ロボット死闘人「石狩の福次郎」第4回
ロボザムライ第2部
ロボット死闘人「石狩の福次郎」第1章 襲撃
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/
第4回
とうとう、福次郎は自分の腕を、その企みのために使わざるを得ないはめに陥っていた。
その企みは、いままでロボットたちが仕掛けたこともない程、大きな犯罪であった。
「よろしいですか、西日本都市連合からの援助金は、東京から海路、この大阪要塞に運び
込まれる予定なのです」松前屋は、回廊から身を乗り出して、下の会議所にいるロボット
に説明していた。
「それで、その総額は…」
「聞いて驚くんじゃありませんよ。何と三二兆五千億円なのですよ」「ひえ…、それは一国
の国家予算ではないか」
「そうなのですよ」
どよめきが船室に満ち満ちた。誰かが叫んでいる。
「ちょうどよい、俺の腕がなまっていたところじゃ」
腕自慢の浪人ロボットが、大きな声で叫んで自分の刀を抜きはなそうとした。が、刀の
手入れが悪く、そう簡単に抜けずにまごまごしている。
「おいおい、然様な手捌きでは、相手に切り刻まれて、大阪湾のサイボーグ魚の餌にされ
てしまうぞ」誰かが、その侍ロボットをちゃかしている。
「何を言う。これは名刀空陣なのじゃ。抜けぬ訳はない」
やっと、抜けた。が、中はボロボロなのであった。
「それでは、皆様方には特訓していただきましょう」松前屋が騒ぎを制して言った。
「何ですと、特訓ですと…」
「我々の腕を信じられぬか、松前屋殿」
怒りの声が会場に満ち満ちている。
皆、腕に自慢のあるロボットたちである。松前屋の一言にカッと来たのだ。ロボットに
も怒りの感情はあるのだった。
「いえいえ、皆様、ものには手順というものがございます。手前も商人である以上、手順
を踏まなくてはならないのですよ」と皆を睨みつけるように言った。松前屋の威光にけお
されて、たじろぎ、ロボットも返す言葉がない。
ロボザムライ第2部
ロボット死闘人「石狩の福次郎」第1章 襲撃
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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