ロボット死闘人「石狩の福次郎」第17回
ロボザムライ駆ける第2部
ロボット死闘人「石狩の福次郎」
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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ロボット死闘人「石狩の福次郎」第17回
第3章 復讐(1)
伝説のパワードスーツに加えて自らが超能力ロボット(略してER)になった福次郎、
命じられたままに、レイガン島の秘密基地から、ロボットの天国を作るために努力する『風
盗』となった。が、彼の頭を占めているのは、この裏切りの根本となった桃太郎に中西の
御前のことであった。復讐の念がふつふつとたぎってきたのである。
中西の御前と桃太郎がいる船に、パワードスーツごと着地した福次郎である。さすがに
護衛たちも、古代のハイテク技術の粋、パワードスーツには歯が立たぬ。船室をぶち破り、
二人を発見した福次郎である。
「探したぜ、桃太郎」
が、桃太郎はパワードスーツ姿の福次郎には気が着かぬ。
「一体、お前は、例の伝説の騎士なのか」
「俺だよ、桃太郎」
福次郎はそのパワードスーツを脱いでいた。ERになった福次郎は、その自信がそのハ
イテクスーツを脱ぎ捨てて、裸身を晒しているのである。
「お、お前は福次郎。生きていたのか」
「中西の御前、それに桃の字、あっしはレイガン島の地獄から帰って参りましたぜ」
「う…、福の字」
「き、貴様、生きておったのか」
「う…、うれしいぜ、福の字。お前さんがあのレイガン島から帰ってこれたってことはな
あ」
「いいかい、桃の字、俺はな…、あの島で生まれ変わったのだ」
「ま、まさか、お前、あの超能力ロボットというしろものに…」
「そうさ、俺は…、その超能力ロボットに生まれ変わった訳さ」
「ゆ、許してくれ」
急に桃の字は、膝を曲げてはいつくばった。
「こ、この通り。生まれながらの親友のこの俺が。お前を裏切ろうなんてこれっぽっちも
思っちゃいなかった。この中西の老いぼれめが私を騙したのだ。あんなことになるとは露
知らなかったのだ」
「ち、違うぞ、福次郎殿。わ、俺がこの桃太郎に騙されたのじゃ…」
「ええい、御託は地獄
にいってからにしろ。いや、ロボットに地獄があったらの話だがな」
「こ、この通りだ、福の字。俺には、かわいい妻と三人の子供ロボットがいるのだ。許し
てくれい…」
「わ、俺にも、できの悪い息子と娘が各々一人おるのじゃ。許してくださらぬか、福次郎
殿」
「ええい、二人とも、嘘つきな…」
桃太郎と中西の御前は、二人とも顔を見合わせる。
「どうやら、許してくれぬようじゃな」
中西の御前の顔が急に厳しくなった。
「福次郎、お前もわかっているように、レイガン島にはレイガン島のしきたりがあり、こ
のロボットの暗黒街にも、しきたりがあるのじゃ。それに従わぬとお前が申すならば、ま
してやレイガン島で超能力ロボットに生まれ変わったお前だ。出方によっては高給で優遇
してやろうと思ったのじゃが…」
「そうだい、先輩を見習わないとならば…」
中西の老人の言葉に桃太郎が割って入った。
「調子に乗るな、桃、お前は黙っておれ」
「すれば、どうするというのだ…」
「これを見ろ…」
背後のカーテンが引き上げられると、そこには…
「父ちゃん…」「あんた…」
「どうだい、福の字、お前のかわいい家族だぜ」ふふふと桃太郎が笑う。
「どうじゃ、死んだと思っておっただろう」
「が、我々黒手組がちゃんと預かっておったのじゃ。お前に対する保険としてのう。ほっ
ほっほ」中西の御前が笑うと、オールプラチナ製の歯がキラキラと光っている。悪趣味の
権化であった。
「福の字、お前、自分の過去をようやく思い出したようだな」
「桃、よけいなことを思い出させてくれた。が、そのことはお前さんの命を縮めたな」
「まさか、お前…、俺を殺すつもりじゃ…、黒手組からは逃れられないぜ」
「無論だ。ご定法を曲げた俺だ。死んだつもりだが、お前さんにも冥土の道を歩んでもら
おうか」
「とうちゃん…」「あなた…」
福次郎に近づいて来る妻と、子供ロボットの目付きがどうもおかしいのである。
「ま、待て、そこから俺に近づくな」
「何を言っているのだい、お前さん。私しゃ、愛妻の妙子だよ。見てわからないのかい」
「ちゃん、光次郎だよ。早く抱いておくれよ」
この二人の言葉が妙に白々しい気がする。
「お前ら…」
一瞬、二人が福次郎の体の方へ飛んでいた。光次郎は肩の方から、双腕で福次郎の首を
締め上げている。妙子は体ごとぶつかって来て、福次郎の両腕を何とか押さえ込もうとし
ている。
「くっ、苦しい。お前たち止めろ。俺は父さんだぞ」
「父親だって、聞いて呆れるよ。ねえ、母さん」
光次郎が言った。「遊び人のお前さんのお
陰で、私たちがどんなに肩身の狭い思いをしてきたか考えたことがある?」
「や、止めろ。お前たちの言い分はよくわかる。俺は生まれ変わる。今までの遊び人の風
体は、す、すべて、偽りだったのだ」
「ふん、偽り…。そんな話は一昨日しておくれよ」
「そうだよ。僕たちどんなに貧乏な生活をしていたのか知らないのかい」
「ロボットSF大会、やれロボットSF同人誌活動だ、やれ新型パソコンだと、普通の亭主らしい家庭サービスをしてくれたことがあるのかえ」
愛妻と愛息ではあったが、福次郎はここは非常にならねばならぬ。二人を傷つけぬ程度
の当て身を食らわせている。
「許しせよ。酷い父さんだと思うだろうがな。お前たちとゆるりと話せる時代もこよう。
すべてはこの俺の働きによるのだ」
こう心の中で思う福次郎は、脳裏にロボットの未来の姿をかいま見ている。予知能力も
中々に出来ているのであった。
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