くね」と言うと、翌日には満開の桜が咲いたそうだ。他にも冬が近付くと識さんはまた「明日は大雪が降るね」と言う。すると、翌日には大雪が降ったと言う話だ。
まぁ、私は正直なところ半信半疑である。だって、もしかしたらその識さんは実は木の専門家だったのかも知れないし。大雪だって偶々テレビの天気予報を見て居ただけかもしれなかったし。どっちにしろ。仕事を放ったらかしてまで真実を確めたい訳じゃないので、私にとってはそんなに気にはならなかった。
そう思っていたある日、私は先輩に呼び出されていた。
「ねぇ。小町さん、お願いが在るんだけど。良い?」
「はい。良いですけど、何の用事ですか?」
首を傾げて、返事を返す。そしたら先輩は手で私を招き寄せて、囁く様に耳元でこそこそと話し始めた。
「あのさ、内の患者の識さんのウワサ知ってる?」
「はい。まぁ、四季を悟れることが出来るって言うウワサですよね?それがどうかしたんですか?」
理解仕切れてない私は質問で返答した。すると、先輩は憂鬱そうな声で答える。
「いや、ねぇ。突然で申し訳ないけど識さんの担当を替わってくれる?何だが薄気味悪いんだよね」
どうやら。担当を替わって欲しかっただけらしく。てっきり先輩の愚痴を聞かされると思っていたから一安心。と私は安堵した勢いで先輩の担当する識さんと入れ替わることにした。気にはならなかったが、少し興味はあったからだ。
そして次の日、先輩の頼みで担当を入れ替わった私は識さんの居る404号室へと足を運んだ。
「ここがウワサの識さんの居る404号室ですね」
ふと視界に入ったプレートをチラッと見て、こう書かれている。
『404号室 七折識様』
と此処で私は漸く識さんの名字を知れたのだった。そうして、ゆっくりと扉を開け、ニッコリとした笑顔を作ながら識さんに一通りの自己紹介をした。
「どうも。今日から七折さんの担当をすることになりました。小町佳苗と言います。もし何か在りましたら、遠慮無く私を呼んで下さいね」
自己紹介を終えた私は次に識さんの姿を拝見。
見た目はとても幼くせいぜい12~14歳位。性別は女性。髪は透き通るような白髪。とても薄気味悪くは感じなかった。ただ一つ挙げるとすれば、一日中ずっと窓の外を眺めて居ることぐらいで、それ以外は特に私は何も感じなかった。
それから、月日は経ち。巷では桜の開花予想のニュースで盛り上がっていた。
その頃、内の病院では識さんの桜の開花予想を待っている患者(主にお爺さんわお婆さん)達が識さんの所に集まっていた。その光景を私は遠くから聞き耳立てて聞いていると、識さんは突然、口を開き。
「明日には満開の桜が咲くよ」
さらっと一言呟いた。それを聞き逃さなかった患者達は急いで違う病室に向かい「明日は桜。桜が満開だよ」と他の患者達に言いふらしに行った。確か昨年もこんな感じだった。
でも、私は識さんの言葉が怪しく感じた。だって、ニュースでの桜の開花予想は識さんの予想よりも2週間も遅れているから。やっぱり、ウワサはデマだったんだな。心の底でガッカリしたが、気を取り直して今日の分の仕事をちゃちゃと片付け、定時に家に帰った。
次の日、私は驚くべき光景を目の当たりにする。そう識さんの予想通り。道端の木々達の桜が満開に咲いていたのだ。
それに唖然とする私。しかし、仕事に出勤しなくしゃならないので直ぐに我に帰り。早歩きで病院に向かった。
到着した私は素早く仕事着に着替え。朝食を持って、担当である識さんの病室へと行く。すると、識さんの周りには昨日集まっていた患者達がワイワイと騒いでいた。
「いや~今回も識さんの予想通りに桜が咲いたよ。一体どうやって当てているんだい?」
「まぁまぁ、そんなことはどうでも良いでしょうよ。それよりもお花見しましょうよ!お花見」
「おぉ!それは良い提案ですな。それでは各自おつまみを用意して一階のフロアーで集合ですぞ」
話が終わったのか。患者達は一斉に病室を出て行き。それぞれの病室へと戻って行った。
この患者達の担当している方々、ご苦労様です。私は兎に角、あんな外出ばかりをする患者は苦手なので、担当している看護師さんは凄いなと思い。尊敬の意を込め、心の中で労いつつ、私は識さんの方へと近寄って「七折さん。朝食の時間ですよ」と言い。朝食を机に物音を立てないように置く。
そしたら、識さんは両手の手の平を合わせ。弱々しい声で小さく「いただきます」と呟き。物静かに食べ始める。
今しかチャンスはないな。私は朝からずっと聞きたかった事を聞いてみようと試みた。
「七折さん食事中に申し訳ないのだけど、ちょっと質問をしても良いかしら?」
流石に食事中は失礼だったかな。などと不安に思ったが、以外にも識さんは首を縦に二度振り。快く承諾してくれた。
「どうして?桜が開花する日が分かったんの?404号室の窓からじゃあ、桜の木は一本も見えないのに何で分かったの?」
疑問に思った事を遠慮無しに聞く。すると、識さんは口に入ったご飯を何回か咀嚼してから飲み込み。喋り始めた。
「感じたんです。桜が開花する気配を。ただそれだけです……」
そう言って、再びご飯を口に頬張る。
「じゃあ、紅葉もそうなの?大雪も?感じたから言葉で表しただけなの?」
続けて聞いて見ると、識さんはコクりと頷き答える。
そんな答えに今までモヤモヤとした感情が何処かに消えて行き。同時に真面目に考察していた自分が馬鹿馬鹿しく感じ。なんかウワサとかもどうでも良くなった。
「七折さん。食事中にごめんなさいね」
一言、識さんに謝り。食べ終わった皿を片付け、一階の調理場へと運んで行った。
それから又々、月日は経ち。識さんの担当をしてから約一年が経とうとしていた頃、いつも通りに朝食を持って行こうと、識さんの病室へと向かった。
「七折さん。朝食の時間ですよ」
朝食を机に置き、窓の景色を眺める識さんに声を掛けて、少し揺さぶる。
「203号室の中村さん。もうすぐ……だね」
唐突に不穏な呟きが耳に入った。それについて問い質そうとした刹那、大きな声で私を呼ぶ声が聞こえた。
「小町さん!!ちょっと手伝ってくれない?」
その声に反応して振り向くと、同期の看護師が慌てた様子で私を呼んでいる。
「何かあったんですか!?」
「203号室の中村さんの病気が悪化して、それで緊急手術をするために手術室に急いで運び込むから小町さんも手伝って!」
どう言うこと……まさか!識さんが悟ったから?いや、違う偶々だ。だって、中村さんの状態はいつ死んでもおかしくない位の状態だったんだし。きっと、そうだ。そうに違いない。心の何処かで勘づく自分をそう言い聞かせ、気付かないふりをし、恐怖を紛らわした。
「は、はい!分かりました!」
返事を返した私は識さんに聞けず仕舞いのまま急いで203号室へと向かった。だが、時すでに遅く。着いた時には中村さんの意識は既に天国に旅立っていた。
その後、中村さんの親族達に来てもらい。ご遺体搬送の手配と死亡診断書の受け取りを済ませて居る間に私達、看護師は中村さんの病室の片付けなどを行い。その日は識さんに聞けないまま帰宅し、床に就いた。でも、何故か、一睡も出来ずに朝を迎えてしまう。
正直、眠たいが何とか病院に到着し、朝食を持った私は識さんの病室へと運ぶ。そしたら、今度は
「303号室の黒羽さんもそろそろ、逝っちゃいそうだね」
不気味な笑みを浮かべた識さんが此方に語り掛けて来た。それに正常な判断が出来い私は思わず怒鳴ってしまった。子供相手に大人気なく。
「な、何を言っているのよ!?黒羽さんは明日、退院するのよ。し、死ぬはずないじゃない!縁起の悪いこと言わないで!」
怒鳴り散らして居ると偶然、居合わせた看護師が止めに入り。私は早退させられてしまった。
翌朝、黒羽さんは識さんの予言通りに死んでしまった。死因は飲酒運転をしていた車に跳ねられたことだったらしい。それと同時に誤魔化して来たことが確信に変わってしまい。恐怖に満ちた私は震えた手でお休みの電話を入れた。
「そう。なら今日はゆっくりと休みなさいっとそうだ。さっき識さんにあったのだけど、何か変なこと言ってたわよ」
「ど、どんなことですか?」
「七折さんはもう終わりだねって言ってたわよ。一体どう言うこと……」
ツーツーツーツー
話の途中で思わず電話切ってしまい。私は布団に潜り込んだ。嫌だ。死にたくない。まだ生きたいのに死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたく……な……い……
あれから何時間経ったのだろう?お腹が空いたな。確か冷蔵庫の中には何も入って無かったっけ。仕様がないし、食べ物を買ってくるか。
私はくるまっていた布団を雑に弾いてからシワくしゃな服装でサンダルを履き、近くのコンビニに出向こうと玄関扉を開ける。すると、そこには満開の桜が一面に咲いた。けれど、見惚れずに直でコンビニに向かおうと階段を降りる。だが、油断していたのか。将又、サンダルが原因だったのか。分からないが、足を滑られしまい。そのまま私は呆気なく落ちてしまった。
その瞬間、私は気付いてしまったのだった。識さんは“死期”も悟ることが出来ると言うことに。
ドシャ!!
ーENDー
どうも初めましての方は初めまして。そうではない方はお久しぶりですね。椎名鍵と申します。まずはこの小説(四作目)を読んでいただき誠にありがとうございます!普段はこんなちょっと怖いホラー小説を書きませんが、夏と言うことで書きました。ですのでこれを読んで少しでも涼しくなってくれたら幸いです。それでは、また他の作品でお会いましょう。




