ロボット死闘人「石狩の福次郎」第7回
ロボザムライ第2部
ロボット死闘人「石狩の福次郎」第1章 襲撃
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/
第7回
(7)
福次郎は大金庫相手に大奮戦していた。が、やはり、金庫を開けることができない。あ
の意識を呼び起こそうかとしている矢先に、金庫の扇が自動的に開いた。「さすがは、福次
郎殿じゃ」皆がどよめいた。
「いや、俺の腕じゃあり…」
「ご謙遜、ご謙遜」
「奥ゆかしい方じゃ」
が、何か大金庫の中で、蠢くものがある。人の気配がする。
「何だ」
誰かが叫んだ。急に照明が灯る。パワードスーツの都市連合軍が武器を手にして、待ち
構えていたのである。
「うわっ…」
頭目らしい男が、
「松前屋、ご苦労であった。この者どもが、西日本政府に逆らいおる不貞のロボットども
か。一網打尽にしてくれるわ。それ、皆かかれ」西日本対ロボット警察特別班・長谷川警
部だった。
松前屋の裏切りなのであった。西日本政府は、政府の方針に逆らう不満ロボットを、一
網打尽にする計画を東日本政府に相談していたのである。
「逆らう奴は殺してもよい。この者どもは生かしておいては、我が日本のためにはならぬ
ロボットどもじゃ。皆殺しじゃ」頭目は西日本政府のパワードスーツ部隊に呼びかけてい
た。
都市連合軍の攻撃を受け、御用船から逃げ出し、『ゲルマニア号』に戻ろうとしたロボッ
トたちもあったのだが、甲板に戻ってみると、すでに『ゲルマニア』の姿はない。
「ま、まて…」と、伸藤は叫んでいる。
「ひきょうものめ、裏切りものめ」
と、言っても、聞く耳は持たぬ『ゲルマニア号』である。ゲルマニア号は外装を残して、
急速潜行して行くのである。外側は普通の船に見えたのだが、内身は潜水艦だったのであ
る。
「ああ、これが、我が希望は、水の泡と化するのか」
呟く伸藤。目の前には『ゲルマニア号』の沈下した後から、あぶくが上って来るのであ
った。
『ゲルマニア号』は潜水している。その中のブリッジで、二人の男が話している。
「ふふう、後の始末はよろしくお願いしますよ、斎藤さん」
キャプテン・チムニーは、西日本都市連合の使者・斎藤に、そう告げていた。
「お役目ご苦労である」
斎藤は裃姿でお辞儀をした。猿顔であった。他の者は謀られていたことに気付いたが、
もう後の祭りである。西日本の選び抜かれた武闘に優れたロボットたちが、一網打尽にさ
れたのだ。
ロボザムライ第2部
ロボット死闘人「石狩の福次郎」第1章 襲撃
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/
第7回




